後編

後編


「うっ……うっ……」


高貴さを感じさせる、高級な生地を用いた軍服風のコートの真紅。エポレットや服のところどころにあしらわれたラインの金色。情欲をそそられるパンツの黒色。それらを愛液混じりの潮で濡らし、汚し、その鮮やかな色を鈍くさせたネルソンの流す涙には確かに性的な興奮や快感によるものでもあった。だが、その嗚咽には情けなさや恥辱ばかりで満たされていた。


「まだ終わってないよ。ネルソン」


正気の失われた指揮官執務室にあって、指揮官が元来の優しさを見せることができなかったとて責めることは出来まい。潮の海に尻餅をついて、生来の気の強さが嘘のように肩を震わせて弱々しく涙をこぼすネルソンの姿に彼が興奮を覚えてしまうのも責めることは出来まい。そのような中で、無意識のうちに彼がネルソンの金色の髪越しに頭をまるで慰めるかのようにひと撫でしたことが、正常時の彼の性質を物語っている。


「順番は前後しちゃうけど」


それでも場の狂気から彼が免れることができた訳ではなかった。指揮官はネルソンの潮でズボンを濡らす事も構わずに膝をついて床に座ると、太ももというには未発達で細いその大腿部にネルソンの腹を乗せるようにして、彼女を横たえた。快楽と恥辱に耽溺しているネルソンに抵抗などできるわけもなく、酷く容易なことだった。彼女は親に縋る幼児のような面持ちで指揮官の小さな手のひらに撫でられるがままであったから、尚更だ。


「……んあっ」


指揮官がその小さな手には余るネルソンの豊かな尻を優しく撫でると、びくり、びくり、と彼女の身体が反応してはその股を潤す愛液の雫が数滴飛び散り、指揮官のズボンに淫靡なシミをつくる。媚薬を塗りこんで暫く。ほとんど放置しっぱなしであっただけに、ネルソンはかなり敏感になっているらしい。


「やめっ……おしり、いま……だめ、だからぁ」


普段ならこうして触っても少しくすぐったがる程度。それだって感じているというよりは指揮官の遠慮がちな手つきにこそばゆさを覚えているからでしかない。なのに、このままでは撫でるだけで彼女はイってしまいそうだ。


「やめて、く———」


しばしその、胸とは異なる感触だけれど変わらず情欲を催す柔らな白肌を堪能し、ネルソンを焦らしに焦らし終えた指揮官はその手を彼女の尻から離す。そして、


「ひぎぃ!?」


叩きつけた。男好きのする彼女の尻の肉は、特別力を入れずともよく波立った。その波と痛み。媚薬によって過敏になったせいか、それとも今まで指揮官も本人も気づいていなかっただけで元々マゾヒストであったのか、とにかく痛みによって生じた快感がネルソンの全身に伝わる。彼女の上半身は少しのけ反り、脳は今までとはまた違った快楽に冒され、また犯される。


「やだっ……あんっ、やめっ……んっ……て」


何度となく尻を叩かれながらネルソンは懇願するがしかし逆効果だ。感じながらの嬌声じみた懇願、それもいつもなら勝ち気で強気で誇り高い性格をした彼女のそれなど、元々そういうケのない純真な子供の指揮官であっても唆られてしまう。指揮官の手は止まらないし、彼の可愛らしい肉棒は雄を感じさせるに充分な程硬くなる。そそり立とうとする指揮官の肉棒はネルソンのお腹と体重とに阻まれるが、そのせいでゴリゴリと指揮官の雄を押し付けられたネルソンの雌は却ってより強く刺激された。


「やめて……あっ……やめ、なさいって……はんっ、言ってる、でしょ!」


快楽が脳の許容量をオーバーフローしてしまったのか、痛みやあまりに強い快楽が気つけ薬のようになったのか。ネルソンにいつも通りの調子が戻ってきた。だが、それはそれで嗜虐心をくすぐられるというもの。


「だめだよ、ネルソン。まだお仕置きは終わってないんだから」


むしろ、お漏らしのショックで涙する幼女のような状態よりも、反抗心をむき出しな状態の方が甲斐がある。子供のような折檻に感じて、雌を刺激されては股を濡らして艶っぽい声と吐息とを吐く自分を誤魔化すように。その恥辱を紛らわせるように強気な態度をとっているとなれば余計に、だ。


