山爺の受難

山爺の受難


「卯ノ花よ...この童は一体どこの隊士じゃ 記憶には無いが」

副隊長や隊長らが回道での治療を受けている中で総隊長である山本元柳斎重國は明らかに知らない霊圧を持つ者に意識を向けた

「部分的に現世の服を着ている所からして 黒崎一護らの...」

「いえ シーカー・ダルヴァつまりは旅禍であり十二番隊の資料を火事場泥棒した者により作成された被造死神の子供です

彼は涅マユリによる実験の結果命を落としそうになったためその復讐の為に資料を奪ったとか...」

「おぉ...うむ...」

総隊長は凄くやりづらかった 完全に悪気があって入って来た旅禍であるが少なくとも今は共通の敵を打ち倒すために仲間となったのだからそれを無下にするのはよろしくない...というより仮面の軍勢らの件を飲んだのだからこちらも件も飲むしかない


「死神ってのは随分と脆いな...俺やダルヴァみてえに頑丈になれねえのかよ」

口ではそうは言っているがその手際は良く卯ノ花と良い勝負をしそうだと思えるほどであり卯ノ花から特に重症者の者を重点的に回されている おかげで卯の花も霊圧が回復するまで少し間を開けることが出来ている

「...彼奴等も死神でなく死神との因縁によりこの場に居合わせた者 仮に儂の腕が治せるとしても治さぬ様に伝えておけ卯ノ花よ」

「伝えるならご自身でお願いします」

疲れているからか突き放すように言われてしまった総隊長だった


ある程度時間が進み今は卯の花が治療を担当しマツィヤが休憩に入った

さて このマツィヤ口調もさることながら言動も大概である

「マツィヤと言ったかのう 儂は死神の総隊長である...」

「...良い すごく良いなテメェ

「何がじゃ」

「全部♡」

これほどまで背筋に嫌な緊張が走るのはいつ振りであろうか...マツィヤの目は欲やさまざまな心の汚泥を混ぜたような色をしている様に感じた

「でも欠けてるじゃねえか...改造(なお)さないとだな

「ひ...左腕が生えておるーーーー!!!」

現世の者にこれ以上干渉すべきでないと腕は戒めを兼ねてそのままにするつもりであった山本元柳斎重國は突然の出来事に回復していた体力を全て使って叫んでしまった




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