嵐よ

嵐よ





ドフラミンゴがやられた。

そう知らされたルフィは、闘技場をサボ達に任せ、ドフラミンゴを倒したトラファルガー・ローを探し、奔走していた。そこらの建物を虱潰しに探し回り、ドフラミンゴの無事を願った。




その時、何気なく顔を向けた先にある教会が、なんとなく気になった。規模としては小さく、城の影に隠れるように、ひっそりと建てられた教会。

そこに、何かがいる。

これは勘だ。しかし妙な確信があった。

意を決し、ルフィは勢いよくその扉を吹き飛ばした。



果たして、教会の中には、一人の男がいた。

扉が吹き飛ばされた事になんの反応も示さず、ルフィに背を向けていた。

大きなステンドグラスが一面ある程度では、教会内は妙に薄暗い。

男の存在に、畏怖か、一種の神聖さを思わせるような何かが体の内側を這いずるような騒めきを感じ、ルフィは僅かに息を詰めた。



「おい」



ルフィは数拍置いても反応のない男に声をかけた。しかし男は変わらず十字架に向かっている。ステンドグラスから注がれる光は色を得て、黒い人影を引き立たせる。

扉の破壊で巻き上げられた小さな塵は、男の周囲をふわりと舞い、光を受けて輝いていた。




一歩、その男に近づこうと足を踏み出した。




「させねぇよォ〜〜!!!」



背後から現れた乱入者に、男に気を取られていたルフィは気が付かなかった。

次の瞬間にはベトベトと気持ちの悪い粘液に足を取られていた。


「お前誰だ!!!!」


乱入者は、ルフィの問いには答えず、鼻水を垂れ流し、ニチャリと気味悪い笑みを浮かべた。


「べへへへへ…!ローはなァ、毎日決まった時間に、ここで祈りを捧げる!信じない神に何を祈るのかは知らないが、それを邪魔されるのを酷く嫌う。わかったら大人しくしとくんだなァ〜!」


唾液と鼻水を撒き散らしながら一人楽しそうに笑う乱入者。

そんな相手に、ルフィは感情のままに言葉を発する。



「……鼻水、汚ねぇぞ」



この美しく恐ろしい場所を、こんなベタベタや汚い体液で汚す事は、許されない。

敵地でありながら、ルフィはそんな事を考えていた。

軽蔑したような怒ったような、ドン引きしているような、そんな表情を隠さず、ルフィは乱入者を睨み上げた。

乱入者は、わかりやすく血管を浮かせ、また体液を撒き散らしながら怒鳴り散らし、この生意気な小僧を木っ端微塵にしてやろうと懐の火種を探った。その時だ。




「やめろ、トレーボル」




いつの間にか、黒い男は振り返り、闇い瞳でルフィと乱入者を見据えていた。

ステンドグラスから注がれる光を受けた男は、後光を背に立つ神にも、その光を飲み込もうとする悪魔にも見えた。


一歩踏み出すたびに舞う土埃は金粉に。

打ち鳴らされるヒールは主の降臨を知らせる鐘に。

布ずれの音は、吐息は、視線は。


彼の影響を受けた全てが美しく見えた。




「ロー!もういいのか」

「あぁ」




その世界に水を差した人間に、彼は短く言葉を返す。粘液と少し距離をとって止まった彼は、何も映さない瞳でルフィを見下ろす。



「何かようか」



返答を誤れば地へ堕とされる。

そんな奇妙な緊張感。



ルフィはこの時確信した。



この男、トラファルガー・ローは、己より遥かに強く、神の如く理不尽さで、全てを奪う力を持つ男だ。



しかし、そんなものに怯むルフィではない。

そんな小心者が海賊王になどなれるものか。




「ミンゴはどこだ」


「………ミンゴって誰だ」


「ドフラミンゴ。ピンクのでかいやつだ」


「牢屋」


「牢屋はどこにある」


「地下」


「…殺してねぇだろうな」


「殺す価値がない」




ルフィの問いの全てに、ローは淡々と答えた。

それが事実かはわからない。罠かもしれない。しかしルフィは深く考える男でもない。

その言葉をそのまま信じたルフィは、外の街頭に手を伸ばし、粘液から抜け出した。




「ミンゴ助けて、ぶっ飛ばしてやるからな!」




ルフィは、己一人では敵う相手ではないと判断した。しかし、自分には仲間がいる。

仲間がいれば、どんな相手にも負けない。

ルフィには、そんな根拠のない自信があった。




またベトベトを飛ばそうとするトレーボルを横目に、ルフィは体を伸ばして何処かへ飛んで行った。



「ロー!なんで馬鹿正直にドフラミンゴの居場所を教えた!」

「……気まぐれだ」



トレーボルには目もくれず、ローは何処かへ歩き出す。



「トレーボル。幹部を集めろ」



ローは意識して口角を上げる。

慈悲深く、全てを許す、存在しない神の様に。


「適当な理由をつけて、城から人を出せ。

リク王達なら簡単に騙せるだろう」


決戦の地は、わかりやすい方がいい。

神は天に座するもの。

一番天に近い城の最上階へ。



「嵐が起こるぞ」



神の天敵。Dの一族。

己もDだが、今回は神役をしてやろう。

こんなにも心が動いたのは、十三年前、ラミを殺してから初めてだ。





さぁ麦わら!Dの起こす、嵐とやらを見せてくれ!