「むう……うう……」


場の狂気に囚われてしまえば言葉など意味をなさない。ならばせめてもの抵抗としてネルソンは両手で口元を抑えることにした。だが、そういう抵抗も今の指揮官に嗜虐心にとってはスパイスであるし、そんな行動をせざるを得ないくらいに。しかも、そうしてなお声を抑えきれないほどに自分は尻を叩かれて感じていると突きつけられるネルソンの心は余計恥辱と興奮に塗れてしまう。


指揮官の手は止まらず、ネルソンも声を抑えきれない。ネルソンの愛液の分泌は甚だしく、痛みと快楽に彼女が身体を震わせて作った指揮官のズボンのシミは最早シミと言えないほどに広がっていた。指揮官の太ももに濡れていないところは殆どなく、彼の股間のあたりまでもが侵されようとしていた。二人の興奮はどんどん高まり、ついに


「んんんっ……!!……うぅ」


ネルソンはまたも潮を吹きながら激しく絶頂した。その様は媚薬のせいもあってかとても激しく、ネルソンは全身から力が抜けきったようにぐったりとしていた。兵器にありはしないはずの子宮の疼きに連動するようにぴくぴくと痙攣しながら、絶頂時に出切らなかった分の愛液混じりの潮をちょろちょろ垂れ流すネルソンの様からは、ロイヤルの持つ格式だとか誇りといったものは一切感じられない。尻を叩かれた余波で刺激されたためか、切なそうに女性器とアナルをヒクつかせているものだから尚更だ。それを一番強く実感しているのは、ぼーっとしながら荒い呼吸にその綺麗な背を上下させている彼女自身であろう。


「頑張ったね、偉いね。ネルソン」


赤らんだネルソンの尻を指揮官は子を慈しむように、褒めるように優しく撫でた。あれほど叩かれ、絶頂までしたばかり。当然、媚薬の効果も未だろくに薄れることなく残っているからその愛撫の快感はひとしおだ。そんな風に尻を撫でられているネルソンは確かに屈辱を感じているはずだが、心のどこかには多幸感まであったのは彼女の指揮官への愛故か。すっかりマゾヒストに堕ちて彼をご主人様、自らを卑しい雌であると序列付けてしまったからなのか。


「それじゃ、ボクは次の準備をしなきゃだから。……分かってるよね、ネルソン」


「……分かってるわよ」




新懲罰規定において肉体的な加虐に移る前、ただ屈辱を刷り込みその反抗心を挫くための罰の最終段階。それは尻を突き出させて、しかも自らその尻の肉が隠してくれているアナルを晒させるというもの。両手が塞がるために四つん這いにすらならず、顔は床を舐めるような形になる、非常に屈辱的な姿勢だ。今のネルソンにとってはヒクヒクとしている可愛らしいそれを晒さざるを得ないわけだから、余計に効果的だろう。


指揮官が『準備』に手こずったのは単純に不慣れで用意自体大儀なものだったからか、意図的にせよ無意識にせよ、そうして少しでも長くネルソンを恥ずかしめようとしたからなのか、誰にも分からない。赤らんだ尻を休めてやろうという気遣いかもしれないし、媚薬と相まって感覚が過敏になった尻を空気が撫でるだけで結構な快感をネルソンにもたらすので、これはこれで責めの一環なのかもしれない


ただ、夜の営みなどで何度となく見られている女性器に比べて、まず見られることのないアナルをまじまじ見つめられるのは当然とてつもなく恥ずかしいことだ。だが、彼に見てもらえると訳でもないのにこうして晒しているというのもそれはそれで惨めで、同じくらい恥ずかしい。


「ううっ……早くしなさいよ」


ネルソンが小さく溢す。今、両手は尻にある。それは当然、アナルにも女性器にも手を伸ばせば簡単に届くところにあるということ。……今なら指揮官の目はない、はず。媚薬のせいか、イレギュラーな仕方でしかしてないためか。何度か絶頂しているはずなのにネルソンの切なさは拭いきれていない。むしろ、指揮官に責められ、いじめられ、絶頂させられるたびに、彼の肉棒か舌か指を求める気持ちはいや増している。今ならなんとなく浮気をしているようで使う気にはなれないディルドでだって、今まで一度だってしようと思ったことのないアナルでだったネルソンは構わずオナニーをしてしまいそうだった。


(バレない、わよね?)


