弱点
「ん?」
正義実現委員会の活動が終わり、帰路につく途中、家までもう少しというところで先生を見つけた。後ろ姿だが間違いない。あの体を見間違えるなどあり得ない。
メロンどころか冗談抜きで大玉のスイカを二つぶら下げているような爆乳。そんな胸に負けず劣らず大きいデカ尻。それらを支えるための私の胴より太いぶっともも。そのくせお腹はキュッと(体格相応に太くはあるが)括れているし、どこもかしこも柔らかさと弾力を兼ね備え、それでいておっぱいもお尻も、どちらも垂れたりはしておらず綺麗な形を保っている。
男どころか女でも劣情を抱き、キヴォトス中の生徒を虜にする超絶どすけべボディ。
そんな先生が一人で歩いている。珍しい、性的魅力を抜きにしても純粋に慕われている先生は、側に誰かしら生徒がいることが多い。この辺りに用があったのだろうか。
「先・・。」
声をかけようとしてやめる。ふいに湧き上がったいたずら心。
以前ミカ様が、先生に後ろから飛びついているのを見たことがある。ミカ様が加減していたのもあるだろうが、人一人分の重さを受け止めても少し揺らぐ程度だった。あの体だ、相当体幹が強いのだろう。
先生を怯ませてみたい。力ではキヴォトス最弱だが、経験を積んだ大人だからか先生はいつも余裕がある。以前開催された過酷バトルでも、力で劣る先生が終始生徒を手玉に取っていた。
私では力も体格もミカ様に及ばないが、手はある。耳を狙おう。突然耳に息を吹きかけられたら、流石の先生も驚くだろう。あわよくば、大人な先生の可愛らしい悲鳴が聞けるかもしれない。
少々子供っぽい気もするが、今周りには誰もいない。先生とて言いふらしたりしないだろう。
足音を抑え、小走りになる。先生はまだこちらに気付いていない。いざっ!
「せーんせっ、ふぅー♡」
狙い通り背中に飛びつき、耳に息を吹きかける。
すると
「"っ?!ふぁっ♡んっうぅんっ♡"」
先生が膝から崩れ落ちた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・??
何だ?今何が起きた?先生の首に回したままの腕を離し、一歩下がる。
「"ふっ♡ふっ♡ふっ♡んっ、はぁっ♡"」
いわゆる女の子座りでへたり込んだ先生は、両手でそれぞれ口と耳を抑え、何かに耐える様に浅い呼吸を繰り返している。抑えて無い方の耳は真っ赤、というか耳だけじゃなく首まで赤くなっている。
「あの・・先生、ごめんなさい大丈夫ですか?」
声をかけながら回り込む。目には今にも溢れそうなほど涙が溜まっている。
「"はぁっ♡、あっ、えっと、だ、大丈夫、だよ。ちょっと、んっ、驚いただけ、だから。"」
ちょっと?驚いただけ?何を言ってるんだこの人は。鏡を突きつけてやろうか。
「先生ひょっとして、耳弱いんですか?」
確認するまでもないが一応問うてみる。
「"う、うん。ちょっと、本当にちょっとだけね。あはは。"」
聞いただけで一瞬肩が跳ねたほどだ。よっぽど弱いんだろう。それにここまででまだ立ち上がれてない、完全に腰が抜けてしまったようだ。
気まずそうに誤魔化す先生をよそに、私の頭はスーッと冷静に、しかし鼓動は早くなっていく。
もう一度周りを確認する、誰もいない。家はすぐそこ、一人暮らし用の平屋建て。明日はちょうど非番。
力で劣る先生が生徒に優位に立てるのは、一重にテクニックによるもの。経験を積んだ大人の手管と色気。そのどちらもが今吹き飛んだ。
降って湧いた幸運、絶好のチャンス。逃す手はない。
かがみ込んで耳元で囁く。コショコショと吐息多めに。
「ねぇ先生?大丈夫ですか?私の家すぐそこなんですけど、少し休んで行きませんか?」
「"うひっ♡やめ、んあっ♡やめて♡耳だめ♡耳よわぁんっ♡弱いからぁっ♡"」
案の定ビクビクと震え喘ぎ出す先生。過酷バトルの時の余裕は微塵も感じられない。もはや一つの性感帯だ。
「辛そうですね先生。やっぱり休んでいってください。さ、肩を貸します。」
''耳を抑えていた方の手''を取り、肩に回す。すかさず耳元に口を寄せて
「先生さっき耳でイってましたよね?変態♡
それ、ふぅー♡れろぉ♡」
息を吹きかけ、耳を舐め上げた。
「"んっ♡んっんっ♡んむぅぅぅぅぅぅ♡♡"」
手が未だ口元にあったおかげで咄嗟に声は抑えられたが、それでも派手に絶頂した先生を無理矢理立たせ、半ば引きずる様にして歩き出す。絶頂の余韻に震える先生はされるがまま、逃げるどころか声も出せない。ああ、
楽しい休日になりそうだ。