希紲の恋愛記録(一部抜粋
○月×日
ずっと好きだった咲綾と付き合い始めてから一か月が経過した。
希紲は咲綾と付き合えたことに浮かれきっており、それ以上に目を向けられず、この一か月間手をつなぐどころかデートに行くことさえできなかった。
これにはさすがの竜王超人同盟も呆れ、希紲のケツを蹴り上げる始末。
○月△日
竜王超人同盟の皆からの後押しもあり、ようやく咲綾をデートに誘うことができた希紲。今回のデートの目標は咲綾と手をつなぐこと。
しかし希紲は、そのことばかりに意識をしすぎ、肝心のデートでは上の空が続き咲綾を呆れさせてしまう。咲綾を怒らせたと思った希紲は、咄嗟に咲綾の手を握るが、カフェのテーブル上での手つなぎになったため、想定していたものとはだいぶ違うものになってしまった。まぁでも目標達成…?
12月25日
初めての彼女とのデート、咲綾へのイメージで高校生らしからぬ夜景でほにゃららのデートプランを意気揚々と組んでみたものの、竜王超人同盟の皆に総ツッコミは喰らう。希紲は納得がいかなかったものの、なら咲綾から意見を貰えと詰められしぶしぶ咲綾に相談する。
なお、クリスマスデートは希紲の家でお家デートになりました。
□月×日
咲綾と付き合い始めてから一年が経った。つまり高校三年生になったということ。夜来学園でヒーローを目指す者が避けて通れぬ門。そうヒーロー認定試験。だが、それを目前に希紲はもっと恐ろしいことになる。
咲綾から言い渡される試験が終わるまでイチャイチャ禁止令。
地獄の始まりである。
△月×日
今日も今日とて、竜王超人同盟の部室でゴルドバーンを相手に机を涙で濡らす。
キスもダメ、抱きしめるのもダメ、デートもダメ、手をつなぐは…セーフ。
そんな日々が続く。
△月○日
ついにヒーロー認定試験が終わる。手ごたえはある…むしろ悟りを開いた希紲に手ごたえがないことなんてなかった。
咲綾の家に呼ばれた。
希紲は悟りを捨てた。
○月○日
夜来学園の卒業式を迎えた。これから希紲は咲綾と共にヒーローになっていく。竜王超人同盟の皆は純粋なヒーローにはならなかった。皆各々の夢に向かって歩いていくらしい。でも意外だった、皆このまま一緒に…いや、希紲は皆の夢を応援する。だって二度と会えなくなるわけじゃない。いつだって会えるのだから……。
希紲の手を握ってくれた咲綾の手はやけに温かく、いつもより近く感じた。
あれから3年後。
俺は次期トップヒーローと呼ばれるまでになった。
けど、このヒーロー社会は変わってしまっていたトップヒーローの失墜。
かつてのトップヒーローは妻と子供を守れなかった過去を持っていたらしい。
竜王超人同盟のみんなは別々の道を進んでしまった。
なら俺は?俺はこの愛を持っていて_________プツンッ