普段の彼女であればそういう不正や、中途半端な仕事など嫌悪して決してしはしないだろう。だが、度重なる責めと快感とで今の彼女は半ば性欲に隷属していた。尻の肉から手を離し、女性器へと延ばす。アナルでしようとしかったのは、いくら媚薬によって過敏になっているとはいえ開発などしてないそこよりは、トロトロに蕩けているこちらの方がより強い快感を伴うオナニーを出来そうだったから。


「……んっ」


大陰唇のフチに指を沿わせる。あれほど潮や愛液を出して、今だってこれほど濡れているのに未だ指揮官に貼られたテープは剥がれていないらしいが、そんなことはオナニーをしたいという気持ちにばかり脳も心も満たされたネルソンには気にならなかった。人差し指と中指とを膣内に挿入れ、いつもそうするより激しく、乱暴に掻き乱す。こんなにも求めているのだから、すぐにイけるものと彼女は思っていたが、以外とそうはいかなかった。指揮官にバレないように、という事を考えると都合の悪いことだが、ひたすら快楽を求める今の彼女にとってはこれはこれでよかった。


「私のこと、ほったらかしにして……バカ指揮官」


根元まで挿入れ込んだ指によってクチュクチュといやらしい音が立つ。その音がネルソンの欲を燃え上がらせ、指の動きが増す。そのせいで余音も増して、また指も……快感に身は縮こまり、尻はより高く突き上げられる。内股のように太ももを擦り合わせながら身を震わせる。ネルソンは今日何度目かの絶頂を迎えようとしていた。


「本当に悪い子だね。君はさ」


その声に快感とは別の理由でビクリと震える。背後を窺うとそこにはやはり、指揮官が立っていた。





(やっぱり無理ね……)


後ろ手に両手をあれこれ動かしてみて、ネルソンは艤装を装備していない時の自分の無力さを改めて痛感した。結束バンド。それも、こちらを慮ってなのか少し緩く付けられたものなど、艤装さえあれば簡単に引きちぎれるというのに。


絶頂直前にオナニーをしているのが指揮官にバレて止められてしまった彼女の切なさは酷いもので、結束をどうにかしようという徒労を何度となく繰り返していた。その切なさを何とかしたくて内股を擦り合わせてみるが、却って疼きが増してしまうだけで逆効果。なのに、少しばかり気持ちいいからと止められない。


「ほらネルソン。これで最後なんだから、早く済ましちゃおうよ」


そう言って指揮官が目線を移した先にあったのは、横倒しにした三角柱に四本足を生やしたような木製のもの。首や頭にあたる部分こそないが、所謂三角木馬だった。その、媚薬を塗りたくられた天辺部分。つまり跨るところを見て生唾を飲みながら、ネルソンはそちらへゆっくりと歩み寄る。拘束のついでにと彼女の綺麗なピンク色を晒させるテープは外されていた。それでも股から雫がポタリ、ポタリと床に落ちることを阻めはしなかった。


ゆさゆさとその胸を揺らしながら。異様な、狂気に満ちた熱気の混じる空気に全身を愛撫されながら歩むのは、後ろ手に手を縛られているのもあって、まるで晒し者にされているよう。そう思い至った彼女の下腹の疼きは、より強まった。首に枷か首輪を付けられ、乱暴に紐で引かれるというのも、指揮官にして貰えるのなら悪く無いかもしれない。


これもおそらくは媚薬同様に明石製なのだろう。普段の指揮官の事だから安全性には気を遣わせているはずだし、明石ならそういう無理もたぶん通せてしまうはず。それはつまり、痛みが自分を苛む快感を誤魔化してくれる望みは無いということ。もっとも、今の彼女であれば痛みなど快感を増してくれるものでしかないのだが。


