小傘ルートのシャドウサイド一幕ss
スレ主「お母さんっていつお父さんと出会ったの?」
「うーん、話すと長くなっちゃうんだけど。両親の馴れ初めを聞きたくなる年頃過ぎてない?」
「そうじゃなくて!お父さんとお母さんの過去話、な~んか食い違ってるっていうか…お母さんきら聞いた小学生の頃の話を振ると、お父さん首傾げるんだよね」
「そうだねえ。お父さんは多分、私と大学で初めて会ったと思ってるだろうし」
「え、ストーカー?」
「ちがうちがう。お母さん、すっごい田舎の生まれなの。お父さんと会ったのは小五の夏休み、私がこっちに遊びに来てた時。ほんとに短い間だけなの。ある時からぱったり会えなくなっちゃった」
「…」
「なによ」
「いや、あんな普通のお父さんにそんな一夏の思い出的なエピソードがあるとは思わなくて…
てかそうじゃん!なんでそんな大事なこと忘れてんの!?」
「フツーなのは否定しないけど……仕方ないよ。本当に突然だったもの。いろいろあってこっちに来れなくなっちゃってさ。色々偉い人に掛け合って、なんとか戻って来れた頃にはもう大学生!…ビックリしちゃった」
「いや、同い年ならわかるでしょ」
「あ、あーそうだよ、うん。成長の話ね、成長の。身長も抜かれててさー!」
「なーんか変だけど。」
「───忘れられてたの、ショックじゃなかった?」
「そりゃあ結構堪えたケド、でももう私しか残ってないしなー。側に居たげないとなーって思って」
「……?残ってないって───」
「あれ、雨降ってくる?」
「へ?天気予報だと一日晴れじゃ…ってホントだ降ってきた!」
「あの人傘持ってってないっ!私駅までお父さん迎えに行ってくるから、この話はまた今度ねっ」
「う、うん……」
「じゃ、行ってくるね二人ともっ!!」
「はーい!」
ドアノブに手を掛け、振り返る深緑の長髪。その隙間から覗く赤い左目が、"こちら"を見た。
「そうでウィスか。やはりあなたは……」