島の現状

島の現状


トムの死、天竜人、ドフラミンゴ…

このところ前にもまして面倒ごとばかりが起きる

それも国単位で影響が出かねない厄介ごとだ

正直頭が痛いが、なにも起こることがすべて悪いことという訳ではない


以前言った通り、今現在私の住むこの島は観光バブルに沸いていた

最近では今までより多くのホテル、レストラン、ショッピングモールなどが立ち並び、そのどれもが実に繁盛している

まぁそれによる新たな面倒ごとも起きているが、それは別の機会にしよう


この島を巻き込んだ熱狂の中心はもちろん我が劇団-という訳でもない

確かに観光客増加のきっかけは我が劇団、そしてテゾーロのライブショーだったが、もとよりこの島はエンタメの島

我が劇団の他にも多くの劇団や娯楽施設が存在し、そのどれもがより多くの客に来場、満足してもらおうと競うようにサービスの充実、規模の拡大に力を入れている

元々私の劇団は規模としては中の上と言ったところ

ここ数年は星空の唄やテゾーロのライブもあって規模を大きくなってきてはいるが、もともと島にあった大手の劇団にはまだ一歩劣る

とは言え現状チケットや関連グッズも含めて全体の売り上げは以前のおよそ1.5倍を記録している

ただその分公演数も以前の1.5倍

そのためこれまで以上に団員たちに疲労の慰労が見えるようになってきた

もちろんそれに合わせそれぞれの給与も上げてはいるが、金があるだけでは疲労はとれない、十分な休息、そのための時間が必要だ

ここで規模拡大をあせり無理に公演数をさらに増やしたところで、団員たちの負担を徒に増やすだけ

その負担がひいては舞台のクオリティ低下にもつながる、それだけは回避しなければならない

それにグラン・セーニョが完成した暁には―もちろん全員強制ではないが―団員達にはそちらに移住してもらおうとも考えている

ここで潰れられるのは本意ではない

そのため劇団の団長や幹部スタッフとも協議し、今後は公演の数は現在より若干減らし、代わりにグッズ販売に力を入れることにした

写真集や缶バッチ、サイン色紙などの定番ものから、最近では劇場に併設したレストランで出演俳優たちの好物や演目の中で登場した料理の再現メニューなども提供していて、これがなかなか人気を博している


そして今後、さらなる目玉として考えているのが映像記録電伝虫とトーンダイヤルだ

舞台を映像として記録し劇場にいなくとも恒久的に視聴できる映像記録電伝虫と、歌や演奏に限られるがより携帯性に優れたTD

どちらも現在研究段階だが、TDに関しては博士たちの努力により大量生産の目処が立ちつつある

とは言え現時点ではコストが高く、大量生産は実質不可能と言える

しかしそれでも、実験的に富裕層向けに個数を限定し販売した結果、各所で好評を博し、高額ながら追加で買いたいという者もあらわれるほどだった

今後コストカットし安価での大量生産が可能になり、TDが一般にも流通するようになれば、そこで得られる収益は現在の数倍から十数倍にもなるだろう

だがここで無理に動こうとすれば、その未来も頓挫する


焦ってはならない

稼ぎ時というのはタイミングが重要だ

この様々なことが起こる激動の時代だからこそ、あわてず騒がず、十全に準備を整え機会を待つ

この待ちの姿勢、態度こそが、商売には重要なのだ

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