「踏み台、足滑らせないように気をつけてね」


「お気遣いどーも」


妙なところで普段の優しさというか、細やかさを見せる指揮官に微笑む余裕など今のネルソンには無かった。あの先が少し鈍くなるよう作られている天辺に跨ってしまったならば一体どれ程の快楽に襲われてしまうのだろう。一抹の恐怖と、そんなもの気にならなくなるほどの期待感が彼女から冷静さを奪っていた。


ほんの三段ばかりだが踏み台を慎重に登っていく。散々愛液と塩の水たまりを作った彼女の足は当然濡れている。そのせいで転んで怪我をするなど笑えない。……こうなると、指揮官の先程の言は優しさというよりもっとサディスティックなものだったのかもしれない。


「あ……んんっ……くうっ!?」


木馬に大陰唇を押し除けて彼女の悩ましく潤う女性器を責められる。その快感は想像以上で、どうしても除ききれない多少の痛みと塗られていた媚薬がそれを増幅させる。まさか、ただ跨っただけでイってしまうとは彼女も思ってはいなかった。木馬の側面にいく筋か雫の滴った跡が出来、ネルソンは背筋を伸ばしていられず木馬に倒れ込むようにして全身を預けた。


「らめ……こし、とまらない……おまんこ、きもちいい……」


その姿勢のまま、彼女は自らの性器を木馬に擦り付ける。何度達しても拭えない快楽を求める気持ちが、彼女にひたすらオナニーをさせた。その姿には格式を重んじるロイヤルKAN-SENの矜持などありはしなかった。


「あんっ……くり……あたって……くせに、なりそう……んんっ!あたま、へんに……あんっ!?」


イってもイっても収まらない情欲を収めようと両手を縛られたまま、ひはすらにもぞもぞと腰を動かし疼く雌の部分を擦り付けて快楽に浸る虚しい行為をしかし、今の指揮官がただ眺めているわけもない。彼の手元にはいつの間にかリモコンが握られていて、それが三角木馬の外付け機能を発揮させた。


「はんっ……おしり、までぇ……いじめ、ああんっ!……るん、じゃな……いっ!?」


「機械式の鞭、威力は抑えめらしいけど今のキミには充分かな?」


素手での折檻というのは当然の話ではあるが、疲れるからあまり長時間の懲罰には向いていない。対象が酷く暴れる可能性も考えると余計にだ。であれば、ラクダレースなどで使われるような自動で鞭を叩きつけてくれる機械を使うのが良いというもの。


そんな鞭が機械らしい無機質な音と共に一定の間隔で無感情に彼女の尻へ叩きつけられる。叩きつける、とは言ったがその威力は非常に弱々しくてその表現は些かオーバーであると思わされる。これはあくまで懲罰であって拷問の類でない。長時間の責めを与えるならば多少の加減は考えなければならない。それに、これを使われる相手は媚薬をたっぷりと塗り込まれて感覚があまりに過敏になっているのだから、わざわざ威力を求める必要もない。


加えて、当然この機構の制作も担当していた明石がこれを使われるKAN-SENへの配慮と自己保身から技と設計より出力を弱めたというのもある。万が一この無法が正式に施行されてしまった場合、自分がこの鞭の餌食になるに違いないという自覚がかの商人にはあったのだ。


「へんっ……な、とこ……お"っ!?ぶつんじゃ……あんっ!?」


機械に頼る分どうしてもその責めは一定のリズムのもとで行われる単調なものとなってしまう。そのため、この鞭はわざとあらぬ方向を打ちつけるような材質・設計にされていた。リズムは単調でも、次にどこを鞭で打たれるか分からなければ身構えたり心構えることは難しくなる。そういう作られた方をしているから、時に鞭はひくつく女性器同様に責めや雄を求めてやまないアナルを打ちつけることもある。


「んんっ……んっ……ああっ……らめ、らめ……」


木材の硬さ。自重によって女性器に押し付けられる木馬。鞭の刺激。どこを打たれるか分からないという不安感と、それを凌駕する責めと快感を求める雌としての疼き。それらがネルソンの女性器をきゅんとさせてはきゅうきゅうと締め付けを強めさせ、木馬の天辺を決して離すまいとでも言わんばかりに咥えさせる。木馬側面の水が垂れた跡は幾筋も増えていて、彼女の興奮具合と絶頂の回数とを思わせる。


