【閲覧注意】性欲を発散させる魔法に打ち勝つ(仮)話
カンネとラヴィーネは迷宮の様々なトラップを潜り抜け…たりあまり上手く抜けられなかったりして
ムラムラして辛抱たまらない状態で、お互いに手を出さずにすんだままようやく迷宮の最奥とおぼしき部屋にたどり着いた
殺風景なその部屋に目立った物は…古びた机に一通の書き置き、埃まみれのベッドと宝箱が一つ…
迷宮の主がかつて生活していた部屋だと思われるが…部屋の主が去ってから相当な時が経っている様だった
机の上の書き置きには『この部屋にたどり着いた者に宝箱の中身を託す』といった旨の内容が書かれている…
「こんなろくでもねえ迷宮の主だ、どんな宝を残したんだか…」
「やっぱり この宝箱の中にあるのかな」
「だと思うがな…カンネ、宝箱開けてくれ。もしミミックだったら【氷の矢を放つ魔法】を叩き込んでやる」
「うん」
カンネが宝箱を調べるべくしゃがみ込む。ラヴィーネはその後ろ姿を見ながら…
(もうちょいショートカットにしてくれれば後ろからうなじが見えてよりセクシーなんだがなぁ…
あぁ服も破けて余計に背中が露になって色っぽいなぁ…なんだよあの腰のくびれ方…
あっズボンのお尻が破けて下着が見えてんじゃねえか…後で隠さねぇと…青か…)
ここまでひたすらムラムラさせられてきただけあって、ラヴィーネは思考が欲望まみれだ
警戒心がかろうじて後ろから襲い掛かりたい衝動を抑えている
「開いたよ。罠は無いみたい」
安全を確認したカンネは宝箱を開き、中を除く。ラヴィーネは警戒を続けている
「何が入ってる?」
「うーんと…本が2冊入ってる…それだけだね………両方とも魔導書っぽい」
「魔導書ねぇ…」
カンネはそのうち片方の魔導書を手に取った
「…【ベッドを綺麗にする魔法】だって」
「なんだそりゃ。地味すぎるだろ…」
「けど便利そうだよ。ほら、試してみよう!【ベッドを綺麗にする魔法】!」
カンネは深く考えず横のベッドに魔法を発動させた
するとベッドはピカーと光に包まれ、ボフンと音をあげた。光が消えるとそこには清掃したての様に綺麗になったベッドが!
「おおぉ…本当に綺麗になった」
「汚れはどこいったんだよ…」
ラヴィーネがよくわからない魔法の効果に呆れていると、カンネは唐突にベッドに飛び込んだ
ボフッ
「子供かよ…」
「あ~、ふかふかだよこれ!ラヴィーネ」
どうやら汚れのほかに柔軟性もベストの状態にまで戻しているのか…と謎の技術に感心しながら
ラヴィーネは宝箱の中のもう一冊の魔導書を手に取った。
魔道書を開きながらラヴィーネはベッドの端に腰掛ける………その魔導書の内容は………
(【性欲を解消する魔法】だと…!?…おいおい、今の私たちに一番必要な魔法じゃねーか)
これなら身体を覆うムラムラをどうにかできる…ラヴィーネがそう思った時
「そっちの方はどんな魔法?」
カンネがいつの間にか体を起こし魔導書をラヴィーネの顔の横から覗き込んでいた
「おわっ これは」
「えっ…【性欲を解消する魔法】?せっ、性欲って…」
ラヴィーネに負けないほど身体が火照っているはずのカンネ。その顔が一段と赤くなる
「性欲は…性欲…だろ」
「せっ、性欲…」
『性欲』。ここまで散々アレコレあった二人だが、一度たりともこの単語を口にしてはいなかった。
頭ではこの性欲が自分らを支配しつつあるのは薄々と感じている。だが、認めてはいけないのだ。
外的な要因あれど幼馴染みに膨れ上がった性欲を抱いているなんて受け入れようものなら…すぐに…
故に、二人はこの言葉を避け続けてきた。だが、カンネは今、それを口にしてしまった…
しかもそのタイミングで、二人の目線が合う
見つめ合ってられず、すぐに顔をそむける二人…
(やっぱり私…ラヴィーネに性欲持っちゃってる…ラ、ラヴィーネに抱き着きたいキスしたい肌を合わせたい…)
(まずいまずいまずい冗談抜きでカンネに欲情してるぞ私、ううっ抱きしめてえ)
(けどこの【性欲を解消する魔法】ならきっと性欲を解消できるけどラヴィーネとエッチな事できなくなるけどラヴィーネはどうか分かんないし…)
(【性欲を解消する魔法】でどうにかするしかない!けどもしカンネも私と同じ状態ならカンネと一つになれるチャンスが…)
