幸せは夢見心地で

幸せは夢見心地で



「…………」


「…………」


「……ウタ」


「……うん」


「…………よかったか?」


「…………うん」



「……ならよかった」


「……ルフィは?」


「……よかった」


「……そっか。よかった」



「……ありがとう、ルフィ」


「……何がだ?」


「……嬉しかったから。ルフィとこうやって……」


「……そか。おれも嬉しかったぞ」


「……どういたしまして」



「……変じゃなかったかな」


「……変?」


「……私、こういうこと初めてだったから」


「……おれだって初めてだ」



「……つい此間まではさ……」


「……誰かと……ルフィと、こういうこと出来るとも、思ってなかったから」


「……」


「……痛くて、でも気持ちよくて、あったかくて……」


「……痛かったか?ごめん」


「……最初だけだよ。あとはずーっと気持ちいいのと嬉しいのでいっぱいだった」


「……そうか」



「……私、変な顔してなかったかな……」


「……変な顔?」


「……多分顔真っ赤だったし、あんまり嬉しくてちょっと泣いちゃったし……」


「……悪りィ、あんまりウタの顔見れてねェ」


「……なにそれ」



「……おれの方こそ、変な顔してなかったか?」


「……ううん、してなかったよ」


「……そうか」


「……苦しそうな顔はしてたけどね」


「……ごめん」


「……ふふ、謝らないでよ」



「……ずーっと人形だったから。人の暖かさなんて全然感じたことなかったのに……」


「……」


「……ルフィの体温を一番近くで感じられて……


「……ルフィの一番あったかいところを感じられて……」


「……私、すっごく幸せだった」


「……ウタもあったかかったぞ」


「……よかった。私もちゃんとあったかくて」


「……当たり前だろ、生きてりゃみんなあったけェんだ」



「……でもちょっと疲れちゃった。私もう寝るね」


「……分かった」


「……おやすみ、ルフィ」


「……なあウタ」


「……?」



「……初めてがおれで……よかったか?」


「……うん。ルフィでよかった。ルフィがよかった」


「……ニシシ、そりゃよかった」



「……ねえルフィ」


「……ん?」


「……大好き」


「……そか」


「……ルフィは?」


「……おれもだ」



「……嬉しいな」


「……ルフィが、好きって言ってくれるのも」


「……ルフィが好きって、口に出して言えるのも」


「……ルフィを、好きになれたのも」


「……全部幸せ」


「……ほんとに、しあわせ」



「……泣いてんのか?」


「……うれしいからだよ」


「……そっか」


「…………」


「……なあウタ」



「…………」


「……ウタ?」


「…………スー……」


「……寝ちまったか」



「………………」


「……ニシシ。なあウタ」



「……おれも、幸せだ」


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