「はへ……?」


「本当はもう三十分くらい続けるんだけどね」


よがる余りにもはや自分の意志では腰を僅かに動かすことさえも出来なくなったネルソンの姿に、指揮官は彼の幼さにも普段の人格にもそぐわない劣情を向けていた。その肉棒、は硬く伸縮性にそこまで優れてる訳でもない制服のズボンを突き破ってしまいそうであったが故に彼は一旦鞭を止めてしまった。


『鞭が止まった』ということをさえ認識できず『気持ちいいのがなくなった』程度にしか捉えられぬほど思考力が薄れたネルソンの向きを変えるさせる非力な指揮官にも容易なことだった。何が何だか分からないまま指揮官の手つきが示すままに自ずと従ってしまうからだ。


「んあっ!?……ちょ、ちょっと、しきかん。これ、やば……お"っ!?」


うつ伏せのような姿勢から仰向けのような姿勢へ。今まで女性器を苛んでいた快楽が今度はアナルを責め始めた衝撃に、少し正気を取り戻すネルソンであったが、その正気はすぐに消え去る。再起動した鞭が、彼女の股間に叩きつけられる。女性器やクリトリスも例外ではなく、あっという間に彼女はまたよがり声ばかりを発して被虐と快楽を求める、嗜虐心くすぐる一匹の雌に変わり果てた。


「むぅ……うう……むううっ……」


快楽に跳ねるネルソンの身体はしかし、指揮官の小さな身体に抑えられ、鞭による甘い痛みから逃れてしまうという彼女にとって不本意な結果は訪れない。ただ抑えるだけで良いのに、彼がわざわざ唇を重ね合わせたのは獣欲がそうさせたのか。もしかしたら無機物にその条約をぶつけて収めようとする姿に嫉妬心のようなものを抱いたのかもしれない。どちらにせよ、ネルソンほどではないにせよ正常な思考など消え果てて久しい指揮官には、自分の行動の理由なんて分かりはしない。


「むぐぅ……んんっ……んっ……」


鞭が振り下ろされる度にネルソンの全身は震え、その両脚はびくりと動く。特にいじめられたいところ、つまりは女性器やクリトリスを責めて貰えた時は、一段と激しくなる。そんな状態にある彼女が、責めが終わるまで待てるわけもなく、


「んんんっ……!!むぅ……うううっ……!?」


一際激しい絶頂と共に、些か勢いの激しい潮を吹く。その潮が吹く様は噴水のよう……というよりは蛇口を上に向けられた水道から水が出る様に近しい。勢いに任せて少し上がって、すぐに重力に従って落ちる。些か激しいとは言っても、元々が穏やかにしか潮を吹かない彼女であるから、このようなものだろう。


彼女が潮を吹いている間も、収まった後も鞭は止まることなくひたすらに彼女の股を責める。すっかり虚脱して力なく垂れ下がる彼女の長く美しい両脚が、無様なカエルのように痙攣するのは絶頂の余波であろうか。絶頂直後で更に過敏になった部分を叩かれて悦んでいるからであろうか。


割れ目に溜まった潮と愛液の混ざった水分が、振り下ろされた鞭によって水滴となって宙を舞い、木馬の足元に出来た水たまりに波紋を生み出す。新懲罰規定の実験が終わった事に二人が気づくまで暫くの間、そんな光景が変わり映えなく繰り返される。無機質な機械の駆動音と、ネルソンの赤みを帯びた白の柔肌に鞭が弱々しく打ち付けられる音と共に。





「ごめん、ごめんね、ネルソン」


暫く時間が経って、ようやく獣欲の憑き物が落ちた指揮官は自らの引き起こした惨状……と言うより痴情にはっと気づいた。大焦りで機械を止めて、まるで気絶でもしてしまったかのように股を鞭に叩かれるまま動かないネルソンを抱き起こした。


乙女の体重であるから具体的な数字は分からぬが、当然数十キロの重さはある。それに、意識を失っていたりして脱力した相手は数値以上に重く感じる。元来非力な彼では横抱きに抱えるなど不可能なので仕方のない工程ではあるのだが、当然彼女のアナルは身体の動きと自重とのせいで木馬の天辺に押し付けられる形となってしまう。ネルソンの身体は快感に震えた。