(ラヴィーネが私と同じ気持ちなら…)
(カンネが私と同じ気持ちなら…)
逸らした目線の先に、カンネはもう一つの魔導書に気が付いた。先ほど試しに使った…
カンネは、ラヴィーネに比べて頭脳明晰ではないという印象を受ける事が多いが
ことラヴィーネに対しての言動は、恐ろしい冴えを見せることが多い。幼馴染みの特権であろうか。
そんなカンネがこの極限状況でラヴィーネに勝負を仕掛けようとしていた…
「…私…それよりこっちをもう一回使ってみたい…」
「こっち…?」
そんな言われ方をしたらカンネの方を見ざるをえない
やむを得ずラヴィーネはカンネの方を向くと…カンネは魔導書を両手で顔を隠すように持っていた。
【ベッドを綺麗にする魔法】である。
「…そんなの今使ったばっかりで意味ねえだろ。後で自分ちで使えばいいだろ…」
はぁ、とため息をつき再度顔をそむける。呆れでわずかに性欲が退いたのを感じる。
(ボケて誤魔化そうとしてんのか?全く…だいたい今使ってベッドが綺麗なんだから使うには
もっかいベッドを汚さなきゃならんだろうが…なんでわざわざそんな事…)
「ラヴィーネのバーカ」
唐突に罵倒されるラヴィーネ。流石に怒りが湧き出てくる。
(なるほど私の性欲以外の感情を刺激してこの場を乗り切ろうって寸法か、いい度胸してんなテメェ)
三度、ラヴィーネはカンネの方を向き────
カンネはいつの間にか魔導書を枕に持ち換えていて、枕をギュッと抱きしめていた。
かろうじて、カンネの瞳は見えるが表情が読めない…
(えっ枕?なんでいつの間に持ち換え、枕、枕?それより何だそのポーズは誘ってんのか?
いいのか枕ごと押し倒すぞ?今の私だとベッドの上で何するか分からんぞ?ベッドごとお前をメチャクチャに)
「あっ!!」
妄想が暴走しかけたところでラヴィーネは思わず声をあげてしまった
少々の沈黙の後
「………ゴクリ」
わざとらしく生唾を飲み込むラヴィーネ
そのしぐさを見て、カンネはコクリとうなづいて呟く
「もう一回…使いたいな」
ラヴィーネは自ら理性の糸を切断した
言葉で応えることなくラヴィーネはカンネの唇を奪いつつベッドの上に押し倒した
その後の事は……
二人は唇を重ねたままボロボロのお互いの服を脱がせ合った
わずかに唇が離れた時はすかさず「ラヴィーネ」「カンネ」と目の前の人の名が囁かれる
裸になった二人は互いの肌をまさぐり合い、指で秘部を刺激し合った末に絶頂を迎えた
だが、一回の果てで溜まりに溜まった性欲が解消されるはずもなく…
今度は舌でお互いの裸身を舐め合い快楽を循環させ合うと、終点としてお互いの股間に顔を埋めて二度目の絶頂を同時に迎えた
それでも熱が治まらないラヴィーネはカンネをうつ伏せに寝かしその上に重なり無計画な愛撫を始めていくが
じらされているも同然のカンネが体を入れ替え、上になると逆襲の様な愛撫を返し始める
そうしている内に限界が迫ってきた二人は脚を絡ませ脚の付け根をこすり合わせて、嬌声を揃えて最後の絶頂を迎えた…
お互いで性欲を発散させた二人。
息が落ち着いてきたらいそいそと服を着直した。
(まさかこんなところでカンネと一線を超えるとは…)
(ラヴィーネとの初めてがこんな場所だなんて…)
罪悪感はもちろんあるが、喜びがまだ勝っているようで、両者は照れながらも若干ニヤついた表情を浮かべている。
「じゃあ、使うか」
「え?…今さら【性欲を発散する魔法】を使うの?もしかしてまだシ足りないの?嘘でしょ?」
「あぁ!?何言ってんだテメェ。こっちに決まってんだろこっちに。【ベッドを綺麗にする魔法】の方だろうがよ」
「…あっ。そうだった。…うん」
二人はベッドから立ち上がり、そしてちょっとばかし歪んだ形の愛を交わし合い乱れたベッドを見下ろす。
(まー我ながら暴れたもんだぜ…)
(一人じゃこんなベッドの乱れ方は無理だよぉ…)
先ほどの痴態が目に浮かぶ…
(…ここで心と体を重ねたのは事実だ、現実だ…ここで、私たちは…)
時間が経ってきて気恥ずかしさもこみ上げてくる
「ねえ、ラヴィーネ」
ラヴィーネの名残惜しさを読みとったのか、はたまた迷宮の誘惑に再び囚われたのか
カンネが悪魔の様に囁いた
「…ね、ラヴィーネ。記念に残しておかない?」
おわり