師匠を誘惑する悪い弟子のお話

師匠を誘惑する悪い弟子のお話


「確かに君の好きな服装を着てやるとは言ったけどね、ここまで用意するとは思わなかったよ」

目の前にずらりと並ぶ衣装の列を見ながらライネスは呆れたようにため息をついた

霊基再臨の際に身に着ける洋装・中華の衣装のみならず世界中の民族衣装からメイド服といった仕事着、果ては役者が着るようなステージ衣装まで所狭しと並び、まるで衣服の博覧会である

「ミス・クレーンに頼んだら張り切ってくれて、なんと師匠と私どちらでも着れるようにサイズが自動で調整される特別性なんですよ!」

そう言いながら胸を張るのは藤丸立香-ライネスのマスターにして愛弟子である少女である

「君が作ったわけでもないのに偉そうにするんじゃない。どうしてそんな手間のかかった仕様にしたんだ」

そのような服を作るのには特別な素材が必要だし、制作するのに使用した魔力も相当なものだろう。元々服を作るのに並々ならぬ情熱を注ぐ英霊とはいえ、マスターの我儘だけでこれだけの衣服を用意できるものではない

「元々誰でも試着できる服の研究はしてたらしくて、試作品も結構作っていたらしいんです。それに・・・」

そこで立香は自身の師匠に花のような笑顔を向ける

「これなら師匠とペアルックし放題ですし!」

そう嬉しそうに宣言され、ライネスは顔を赤らめる。可愛い弟子にこの笑顔を向けられるといつも押し負け願いを聞いてしまうのが常であった。我ながら甘い、とライネスは自戒するが悪い気がしないのも確かである

「゙・・・仕方ない。けれども全てを着ることは出来ないからそのつもりでね」

そうして二人だけのファッションショーが始まった。

「着物の下には下着をつけないと聞いたが」「いつの時代の話してるんですか師匠」

「どうですか師匠、メイドさん1人雇いません?」「身の回りの世話はトリムマウで足りているよ」

「他国の物ならいいが中華の女物の衣装は着るなと司馬懿殿がうるさくてね」「気持ちはわかりますけども、残念」

そうして二人で衣装合わせしている内に時は過ぎていった

「さて、我が弟子。そろそろ潮時だ。これ以上は明日に差し障るからね」

「んー、わかりました。それじゃあ最後にとっておきの衣装をお披露目しますね」

そう言って試着室に入っていく立香。カーテンを閉める際に立香はいたずらっぽく微笑む

「決してカーテンの向こうを覗いてはいけませんよ、師匠」

「今更ミス・クレーンの真似事かい?覗かないから早く着替えたまえ」

はーい、とカーテンを閉める立香を見送り、ライネスは改めて衣装で埋まった部屋を見渡す

(しかし、結局あの辺りの衣装をマスターは薦めてこなかったね)

そう思考するライネスの目線の先にあるのは、露出度の高い扇情的な衣装やほぼ紐といって差し支えないような水着など明らかに性的な目的に使用される衣装群だった

(あの衣装を見つけた時にはてっきり私に着せることを目的にしていたと思ったのだが。・・・着てみても良かったのだけどね)

藤丸立香は人類最後のマスターであると同時に、好色な同性愛者としての一面を持っている。ライネス自身も立香に口説き落とされ肌を重ねたことは一度や二度ではなく、その卓越した性技の虜となっていた。

(・・・いけないね、抱かれることを期待してしまっている。こんなにふしだらではなかったはずなのだが)

その衣装をみてからいつ立香がその衣装を着ることを薦めてきてそのまま抱いてくれるのかと期待していた自身の煩悩を振り払うかのように頭を振るライネスに背後から声がかけられる

「おまたせ、師匠。待たせちゃってごめんね」

「いや、構わないよ。一体とっておきの衣装とはどういう・・・」

そう言いながら振り向いたライネスはそのまま息を吞む

立香はシースルーのネグリジェに身を包んでいた。通常の物とは違い胸元や足の部分に深い切れ込みが入っていて立香の胸元や太股が大胆に露出しており、透明な生地と相まってほぼ裸同然の服装となっていた。

「な・・、なんて恰好をしているんだ!一体どういうつもりで」

一瞬呆けた後、なんとか正気を取り戻したライネスは適当な上着を掴み立香に歩み寄るが、その前に立香がライネスの懐に潜り込む。

「どういうつもりって、師匠に抱いてほしくて勇気を出してこんな格好をしてるんですよ?」

「な・・!?」

再び絶句するライネスの頬に手を添えながら立香は語りだす。

「師匠、ずっと私の体を見てました。私の唇、胸、お尻、アソコをずっとずっと物欲しそうに。あんなに情熱的に見られて、私とても嬉しくて。だから勇気を出そうと決めたんです」

そう語りながらライネスの頬をなでる立香の瞳は劣情で濡れておりその微笑みは娼婦そのものであった。

「いや、違う!私はけっしてそんな目で君をみては・・!」

「それじゃあ、どんな目で見てたんです?あんなに食い入るように私の体を見ていたのに」

必死に否定しようとするライネスだったが、立香に尋ねられ言葉に詰まる。まさか、逆に立香に抱いてほしくて見つめていたなどと言えるわけがなかった

「いいんですよ?私の体を師匠の好きなようにして」

立香は何も言えなくなったライネスの手を取り自身の胸元に引き寄せる。下着もつけていない立香の胸の感触にライネスは生唾を飲み込んだ

そのまま立香はライネスの耳元に唇を近づけて囁く

「わたしのこと滅茶苦茶にして、師匠」

その言葉に理性の糸が切れたライネスは立香を押し倒すと唇を強引に奪い体を弄り始める。必死に自身の体を求めるライネスを立香は満足げに見つめ、そのまま快楽の声をあげ始めるのだった。

その後、「やってくれたね・・」と恨めし気に見る師匠に対して「師匠にこんなに愛されてるなんて、私は幸せ者ですね」と心底幸せそうに返して返り討ちにする弟子がいたとかいなかったとか。



Report Page