「うわっ!?」


彼女の重さのためか、床の水たまりに足を取られたせいか。指揮官は重力に従って床へと倒れ込む。無意識的にネルソンを庇おうとしたが腕が上手く動かない。ハナからするつもりはなかったが、受け身を取れもしない。床に全身を強かに打ちつけ、更にネルソンに押し潰される一瞬後の未来を思って指揮官は思わず目を瞑った。


「痛たたた……って、あれ?」


目を瞑ったが、指揮官は思ったほどの痛みを感じないどういうことかしら?と疑念を抱きながらゆっくりと目を開いた。身長や体格差がありすぎて自分がクッション代わりになれてるかも怪しいから、ネルソンの安否も気になる。そこには


「はぁ……はぁ……あ、あんた、よくもやってくれたわねぇ?」


潤んだまなじりに荒い呼吸。羞恥と屈辱と少しの怒りと快楽漬けの残滓とで頬を散々に叩かれた尻や股間よりも真っ赤にしたネルソンの鬼気迫る顔があった。腕が動かないのは彼女に抑えられ、押し倒されていたからだった。思ったより痛みがなかったのは、たぶん意識的か無意識的かは知らないがネルソンが加減してくれたのだろう。


指揮官は本能的に負け悟り、未来を悟り、自省と自責の念を抱きながらも、せめて死なない程度の手心をと彼女の慈悲の心に期待する自らの生き汚さと情けなさに心中自分で自分を嗤った。


「弁明は?」


一応今日の一連の事はネルソンも了承済みのことであるからと反論すること自体は、彼にもできる。だが、狂気に憑かれて彼女に必要以上の加虐を、それも自らの情欲のために加えていた訳それは通じまい。少なくとも、非は絶対的に我にありと思っている指揮官にとってはそうであった。だから、火に油を注ぐまいという生存本能からくるものではなく、ひたすらに反省の念から


「……ない、です」


指揮官は全てを受け入れる事にした。そんな彼の縮こまった態度に、今度はネルソンが嗜虐心を燃え上がらせる。指揮官の態度に少し気をよくしたネルソンが、少しサディスティックな色のある笑みを浮かべる。そこに妖艶さを覚える指揮官は本来、マゾのケがあるのだろう。彼女の花のかんばせと艶やかな唇が勢いよく迫ってくる。


「むぅぅぅ……!むぅ、うぅぅ……」


弾力のある舌が指揮官の口内を蹂躙する。普段であればまず前戯よろしく指揮官の唇を穏やかに這わせるのだが、そんな事は今の彼女の頭にはない。まるで犯すか捕食をするかのように歯の裏であるとかをなぞって、蠢く。相手よりも大きな舌を指揮官のそれを絡めるネルソンは、彼に息継ぎなど認めるつもりはないらしい。


抵抗などするつもりはなくとも貪るような勢いで深い、深いキスをされてしまえば身体は反射的にジタバタと足掻き始める。けれど、二人の体格や筋力の差は歴然で、しかも今のネルソンは加減が効かない。抵抗など徒労で、また今のネルソンの嗜虐心に薪をくべるようにして彼女を悦ばせてその勢いを増させるだけだ。


『指揮官なら身につけるものも一級品にしなさい』と、ネルソンに求められ、また彼女が用立ててくれた靴がコッコッコッと床を打ちつける。その音色には彼の無力さと抵抗の虚しさとが篭っていた。だが、その音は次第次第に小さく弱々しくなっていき、指揮官の脳内が酸欠の霧に覆われた頃には全く音を立てなくなっていた。


「前菜はこんなところかしらね」


物言わず、先程までの自分のように無様に小さな身体を痙攣させる指揮官を満足した面持ちで彼女は見下ろしていた。けれど、彼女がこれで済ませてくれるわけもない。ネルソンは跨っているものの存在を確認するようにぐりぐりと自らの女性器を押し付け、その快感に少し惚ける。


