巻き戻り忘却する

巻き戻り忘却する


注意

・3兄さん視点

・GWちゃんクロスギルド合流if概念を採用しています

・キリの良いところまでは書いたけど完結したわけではない(何なら半分お蔵を引っ張り出してきた状態)

・捏造能力によって3兄さんとGWちゃんの年齢が巻き戻ります(ついでに記憶も全部じゃないけど無くなっています)

・全体的にふわっと書いたので何も考えずにお読みください

・その他もろもろ

上記を読んだうえで大丈夫でしたらどうぞよしなに。




───能力者の攻撃にやられたらしい。

全身に焼けるような痛みを感じつつ一番見やすい手を見ると、そこには変わりない...変わりない筈の手。

けれど、傍らの子どもも含めて違和感。

その子の服は無理やり着せたようなサイズ感になっていて、困惑して辺りを見回している。

何か爆発する武器のようなものをぶっ放す青い髪の男に声を掛けた。

「そこの青髪の...!」

「ギャルディーノ!?...いやお前マジで何があったんだよ。」

この男はなぜ私の本名を知っている。

「お前は誰だ?そこの子どもも...」

「忘れっちまったのか!?おれ様は千両道化のバギー、こっちはお前の相棒のミス・ゴールデンウィークだろうがってハデに小さくなってやがる!」

情報量が多くてうるさい顔をさらにうるさくさせながら、バギーと名乗った男は幼女を抱え上げた。

「ミス・ゴールデンウィーク...」

「?わたしはマリィよ。ねえおじちゃん、おろして」

「駄目だ、今からおれたちの拠点に戻るんだよ。」

「むー!」

ミス・ゴールデンウィーク...マリィと名乗った子どもはするりとバギーの腕の中をすり抜けるように降りて、服を引きずるようにしてこちらに来た。

「だっこ」

「わ、私か...?」

「ん」

子どもの相手は得意じゃないが、仕方ない。

腕を広げる彼女を見て内心溜め息を吐いて抱き上げれば、随分と機嫌良さそうに彼女は笑った。


「ああ、十中八九能力者のせいだろう。おれはそちらには明るくないが、そういう奴も居ると聞いたことがある。」

「(鷹の目のミホーク...)」

先程まで機嫌の良かったマリィは鷹の目の圧に押され私の腕の中で大人しくしているが、私も緊張で心臓が痛い。

「全く、手間を掛けさせやがる。」

隣の黒髪を撫でつけオールバックにした男は呆れた顔をしている。

「ええと...貴方がMr.0...ボス、ということでよろしいので?」

「ああ。Mr.3、今抱えてるガキはミス・ゴールデンウィーク...マリアンヌだ。テメェが25の時に会って相棒になる。今の『戻った』テメェは23だったか?」

小さい子どもながら絵の具による催眠術の使い手だと聞いたときは耳を疑ったが、Mr.0───ボス、サー・クロコダイルが言うのなら嘘ではないのだろう。

「ちなみに子育ては大変だぞ、覚悟しておけ」

火のついていない葉巻をくわえて言うその様子に哀愁が感じられるのは、気の所為ではないだろう。


「というわけで、子守係になってしまった。」

「お前も若返って記憶無くなってんのに大変だな...」

「まあこの子には私の作品を与えておけば大人しくなるという発見があったから良いだろう。」

「...それにしたってやけに大人しいな。」

静かに私の作った作品へ色を塗って遊ぶ彼女はただの子供だ。

ふと、そんな彼女に対して秘めた衝動が疼く。

「(...彼女を作品に───)」

瞬間、脳内が警鐘を鳴らす。

まるでそれは駄目だと誰かが叫んでいるかのように。

「オイ、ハデにバカなことは考えんなよ。」

「...分かっている。」

頭痛さえ起こしそうな警鐘は衝動を抑えることで鳴り止んだ。

「パパ」

いつの間にか近づいていたマリィの方を向いて思わず渋い顔を浮かべてしまう。

「君の父親ではないガネ...」

「んー、ダディ?」

「それは同じ意味だ。ギャルディーノ、と呼びたまえ。」

「?ギャ、ル...?」

よく分からないといった顔をする彼女にこちらが諦めた。

「...ギャリーでいい」

「ギャリー!」

にこにこと純真無垢な笑顔を見せるこの子が数年後に裏社会の人間になるなんて、俄には信じがたい。

「ね、おじちゃん、ギャリー、みてー」

「おれは『おじちゃん』のままかよ...で、それは何だ?」

彼女の手元に注目すると、私の作った『ミナミアオガメ』に鮮やかなマリンブルーが単色で塗られていた。

確か南の海で見られるそれは正しく海に溶け込むようなマリンブルーをしていたはずだ。

「マリィ、見たことあるのか?」

「?ない。」

「見たことなくてこの色塗るのは中々だな...カメつったらだいたい緑だろ?」

「それはそれとして...こればかりで飽きはしないのだろうか。」

残念ながら子供の相手を長時間するのは経験がない。

バギーもそうらしく、顎に手をやった。

「ンーどうだろなァ、おれがガキんときは船長が持ってたお宝とか眺めたり泳いだりしてた覚えはあるが...」

その言葉にふと疑問が浮かぶ。

「バギー、泳げるのか?」

「泳げたのはまだ能力者になる前の話だ。シャンクスのせいでバラバラの実食っちまってカナヅチになって、海中のお宝は諦めるしかなくなったんだよ。...まあそれは置いといて、本人がやりてェことやらせとくのが楽で良いから今んとこそれで良いんじゃねェか?」

「それもそうだな。」

「...お前が素直だと気ィ狂うわ。」

「(37の私は一体どんなことをしでかしてきたんだ...)」

渋い顔を浮かべつつ冷めてきた紅茶を口に運んだ。

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