小夜丸ちゃんの受難(その後)

小夜丸ちゃんの受難(その後)

ベリーメロン(禿げメロン)


 あれからさらに数時間が経過していた。壁に嵌まったままの状態で犯され続けた小夜丸は、もはや力なく項垂れるばかりで意識は完全に途絶えている。

 二巡目でも終わらなかった男たちの熱狂はさらに続き、小夜丸の下半身はおびただしい量の精液で汚れている。もはや何度射精されたのか、肛門からも秘部からも溢れ出て止まらない精液がその悲惨さを示している。

 白かった尻は赤く腫れ上がり、ふざけて描かれた悪趣味な落書きの数々はあまりにも痛々しい。

「あー、もう一生分出した気分だぜ」

「ミミズ千匹ってのはこういうことだろうな」

 ゲラゲラと下卑た笑いを浮かべる三人組は少女にした仕打ちを何一つ後悔していないだろう。

「なぁ、こいつもう抵抗できねーみたいだしアジトに連れ帰ろうぜ?俺達のペットにしちまおう」

「そりゃいいな、顔も拝みたくなってきたところだわ」

 おぞましい会話が繰り広げられているが、意識のない小夜丸には関係のないこと。

 下卑た思考によって伸びた男たちの魔の手が気絶した小夜丸に延びていった。


○○○


 セキュリティフォースのプラ=ティナは他の隊員と手分けして小夜丸の捜索を行っていた。普段から小夜丸が何時間もいなくなることはよくあることだったが、それでもずっと連絡が来ないというのは今までにないこと。

 そしてこういう時に限って連絡も繋がらず、ドックタッグも連れていっていなかったが故に捜索が難航してしまっている。発振器の付いた通信端末はすでに見つけたがそこには彼女の姿はない。

 マスカレーナのチェイスに夢中になるあまりに通信端末を落とした挙げ句、ドックタッグの追跡すら届かない範囲に出てしまったとすれば捜索はかなり難しい。

 しかしプラ=ティナがその程度で小夜丸を諦めるわけもない。問題児ではあるが、彼女にとっては大事な仲間でもある。だからこそ彼女自らが出てきているのだ。

 その優秀な頭脳と次元操作能力によって、小夜丸の微かな手がかりを元に居場所を徐々にだが突き止めていく。

 やがてプラ=ティナが突き止めたのは酷く治安が悪いことで有名な街だった。アウトローたちの住み処になっているスラム街。その街の迷路のようの路地裏に小夜丸がマスカレーナを追って飛び込んだのは間違いないだろう。

 ドックタッグも小夜丸の匂いを追える範囲に入ったようで迷いなく進んでいく。場所が場所ゆえに嫌な予感が彼女の脳裏に浮かび、プラ=ティナは足早にドックタッグを急がせた。途中で愚かにも喧嘩を売ってくる下郎共を叩き潰し、奥へ奥へ進んでいく。

 その先で見たのは、壁の前で倒れ伏す小夜丸だった。

「小夜丸っ!」

 思わず駆け寄るプラ=ティナ。呼吸を確認すれば浅いが安定した呼吸音が聞こえる。

 しかし、その身体が無事で済んでいないことは明白だった。その顔は涙で腫れ上がり目元は真っ赤になっている。衣服を剥がれた下半身からは、白濁とした液体で汚れきっている。彼女の身に何があったのかは一目瞭然だった。

 周囲を見渡せば液体の持ち主であろう三人の男がグッタリと伸びている。その全員が下半身を剥き出しにしており、コイツらが小夜丸を襲ったのは言うまでもないだろう。

 だが何故気絶しているのかがわからない。丁寧にも両手両足が彼等自身の衣服で括られており、起きて逃げたり再び小夜丸を襲うことのないように徹底しているようだった。

 逡巡してからプラ=ティナは小夜丸に上着を被せ抱え上げると、能力で開け次元の穴に伸びた男共を蹴りいれていく。向こうで本部の職員が悲鳴を上げてそうだが、とにかく小夜丸の治療のために本部へいち早く帰るのが最優先だった。

 ドックタッグが先に通り抜け、自らも抱えた小夜丸と共に穴を通ろうとしたとき、プラ=ティナはふと目についた壁の穴に向かって呟いた。

「礼は言わない」

 使用者がいなくなり消える次元の穴。壁の穴の向こう側でその様子を見ていた「彼女」は静かにため息をついてから、闇に姿を眩ませた。


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