設定



世界観

ローはドレスローザを拠点にしてはいるけどドレスローザの人達とは友好的で乗っ取りはしてない。おもちゃもいない。

ドフラミンゴはグリーンビットで攻撃仕掛けて一瞬で負けた。ローは呼ばれたから行ったけどシーザーとかどうでもよかった。攻撃されたから反撃した。シーザーはなんとかサニー号へ。ローはやろうと思えば能力で捕まえられたけど、シーザー捕まえる為に体力消費したくないのでほっといた。

この世界ではローは国王じゃないので、ルフィはローの居場所がわからずドフラミンゴを捕まえたローを探して走り回っています。

多分これはドフラミンゴの勘違いルートで、ローはスマイルには関わってない。シーザーがドフラミンゴにローの名前出した世界線かも。

個人的にカイドウとサシでやれる世界線好きなので、ローはカイドウ並みに強い。


結果的にルフィ達はローに勝つけど、ローはドレスローザや、そこに住む人達が傷つかない様にかなり手加減してる。優しい王族と国民と、共存する小人達。人も立地もお気に入り。

手加減+ラミデバフ+本気じゃなくて遊びだから殺す気なかった+その他諸々…が重なった奇跡的な勝利。ちなみにルフィ達が満身創痍で倒れた後、ローは普通に起き上がって広範囲roomで幹部達(-トレーボル)と逃走する。

その後Dの嵐見れてテンションブチ上がり(無表情)なのと、戦闘が物足りなかったのでワノ国の友達(じゃない)カイドウと戦いに(遊びに)行く。

この世界線だとルフィがカイドウ倒せた理由の一つが、ローと戦ってカイドウが疲れてたからになる。







トラファルガー・D・ワーテル・ロー

神 VS Dごっこ楽しみ。

このif世界で一番マイペース。ドレスローザ編は余生ぐらいの感覚で過ごしてるので好き勝手やってる。気まぐれで救うし気まぐれで奪う。

根が医者なので不要な殺生はしない。必要だと思えば躊躇なく殺す。

計算し尽くされた神を思わせる笑顔を向けられたらだいたいの人は信者になる。

世界の破壊の基盤は整ってるので、後は細かいところ詰めて行く段階。ドレスローザ編では別にその計画は崩されないし、崩れても微々たるもの。このまま世界が壊れるルートと、ルフィとドフラミンゴが作った嵐に巻き込まれて計画崩壊するルートがある。

ドフラミンゴの事はルーキーにそんなやついたな。ぐらいしか思ってない。ドレスローザの戦いで、ドフラミンゴに言われてからラミの連れ出した子供だと思い出す。でも別に思い出すだけで心境の変化とかはない。


毎日決まった時間、ラミに祈り、懺悔している。神には一切祈ってない。信じてない。

ただ祈るという行為で教会を連想したから教会で祈ってるだけ。

実は床ベトベトにして体液撒き散らしたトレーボル殺そうかと考えてる。結果生かすけど逃走する時に切り捨てる。殺さないのは気まぐれ。

扉壊したルフィの事は別に怒ってない。むしろ普通に開ければいいのに壊すとか、おもしれーD。と思っている。扉は簡単に直せるし気にしてない。ベトベトと鼻水は綺麗にしても気になっちゃうからワンアウト。幼少期の思い出が詰まった教会という建物を汚されツーアウト。懺悔中うるさくされてスリーアウト。トレーボルお前船降りろ。







モンキー・D・ルフィ

海賊王を夢見る青年。

ドフラミンゴの強さは知ってるので、捕まったと聞いた時かなり驚いた。

この世界線のローはルフィ助けてないので、これが初対面。ローが七武海なら頂上戦争で顔だけ見たことがある程度。

小説内では色々書いてるけど、すげぇ神様っぽい。ぐらい単純なことしか考えてない。

トレーボルは汚ねぇおっさんだなと思ってる。


後々ワノ国で再会するけど、攻撃してこないので敵対はしない。若干警戒するけど、ローがスマイルに関わってないと知ったら原作程じゃないけど仲良くなれる。







トレーボル

無自覚にローからヘイトを貯めている。

ドレスローザ編解決後、一人だけ置いていかれる。これまでも色々やらかしてきたが、まだ利用価値があるので生かされていた。

ローを見出したのは自分。だから自分はローの特別。ちょっとぐらい好き勝手してもええやろ。ぐらいは思っていたが、ローはただの駒としか見てない。トレーボルがいなくてもローは自力で世界を壊せる。ただトレーボルがいた方が効率的だっただけ。







ドンキホーテ・ドフラミンゴ

グリーンビットでシーザー盾に脅してたけど無反応すぎて苛立ってちょっと糸飛ばしちゃった。結果一瞬で捕まって牢に入れられる。

ifローは遊びのつもりで戦ってるので原作ローより軽傷。

一応ローに恩がないわけではないので、全く興味持たれてなくてちょっと悲しかった。


ワノ国で再会するが、全然手出してこないし、むしろ攻略のヒントこぼしてきたりして困惑。ローはカイドウと戦った宴の後で機嫌良かったので気まぐれにちょっとだけヒントあげた。




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