嵐の前の静けさ

嵐の前の静けさ


「本当に、1人で良いの?」

嵐の王《ワイルドハント》ヴェルグ・テオドリックを引き留める声。それは彼らの総帥たる藤丸立香ことヴェルグ・ウィスタリア。

「無論。ラウンド・ナイツは勢力を増している。モルガン率いるアヴァロン・ナイツだけでなく勇士戦隊モンジョワ・シュバリエとも協力関係を結び、巨大兵器で高名なアヴィケブロンが協力している。止めるにはここで仕留めるしかない。

そして先の戦いで皆、重症だ。ならば嵐の王が出るしかあるまいて」

エドモン、ジャンヌ他アヴェスター全員が安静するよう藤丸が命令している。

そしてラウンド・ナイツも疲弊してる今、健在な彼が出れば間違いなく勝てる。

だが総帥の眼には迷いがあった。

「マシュたちは強い。これぐらいのことで諦める彼らじゃないから、君が負けるかもしれない。だからこれだけ伝えておくよ。──必ず生きて戻れ、ヴェルグ・テオドリック」

「──御意」

その命令を胸に嵐の王は空を駆ける。

目標、ラウンド・ナイツ。

さあ──嵐の時間だ。

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