怪しい友人
モテパニ作者ある日の事、授業が終わりその日予定も用事も無い拓海はなにをしようか考えながら帰り支度をしていた。
拓海「(ま、帰ってから決めるか)」
とりあえず真っ直ぐ帰ろうとしていると。
???「「品田ぁっ!」」
拓海「え?なんだお前らか」
急に話しかけてきたのは拓海の友達の二人だった。
拓海「どうしたいきなり」
友人A「いきなりじゃねー!最近お前付き合い悪いぞ!」
拓海「ああ、そうだったっけ」
言われて気づいたが、彼の言う通り拓海は最近彼らとの時間があまり取れていなかった。
拓海「だったらちょうどいいし今日…」
友人B「だが問題はそこじゃない!」
拓海「?」
友人A「問題はお前が俺たちの代わりに女子といるって事だ!」
拓海「(その事か)」
付き合いが減った理由は単純。他の付き合いが増えたからだ。
友人A「お前に可愛い幼馴染がいるのは知ってたが…」
友人B「その子だけじゃ無くて元会長の菓彩さんや芙羽様とも一緒にいる所を見るぞ!」
拓海「お前…年下に様とか付けてんの?」
友人B「いいだろ!高嶺の花だぞ!」
拓海「てかもう一人いるだろ?」
友人A「あーなんかちっちゃい子もいるよな、名前なんだっけ?」
友人B「さあ?」
拓海「(華満…)」
らんの存在自体は認知されているがあまり興味は引かれていない様子。
あくまで相対的な印象が劣るだけだろうが…
友人A「あとうちの学校の女子じゃない子とも一緒にいるだろ!なんか元気そうな子とか!」
拓海「(ソラか)」
友人B「あと癒し系っぽいおとなしそうな子とか!」
拓海「(花寺だな)」
友人A「それに背の高い美人のお姉さん!」
拓海「(ゆりか?)」
友人B「あと電車でどっか行ってたって聞いたぞ!」
拓海「(ララとは遠出になりがちなんだよな)」
友人達の言葉を聞きながら自分の付き合いを振り返る拓海。
友人A「こいつ、全部心当たりある表情してやがる…」
友人B「いくつかはただの噂だと思ってたのに…」
拓海「嘘ついても仕方ないしな」
友人A「なんでこいつがモテるんだ!品田なんて顔がよくて、話がわかるやつで…」
友人B「勉強も運動もできて、料理が上手くて…くっ!」
どんどん理由が浮き彫りになっていく。
むしろこいつがモテなければ希望すら持てないのでは?とむしろ肯定的な感情すら湧く。
拓海「なぁ…俺もう帰っていいか?」
友人達「「待て!」」
呆れて帰ろうする拓海を二人は強く止める。
友人A「それはそれとしてお前と久しぶりに遊ぶのもいいな」
友人B「お前んちでなんかやろうぜ」
拓海「はぁ…最初からそう言えって」
〜〜〜
そうして拓海は友人達を連れて家へ帰ってくる。
鍵を開けて入ろうとすると、
拓海「(あれ?開いてるな。誰かいるのか?)」
友人A「どうかしたか?」
拓海「いや、なんでもない。ただいまー」
再度鍵を開け直しドアを開けると
ダークドリーム「おかえり」
友人達「「!?」」
そこにいたのは同居人ダークドリーム。
拓海「あれ?今日和み亭じゃなかったっけ?」
ダークドリーム「今日夕方から団体の予約があって忙しくなるから先に食べに帰ってきたのよ」
拓海「あー悪いその予定知らなかったからご飯夕方炊けるようセットしてた」
ダークドリーム「私も言うの忘れてたから朝のうちに設定変えといたわよ。炊飯器の設定はもう習ったもの。じゃあ私はそろそろ出るから」
拓海「んー」
そう言ってダークドリームは拓海の横をすれ違うように通っていく。
ダークドリーム「いらっしゃい」
そして後ろの友人達へ軽く挨拶して去っていく。
拓海「じゃあ俺の部屋に…」
友人達「「待てや!」」
なんでもないように話を進めようとする拓海に流石にストップがかかる。
友人A「なんだあの可愛い子!?」
友人B「お前お姉さんとか妹とかいなかったろ!?」
拓海「あー…、あいつは父さんの親戚で今うちで預かってるんだよ」
友人A「突如現れた親戚美少女と同居!?」
友人B「もうお前ラノベかなんかの主人公だろ!?」
改めて言われると特殊な状況だ。
特にダークドリームの出自も特殊そのものであるし。
ましろ(まし拓)「拓ー、今日はなんにも予定無いって聞いたから来たよー。あれ?」
そしてダークドリームと入れ替わる形でましろ(まし拓)が訪れる。
ましろ(まし拓)「拓のお友達かな?どうもうちの拓がお世話になってます。わたしは虹ヶ丘ましろといいます」
友人A「品田!この子はなんだ!?」
拓海「えーと、…幼馴染の友達?」
ましろ(まし拓)「もう、拓ったら照れちゃってー♪」
ましろ(まし拓)はわざとらしい身振り手振りで拓海をからかうような口調を見せる。
ましろ(まし拓)「お友達来てるなら今日は帰るね。バイバーイ」
そう言ってましろ(まし拓)は帰ってしまう。
友人B「見かけた事無い子だったけどこの辺の子なのか?」
拓海「いや、普段はソラシド市に住んでるぞ」
友人A「え、別の街住んでんの?そんな子あんなあっさり帰してよかったのかよ」
拓海「(別の街住んでるって言ってもあの虹ヶ丘はわけわからない移動方法で来てるしな。そういえばあの虹ヶ丘が来たって事は…)」
ましろ(妖精)『拓海を出迎えるために奥から出てくる。友達に気づいてびっくりする。奥へ引っ込む』
拓海「…さあてそろそろ」
友人達「「今度は何!?」」
案の定妖精のましろもいた。
スルーしてくれれば助かったが、流石にそうもいかなかった。
しかし言い訳は用意してある。
拓海「あれはな、ある企業が作った試作の妖精型ドローンでな、モニター抽選に当たったんだよ」
友人A「ある企業って?」
拓海「四葉財閥」
友人B「めっちゃ聞いたことある」
以前妖精のましろを調べてくれたアリスが去り際にもし一般人に妖精のましろを見られたらそう誤魔化していいと言われた事がある。
こんな事態を見越してくれたアリスには感謝だ。
拓海「さあこうしててもなんだしさっさと部屋行こうぜ」
友人B「あ、ああ」
拓海「(なんとか誤魔化せたな。考え無しにこいつら連れてきたのは失敗だったかも)」
拓海は己の思慮の浅さを反省する。
しかし誤魔化せたのだから結果オーライ…とはならない。
友人A「(ドローン…ね。それにしてはあの妖精ましろって子にそっくりだったけどな)」
友人B「(つーかこんなにびっくりする事多かったら普通に怪しいぞ)」
疑念になる要素が一つなら誤魔化せただろう。
しかしいくつも重なり絡み合えば人はその裏を感じるものだ。
ここで騒いでもしょうがないので騒ぎはしないが、その腹の裏で疑いを持つのは止められなかった。
これが果たしてどういった事をもたらすか、それとも何も起こらないか、それはまだ誰も知らない。