心のマッサージ
黒庭勇者さん「……マッサージ、してほしい」
一緒の部屋の寝室、インナー姿の勇者様がそう言葉にする。少し気恥ずかしそうに言葉にしている。勇者様にしては、なんだか珍しい
「構いませんが、どういうマッサージをしてほしいんですか?」
他人を癒す術はそれなりに心得てるつもりだ。指圧のマッサージだってそれなりに自信がある。勇者様の要望にならなんでも答えられるはずだ。
ちょっとした沈黙、そして、勇者様はちいさな声で、言葉にした。
「身体全体をほぐすのと……あと、その、育乳マッサージを」
「いく、にゅう……?」
思わずきょとんとしてしまった。勇者様のその、おっぱいを大きくするマッサージをお願いされていることが聞き間違えてしまったのではないかと思ったのだ。
「うん、育乳……」
……どうやら聞き間違いではなかったようだ。顔を背けながら、勇者様がそう言葉にしているのが確かに耳に届いた。
「と、とりあえず全身をほぐすところからいきますね」
「ん……」
勇者様の身体に触れて、そっとマッサージを行っていく。布団があるから足から顔まで、いろんな所をほぐしてあげられる。
「水遣いの手、優しい」
「ありがとうございます」
ふとももの疲れをとる為に、しっかり揉みんでいく。筋肉がついていて、がっちりしている。でも、それでいて女の子らしい柔らかさをほんのり感じさせてくれる。かっこいいのに、ふわっとしたところもある。うらやましい。
「水遣い?」
「あっ、ご、ごめんなさい。続けますね」
次はお腹のあたりを重点的にマッサージしていく。勇者様のお腹周りはとても引き締まっていて、腹筋もしっかり見えている。そのきりっとしている体つきを見ているとドキドキしてしまう。ゆっくり触れて、抱き締めたくなるくらいに…
「腹筋、なにか悪い?」
気が付いた頃には両腕で私は勇者様の腹筋を押してしまっていたみたいだ。ずっとそこだけを触っていたのもあって、心配されてしまった。
「い、いえ、大丈夫です、ただ、かっこいいなって……」
本心からそう言葉にする。けれども、勇者様は少ししょんぼりした表情になる。
「筋肉のある女って、男っぽいかな」
不安に満ちた表情。それは、自分らしさへの悩みだった。
「そんなことはないですよ、勇者様は勇者様です」
「胸も大きくないし、水遣いみたいに女性らしくもない。街の人に男の人のように見られるの、気になっちゃって」
「勇者様……」
「ごめんね、こんな私で」
珍しく吐く弱音は、女の子らしい悩みだった。かっこよくて、凛々しくて、私の憧れの勇者様も等身大の女の子として悩んでいる。寂しそうに笑う勇者様にできることはないか。
「大丈夫です。勇者様だって、れっきとした女の子さんですから」
そっと、鼠径部の子宮付近に手を伸ばす。そして、ゆっくりその場所を撫でる。
「んっ…」
少し大胆に触りすぎたか、勇者様がちいさな声をあげた。ゆっくり、ほぐすようにその場所を繰り返し撫でていく。
「はぁっ、はぁっ…」
吐息が激しくなっていることを近くで感じ、勇者様が触られて感じていることを実感する。……色気もあって、女の子らしい。甘い香りも素敵…
そこで思考を止めないで、次は求められていたことを行っていく。育乳マッサージだ。
「次は勇者様の育乳マッサージを行いますね」
「うん…」
「その、声は出しても大丈夫ですからね」
「わかった」
そっと下から持ち上げるように勇者様の胸を動かしていく。小さくだって胸の柔らかさは感じられる。やさしく胸全体を動かしていく。
「あ…っ」
ビクッと反応する勇者様。その瞬間、私に身体を委ねる。ここも感じるところなのだろうか。インナー越しに胸の先端が勃っているのがわかる。
内側に寄せて、掌全体で、勇者様の胸を包み込む。
「ん、んんぅ…!」
声は出してもいい、と言っているけれど、勇者様は必死に堪えていた。直接感じる心臓の鼓動がはやくなる。勇者様がかわいく悶えている姿を見ているだけで、私もドキドキしてしまう。
いっぱい胸を動かして、勇者様の願いが叶うように願いをこめる。大きくなりますように、勇者様が憧れている女性像に近づけますように。集中して、育乳に取り組む。
「は、はふ、ひゃ、あ、ぁぁ…♥️」
何回か繰り返していると、勇者様がとろんとした、表情を浮かべてぐったりしてしまった。……勇者様のショーツがぐしゃぐしゃになっている。イかせて、しまった?
「ご、ごめんなさい勇者様っ、替えの下着もってきま……」
「まっ、まって…」
身体を必死に掴んで、うっとりとした表情のまま、勇者様が言葉にする。
「このまま、しばらくぐったりしてたい、その方が、安心するから…」
「わ、わかりました」
そっと身体を抱き締め、勇者様が落ち着いていられるようにする。はぁ、はぁと息を切らしている姿は色っぽい。
「水遣いは、やわらかくて、羨ましい」
「勇者様も、素敵ですよ」
「……ありがとう」
「明日も、その、しますか……?」
「する……」
静かで、けれども不思議とドキドキする時間。かっこいい勇者様のいろんな姿が見れたこと、私は嬉しく思っていた。勇者様の身体を触れることも幸せだったし、これからも続けられるのなら頑張りたいと思っていた。