小さな歌姫 龍と対峙する
ルフィが危ない!
鬼ヶ島ライブフロアにて和の国の侍達と百獣海賊団との交戦の中にいた私は不意にそれまで屋上から感じていたルフィの気配が消えた事に気づき大急ぎで外に出た。
交戦の中において目立ちにくい人形の頃とは違うこのちんまい子供の体でひたすら外へ私は走った。こんなに体が擦りむいたのはDRで人形の身体から元に戻った時だろう。
屋敷の中を走っているとモモの助君を抱えてるしのぶさんが私を見つけた。
「ウタ!ここは危ないわ。カイドウがわたす達を追ってすぐここまで来る!あなたも一緒に逃げましょ!」
逃げる?しのぶさんにそう言われて気がついた。わたしはこの戦場で何をしただろうか。一味の皆は飛び六砲等の強敵と戦ってる。それに比べてわたしは何もしてない……
わたしはしのぶさんに背を向けた
「しのぶさん!ここはわたしが食い止めるから早く行って!」
わたしは拳を握りしめた。ドクンドクンと肋骨を叩く程に小さな心臓が、胸が高鳴る。
「ウタ!!無茶よ!」
「いいから早く!!」
わたしのその言葉の共にしのぶさんの足音が遠くなっていった。その足音からは戸惑いを充分感じる事ができた。
程なくしてカイドウがわたしの前に来た
「ウォロロロロ。お前は確か……」
「わたしは麦わらの一味のウタ!あなたは私がここでとめる!」
カイドウ!!
私は自分に出せる精一杯の大声で叫んだ
「お前の事は知ってるぞ。ジョーカーにやられて人形にされたあの赤髪の娘。どれだけの間人形の姿にされたか今のお前を見ればすぐわかる」
カイドウは私を見下ろしてそう言って金棒を肩まで上げた。
わたしは未来の海賊王の船員なんだ。四皇に怖気ちゃいけない
わたしはそう己に鼓舞し歌を歌う。
「〜〜〜♪」
長くは持たないだろうけど少しでもカイドウをウタワールドに留めさせれば……わたしは歌を歌いながらカイドウを睨みつけた。
異変はすぐに気がついた。カイドウの意識はまだ現実だ!ウタワールドにはいない!わたしがそれに気がついた途端カイドウは笑い出した
「ウォロロロロ……覚えておけ赤髪の娘。過剰な覇気は悪魔の実の能力を弾き飛ばすことが出来る。今のお前が俺をウタワールドに誘うことは出来やしねぇ」
そういう事だったのか……
「雷鳴八卦!」
間髪入れずカイドウはわたしに棍棒の一撃を撃ち込んだ。
「うぅっ……」
私は吹き飛ばされながら意識を手放さないと気を入れようとしたがその甲斐無くわたしの視界はブラックアウトした