ようやくだ。あの恥辱に塗れた時間ずっと求めていたものを得られる。そんな幸福に浸りながらも、彼女の心は次第に不満の色を帯び始める。あれ程激しくキスをされて、ズボン越しとはいえこうして自分の女性器を押し付けられている。こんな、男としてこの上ない幸せに浴しているというのに、どうして指揮官の雄は未だこんなにも柔らかいのか。いつもならあっという間に大きく、硬くなるというのに。


「まあいいわ。それじゃあ、メインを頂こうかしら?」


小さく愛おしい状態の感触もそれはそれでネルソンは好きだった。だから指揮官のズボンを脱がせるためとはいえ、腰から離れてその感触と少しの間さよならしなければならない事を彼女は内心残念がっていた。だがやはり、今一番欲しいのは幼いながらも雄を感じさせるあの硬さだ。どんなに大きくなっても奥にまでなど届きはしないあの可愛らしいもので蜜壺を掻き乱し、熱い子種を注がれる。その雌の悦びで身を、心を満たしたい。いつもなら焦らすためにワザとモタモタと外すベルトも、追い剥ぎか何かのように乱暴にあっという間に外してズボンごとパンツを脱がす。


「……っ!?このにおいって……」


ズボンの中で篭っていた、彼女が求めてやまない『におい』——生臭い『臭い』ながら、情欲をそそられる良い『匂い』——が彼女の鼻をつく。随分と自分の痴態に興奮してくれてたらしい。パンツの様子を見るに、たぶん2、3度は射精していたのだろう。道理でなかなか大きくならないわけだ。ネルソンはムッと不機嫌になる。


「パンツに射精すくらいなら、押し倒すでもなんでもして私のナカに射精しなさいよ。ったく」


今更獣欲のままに犯されたところで指揮官を嫌いはしない。今日に関してはむしろ喜んで受け入れていた。まあ、それは指揮官の人となりがあってこそ受忍できることで、何度となくそんな事をされれば軽蔑し嫌悪する程度の『喜んで』ではあるのだろうが。ともかく、こちらがあんなにも切なく求めていたものを無駄撃ちされたのは堪らない。


亀頭にキスをしてみる。精液の味が移ったのだろう。いつもよりも苦く、不味い味は今の彼女にとって甘美なものだった。その整った顔に生臭いものが当たるのも構わず、根本のあたりから先っぽまでネットリと舐め、咥えてみる。酷い臭いと味とに口内だけでなく脳まで満たされるようで、ネルソンはその細い指を思わず蜜壺に延ばしそうになって、なんとか自省する。ここまできたら愛しい、愛しい肉棒で果てたい。暫くフェラチオを続けてみるが、やはり駄目だ。どれもこれも、普段の指揮官なら加減を間違えると暴発してしまう程に反応するのだがどうにも鈍い。


「……んっ!……これ、結構気持ちいいわね」


暫く味を楽しんでからその口を離したネルソンは未だにいつもより小さな指揮官の男性器に、まだ媚薬の効果が残っているのもあってビチャビチャな割れ目を擦り付ける。いつまで経っても初心な指揮官はエッチをしようという雰囲気だけで少し硬くしてしまうから、これほどフニャフニャな感触を堪能できたのは初めてかもしれない。これはこれで、悪くはなかった。


「でも………もう、我慢できない」


悪くはなかったが、もう辛抱できなかった。タラタラと愛液を垂らす女性器器を指で押し広げ、気休め程度には硬くなった指揮官のそれを咥え込む。


「くうっ……あ、あんた、優しくされるの好きだもんね?この雑魚チンポ、私のおまんこでいーっぱい、よしよししてあげるわよ」


指揮官の小さな身体を抱きしめるようにしながら腰を上下させる。指揮官の肉棒を挿入して、その子種を注がれる事以外頭に無い彼女には辛抱強く指揮官の雄が反応するのを待つなんて出来はしなかった。小さな肉棒を離すまいと腰に力を入れて膣を強く締め、小刻みに腰を動かす。酷くもどかしくいが、こんな有様でもネルソンは絶頂してしまいそうだった。


