差し入れに毒盛られるシャルル

差し入れに毒盛られるシャルル


悪質なファン(or関係者)に差し入れに毒盛られるしゃる

ほんのりロキシャル

ハッピーエンドではない

⚠️ガッツリ嘔吐表現⚠️


苦しそうなシャルル書きたかっただけです

マジでこれで最後


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『…──次のニュースです。今日未明、強豪フットボールクラブ『P.X.G』に所属しているシャルル・シュヴァリエ選手が、差し入れのマカロンに混入されていた▇▇の急性中毒により病院に搬送されました。シュヴァリエ選手は現在も病院で治療を受けていますが、未だ意識不明との事です。


関係者によりますと、シュヴァリエ選手はクラブ寮のロッカールーム内で倒れ込み嘔吐を繰り返していた所を、同じ『P.X.G』所属のジュリアン・ロキ選手によって発見され、応急処置を施された後に緊急搬送されたとの事です。なお、ロッカールームにはシュヴァリエ選手が食べたとみられる差し入れのマカロンが残されており、調査の結果マカロンから猛毒の▇▇が検出され、シュヴァリエ選手の吐瀉物と体内からも同じ▇▇が検出されたとの事です。

警察は何者かが意図的にマカロンに毒を混入させたとみて引き続き調査を進めており───…』




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フットボールクラブ『P.X.G』のクラブ寮。


トレーニングと練習試合を終えた午後。疲れただのなんだのと駄々をこね、ロキなどのチームメイトをほっぽり置いてシャルルは一足先に1人でロッカールームに戻ってきた。明かりをつけると、ロッカールームの長椅子に数箱のダンボールが置いてあるのに気付く。それは主にファンからの手紙や差し入れのプレゼントなどで、関係者が軽くチェックした後にまとめて選手本人達へ届けられる。これも恐らくチェックが済んだものをスタッフが置いていったのだろう。

練習終わりのおやつ欲しさに箱を漁っていたシャルルの目についたのは、「シャルル・シュヴァリエ選手へ」というメッセージカードが添えられた、フランス国内でも取り寄せが難しいとされる有名洋菓子店のマカロンの箱だった。

「やりぃ!マカロン!」

大はしゃぎで箱を開けて、一番最初に目に入った赤色のラズベリー味のマカロンをひと口かじる。

ふわりとした甘さと食感、ラズベリーのクセになる甘酸っぱさが広がり、トレーニングで疲れた体と脳を癒していく。


次は横のレモン味にしよう、その次はショコラ…と選り好みした所で。


「…?けほっ」


喉に明らかな違和感を覚えて咳き込んだ。ちくちく、というか痛い、というか。

うぇ、やば。むせたかも。

そう思って何度か咳き込んでいると、けぽり という嫌な音が響いた。

「っ…えっ……」

目に飛び込んだのは、口を抑えていた手から溢れて床をべっとりと汚す、血の混じった自分の吐瀉物。

「?!っ…うぇっ、ゲホッ…っ?…ぁ…」

血を見てしまえばパニックになるのは早かった。それをキリに焼けるような喉と腹部の痛みと経験したことのない吐き気がせりあがってくる。

水を求めて立ち上がったのもつかの間、力が抜けて視界がぐるりと暗転し、がたんと音を立てながら自分が倒れ込んだのが分かった。その拍子にまたこぽりと嘔吐する。

「お…ぇ゛っ…ぁ、ゲホッけほっ…お、ぇ…」


力が入らない きもちわるい  声が出せない


痛い くるしい   あたまぐるぐるする  なんで 


ろき どこ    おとがきこえにくい   いたい 


息できない きもちわるい くるしい  くるしい




あ、ちょっとおもいだした。

それは、大好物に目が眩んですっかり忘れていた、ロキからの言いつけ。


『シャルル、差し入れのお菓子がうれしいのは分かりますが、できるだけ食べないでくださいね。』

『もぉーロキのそれ聞き飽きた!』

『命に関わる事ですからね。何度も言いますよ。僕達のような立場の人間には少なからずそういった敵も存在します。食べ物に何を盛られてもおかしくないんですからね。』

『スタッフさんがチェックしてくれてるから大丈夫だってー。』

『それにも限界ってものがありますし、…聞いてるんですかシャルル』

『あーあー!聞こえにゃーい!』

『もう…とにかく痛い目みたくなかったら、食べ物は気をつけてください。いいですね。』



P.X.Gに所属して間もない頃から、しつこく言いつけられてきたこと。今頃になって、回らない頭の中で思い出す。もう遅いけれど。


その時 



『「        !」』


言いつけの声と同じよく馴染んだ声が、ほんの微かに聞こえた。


「(くるしい、ねむたい)」

薄れていく意識の中、最後に見たのは、自分を抱えて何かを叫んでいる神童の姿だった



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