巡り巡る、再会は······

巡り巡る、再会は······



ギラ達は海軍からの要請を受け、新世界にある加盟国・ドレスローザへと足を運んだ。 別名、愛と情熱とオモチャの国として知られており世にも珍しい言葉を話し人間と変わらぬ生活を送るオモチャ達が名物として観光客が多数訪れる国として有名な場所だった。

·········しかし、それらは全て表向き、偽りの姿であった。 この国を統治している王下七武海の一人、ドンキホーテ・ドフラミンゴは己の願いである『世界の破滅』を叶える礎としてこのドレスローザを支配していたのが真相だったのである。 真実を知ったギラ達は憤怒、一行はドフラミンゴを討ち取るべくこの国を訪れていたルフィらと協力する事を取り決め一先ずは今後の動きを話し合う為に同じく打倒・ドフラミンゴを目指すキュロス及びトンタッタ族の隠れ家へと向かう事になった·········



「ア〜ウっ!誰かと思えばギラ達じゃないか、久しぶりだなぁ〜っ!!」

「フランキーさん!お久しぶりです、他の皆も元気そうで」

「······ん?他の連中はどうしたんだ」

「色々と事情があってな、ナミ達とは別行動中なんだよ」

「そういうワケだから、今は私達しかいないの。ごめんなさいね」

「いえいえ、とんでもない。私達がこのドレスローザに来たのもまた偶然ですので」

「······海軍からの要請ではあるけどな。お前さん達のことは今の所バレてはいないから安心してくれ」

久々の再会を喜び和やかな雰囲気を醸す一同。 しかし、その雰囲気をガラリと変えるようにある人物を目にしたリタが声を発したのだった。



!!?、お前は·········トラファルガー・ロー!!



隠れ家の隅に座りギラ達のやり取りを静観していた男がいた、その名はトラファルガー・ロー。 『死の外科医』の二つ名を持つハートの海賊団の船長である。

小脇に刀を抱えつつ、ローは訝しげな表情を見せながら口を開いた。


「驚いたな、まさかあの王様戦隊が麦わら屋達と知り合いだったとは······」

「君は確か、頂上戦争の時にルフィを助けてくれた···」

「トラファルガー・ロー、死の外科医の異名を持つ『最悪の世代』の一人だ。麦わらのルフィと海賊同盟を結んだのは本当だったんだな」

「·········」

「?、どうしたヒメノ。さっきから黙りこんで」

「ねえ、貴方······」



フレバンスという国を知ってるかしら



「!!?」

突如出された『フレバンス』の言葉に軽く動揺するロー。 彼の反応を見て『やっぱりそうだったのね』と呟きながらヒメノは話を続ける。

『10年以上前にある少女と会った事はないか』と問われ幼少期の記憶が甦った。 ある一人の少女と出会った事、たった一度だけではあったが妹のラミも交えて過ごした一日を·········


「まさか、お前は·········」

「······やっと思い出したみたいね。改めて自己紹介するわ、私はヒメノ・ラン。美と医療の国、イシャバーナの女王よ」

「······イシャバーナの王族だったのか」

「当時、まだ私は王女だったわ。フレバンスに来てたのは外交、あの時はお互い名前も知らずに別れたから忘れていたのも仕方ないわね」

「トラ男、ヒメノと知り合いだったのか?!」

「···ああ、ガキの頃に一度だけ会った」

「なあ、フレバンスって国はトラ男の故郷なのか?」

「ちょっ、ルフィ?!いきなり直球すぎるだろ!」


遠慮なしにズケズケと質問するルフィに思わず突っ込むウソップ。 ローは隠しても仕方ないと踏んだのか自分の生まれや過去について淡々と語り始めた。

『珀鉛』と呼ばれる鉱物が引き起こした中毒症状・珀鉛病により身内はおろか生まれ故郷すらも失ってしまい生きる気力を無くした事、死に場所を求めて一時期ドフラミンゴの元へ身を寄せた事、大切な人(ロシナンテ)と出会ったのをきっかけにドフラミンゴの元から逃げ出そうとしたがその際に大好きだった大切な人が命を落としてしまった事などを·········


「······おれの目的はドフラミンゴを倒してあの人の本懐を遂げる事だ。その為ならどんな手段でも取る、例えこの身を道連れにしてもな」

「ちょっ、ちょっと待ってよ!そんな事したら······」



そんな勝手な真似、許すワケにはいかないわっ!!!



「なっ·········?!」

ヒメノの怒号にローは狼狽えた、『自分の命を道連れにしてでも仇を取る』という死に急ぐ発言はヒメノの医者としての在り方·········何よりも己の命を軽視している事がどうしても許せなかったのだ。

ヒメノはローにある出来事を語りだした。

死者の国・ハーカバーカでローの両親、妹のラミ、そして恩人であるコラさんことロシナンテに会った事。 彼らは独り残されてしまったローのことをずっと心配しており『幸せに生きてほしい』、『自分を責めないでくれ』とヒメノ達に言伝を頼んだ事などを······


「貴方をこんなにも大切に思ってくれてる人達を哀しませるなんて、そんな事は認めない。これは女王ではなく、同じ医者としての意見よ」

「·········」

「ロー殿、命というのは儚くもかけがえの無い物です。犬死にするような真似は誰も望んではおりません」

「どうせ仇討つなら生き抜けよ、このスカポンタヌキ!」

「それに、今のお前さんには帰りを待ってる人達もいるんだろ?だったら、死んでしまったらそれこそ哀しいじゃないか」

「今の君は一人じゃないよ!僕達や、ルフィ達もいる。だから」

「共に協力してドフラミンゴを討とう、私達もそのつもりでここへ来た」


ギラ達が王という立場や身分に関係なく海賊である自分に『協力』を申し出る姿を見て、ローはぽつりとこう呟いた。



―お人好しだな―と·········



「トラ男、ギラ達もああ言ってくれてんだ。おれ達で力合わせて」

「ドフラミンゴの奴を倒そうぜ」

「お節介かもしれねェけどよ!」

「皆で知恵を出しあえば」

「不可能も可能にしちまうぜ!」


「·········分かった、お前達の意見を受け入れよう」

「ありがとう、ローさん!!」

「しゃっ!皆、絶対にドフラミンゴの奴を倒すぞっ!!」


ルフィの高らかな声が響き、ドレスローザ奪還・打倒ドフラミンゴの一大作戦が始まる·········



Fin……

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