「んんっ……!は、はやく、勃起しなさいっよ……!」


少しでも指揮官を興奮させようと。それから、まだ小さな肉棒にイかされまいと気を逸らしすために、もう一度キスをする。欲しい、欲しいと願ったものが手元にくると人間欲が出てしまうもので、どうせなら指揮官共々一緒にイきたい。そういう欲を出してしまったネルソンの余りに敏感すぎる女性器は、彼女の意志とは裏腹に今すぐにでも絶頂しそうだった。快楽を我慢しながらでは舌の動きも鈍く、酷く拙いキスになってしまう。


「むうっ!?」


そうして暫く腰を振っていると、彼女の膣内でムクムクと指揮官の肉棒が大きくなっていくのを感じ、快楽に思わず腰を引いてその動きを一瞬止めてしまった。ネルソンが唇を離して上体を起こす。そのわずかな動きでも、甚だしい快感が彼女の全身に電流のように駆け抜けた。


「媚薬、指揮官にも効くのね」


彼女の女性器には未だに媚薬が残留していて、それが悪さをしてくれたらしい。まるでまだ一発も抜いていないかのように、数日禁欲した後のように、指揮官の肉棒は硬直し怒張して真っ直ぐになっていた。


もう我慢の必要はない。ネルソンは股を少し大きく開いて指揮官の小さな双肩に両手を置き、激しく腰を上下に振る。指揮官の腰に打ち付けられたネルソンの尻がパン、パンと音を立て、指揮官の形をよくよく記憶してその形になってしまった彼女の膣内を擦って刺激する。


「んっ!んんっ、うぁぁ……ふぅ、ふぅ……!や、やっぱり、これよぉこれぇ……」


つま先立ちするような形になっている足先も、身体を支えている腕も、打ちつける腰も。快感に震え、今にも力が抜けてしまいそうだった。それでも腰が止まらない。止められない。彼女の豊かな胸の激しく揺れる様が、どんなに彼女がこの快感を、感触を強く強く待ち望んでいたのかを示していた。


「ああっ……ああ……くぅ、うう……!」


嬌声が室内に満ちる。その自らが発した、自分の卑しさを突きつけられるようなはしたない声でさえ、今のネルソンにとっては情欲を唆るスパイスだった。腰のピストンの速さが増していく。脳が指揮官の肉棒の感触に犯され、心中から込み上げるものを感じる。そして、


「んあああ……!!ああ……はあ、はあ……」


今日一番激しく、満ち足りた絶頂をネルソンは迎えた。その表情は恍惚としていて、これ以上ない幸せに満ちているように見える。これもまた媚薬のためか、指揮官の熱い精液が彼女の下腹にたっぷりと注がれ、彼女の膣と彼の肉棒との隙間から白濁液が溢れていく。


「これ……あかちゃん、はらん、じゃいそう……」


兵器である彼女にそんな事出来るわけはない。けれど、普段よりも余りに多くの子種を膣内にぶち撒けられてしまえば、思わずそんな事を考えてしまった。



「ん……ネルソン……?」


「あら、ようやく目が覚めたの」


天を仰ぐように脱力しながら暫く余韻に浸っていると、指揮官がようやく気がついたらしい。まだ幾分うっとりとした目で彼を見つめる。その顔には笑みが綻んでいた。


「ねぇ、指揮官」


目覚めたばかりの指揮官はまだ気付けないでいるのだが、彼女の膣内にある肉棒はまだまだパンパンに張っていた。これなら、あと3回か4回か……もっと出来るかもしれない。その悦びに彼女の雌の本能が疼く。


「ミイラになんかなるんじゃないわよ?」


「……えっ?」


指揮官がその言葉の真意を理解するよりも早くネルソンは腰を動かし始める。愛液と性液で満ちたネルソンの蜜壺を指揮官の肉棒が突く……いや、突かされる湿った淫靡な音と指揮官の声変わり前なまだ甲高い喘ぎ声。そしてネルソンの艶やかで楽しげな声が部屋を満たす。指揮官への懲罰は、極楽のような地獄はどっぷりと日が暮れ、自分の発明品の出来を心配した明石が指揮官室を訪れるまで中断されることはなかった。









指揮官がネルソンのために取った少し長い休日がどのような使われ方をしたかは、想像に難く無いだろう。

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