少しの時が流れ③
先生も駆け付け無事に翻訳が終わりアリスは通しで手紙に目を通していった、そこには…
『我が愛しのプラトンへ
また君と共にアテナイの学堂を歩くことは出来ないだろう
しかしそれでも、私は君を見守っている
どうか君の道行に幸あらんことを
万学の祖の半身より』
「うわぁぁぁん!大事な手紙の気がするのに、まるで暗号で読めません!」
せっかく読める言語に変換出来たというのに、内容が難解過ぎて読めない事を嘆きながらも何処かそれに嬉しさを感じていたアリス
そんなアリスに声を掛ける人物がいた
「どうやら…私の出番のようですね」
その声に振り返るアリス、そこには車椅子に座る自称超天才病弱美少女ハッカー…明星ヒマリが佇んでいた
“ヒマリにはここに書かれてる事が分かるの?”
「えぇ、この超天才病弱美少女ハッカーにかかれはこの程度…暗号のうちにも入りません」
そう答えながらモニターの前に移動するヒマリ、そしてモニターを操作すると一枚の絵画を表示させた
![](https://telegra.ph/file/43784e267fffaacfe087f.jpg)
「きっと、この絵を指しているのでしょうね
キヴォトスの外で描かれた壁画…タイトルはそのまま【アテネの学堂】だそうです」
そうヒマリが指し示す絵画には何人もの学者のような者達が議論を交わす中、二人の学者が歩いていた
そしてヒマリはその二人が描かれた部分を拡大していく
![](https://telegra.ph/file/7d5ba8642cd1051b521fe.jpg)
「そしてこの絵の中央に描かれた二人の人物…この白髭のご老人がプラトン」
そう言いながらヒマリが指を指した左を歩む人物…プラトン
では手紙にあるようにプラトンと共に学堂を歩くこの人は…と目線で問うアリス
その問いに答えるようにヒマリは言葉を紡ぎ始めた
「そしてその隣でプラトンと共にアテネの学堂を歩いているのが…万学の祖と呼ばれるアリストテレスです」
それを聞いたアリスは全てを理解した
差出人の『万学の祖の半身』とは誰なのか
なぜ宛名が『プラトン』だったのか
なぜ『もう共に学堂を歩く事はない』と書かれていたのか
全てを理解したアリスは、その手紙を宝物のように抱き締めながら…その脳裏には差出人である友人との思い出が止めどなく溢れているのだった