差異
「どうしてビーマに毒を持ったんですかドゥフシャーサナ兄さん!」
「あれ?どこで聞いたんだヴィカルナ」
そう言って兄は不思議そうに首を傾げた。
同じ肉塊から生まれたけれども性格が同じというわけではない。
それぞれ好きな物や嫌いな物がが違うし、得意な物や苦手な物も違った。
それでも同じところも確かにあった。
「ビーマのことが嫌いなのは知っています。でもそれだけじゃなかったでしょう!」
「……まあお前ほどじゃねえけどアイツのことは俺も兄貴も認めてたよ」
「じゃあ!」
「でも邪魔じゃん」
「え?」
兄は見た事がない顔をしていた。
「兄貴が王の座を得るのにアイツは邪魔だ。ユディシュティラの味方をして俺らを認めないだろう。
それに、俺らが"役目"を果たす時もアイツは絶対邪魔をする。
アイツは正しくて優しいから、罪が無い人が死ぬのは見過ごせないだろう?
だから殺した」
思わず立ち竦む俺の肩に兄が手を置く。
「まあこれはあくまで俺の理由だ。兄貴がどう思ってビーマに毒を盛ったのかは知らねえからそれは兄貴に聞いてくれ。
じゃあ俺もう寝るから。おやすみヴィカルナ」
「……おやすみなさい。ドゥフシャーサナ兄さん」