『心と距離』
ロビンはその日、1人でサニー号の甲板で横になっていたルフィを見た。それだけなら別に特段問題はないのだが、時々聴こえてくる溜め息のような音にロビンは首を傾げつつ、しゃがんでルフィに訪ねた。
「どうしたのルフィ?」
「ん?・・・あ、ロビン・・・何でもねぇ」
ルフィは口笛を吹きながら目を逸らした。嘘がつけないルフィらしく、ロビンは優しく微笑みつつももう1度訪ねた。
「あら可愛らしい嘘ね。それでどうしたの?」
「うっ・・・い、言いたくねぇ」
「そう・・・ウタの事ね」
「な、何で分かんだ!?」
ロビンは当てずっぽうで聞いてみた。これで違かったら止めようと思ってやってみたら図星だったようだ。するとルフィの顔が真っ赤になって、恥ずかしそうにしていてロビンは何かあったなと察した。
「ルフィ、私で良ければ聞くわ」
「わ、笑わねぇか・・・」
「笑わないわ」
「じ、実は・・・」
〇〇〇
「ルフィと顔を合わせられなくなった?」
「いっ、ベ、ベックマン!そんな大きな声で言わないで!!シャンクスに聞こえちゃう!」
「安心しろウタ。お頭は今、クロスギルドのバギーの所に自棄酒をしに行ってる」
一方、ウタの方もベックマンに相談事をしていた。
「この前の鬼ごっこの時からルフィの顔を見ると何か恥ずかしくて・・・それで顔を合わせられないし・・・近くに居たいのに居られないし・・・どうしよう・・・ぐすん・・・ルフィに嫌われちゃったかも・・・」
段々と涙が出てくるウタにベックマンは落ち着いた様子で話す。
「落ち着け、ルフィはそんな奴じゃない。キチンと話せば分かってくれる」
「でも恥ずかしくて避けちゃう私なんて・・・それにこの前の宴の時に来てた子と仲良さそうだったし・・・」
ウタはこの前の宴でルフィと話をしていたレベッカの事を思い出しながら言っていた。
「あいつ、中々やるな」
「ベックマン・・・?」
ベックマンはウタから聞いた内容からルフィのプレイボーイな感じに感心していたが首を傾げていたウタを見て我に戻った。
「・・・なら、こんなのはどうだ?」
「??」
〇〇〇
「そう、ウタの事を避けちゃうのね」
「うっ・・・顔が合わせづれぇんだ。熱くなってウタに見てほしくなくて・・・それで逃げて・・・ウタも俺から逃げてるみたいだし・・・どうしよう・・・」
「落ち着いて話せば分かってくれるわ」
非常に珍しく弱気になってるルフィを見てロビンはそう言うがルフィは首を横に振っていた。
「だってウタの奴、この前の宴の時にトラ男と楽しそうに話してたし・・・逃げてる俺よりも・・・」
「ルフィ、そんな風に悲観するのは良くないわ・・・なら、こういうのはどうかしら?」
「??」
「手紙を書いてみたら?顔を合わせづらくても手紙なら伝えられるわ」
ロビンの言葉にルフィは更に顔を赤くした。だが、そこは船長としての意地なのかルフィは顔を真っ赤にしつつも立ち上がった。
「・・・ちょっとナミにまた机を貸してもらいに頼んでくる・・・」
「・・・ルフィ・・・頑張ってね」
「ロビン、ありがとう」
ルフィはそうロビンにお礼を言って手紙を書きに行った。
後日、手紙がウタから送られてきてルフィはそれを読んだ後にウタの所へすぐに向かった。ウタもルフィからの手紙を読んだようで2人は互いに顔を赤くしつつも避けていた事を謝って手を繋ぎながらデートしに行った。
〇〇〇
「なぁ、バギー。聴いてくれよ〜」
「知らねぇよ!!何百回も言いやがって、会った事もねぇお前の娘の事なんざ知るか!!とっとと帰れェ!!」
「ベックや皆に追い出されたんだよ!頼むよ、鷹の目にも追い出されてもうお前しかいねぇんだよ!!」
「知るかァ!!クロちゃん助けて!!」
「・・・沈める準備を始めるか」
一方、実は恋路を邪魔をするのでベックマン達に追い出されていたシャンクスはバギーの所に自棄酒に来ていた。最初は鷹の目の所に行ったのだがそこも追い出されたのでシャンクスはこっちに来たのだ。バギーはもう何百回もうんざりする程、会ったこともないウタの話を聴いてウンザリし、クロコダイルに助けを求めていたがクロコダイルはいっその事、纏めて始末しようか考えていた。