尊氏直義? 師直直義? 師泰直義? 乱痴気騒ぎ

尊氏直義? 師直直義? 師泰直義? 乱痴気騒ぎ


距離感のおかしい仲良し?四人組が酔っ払ってわちゃわちゃしてる話

※ちゅっちゅしてますので注意




ランチパーティをしたいと尊氏が言い出した時は、乱痴気騒ぎや乱交と早とちりして焦ったものだが、何のことはない昼に開かれる小宴のことだった

不定期に開かれる会の参加者はいつも決まっている

尊氏と直義と師直と師泰だ

京童には幕府首脳部の密談だ謀計の場だなどと噂されているらしい

しかし実態はただのおっさんの飲み会であると直義は思っている

現に酒に飲まれた師直が管を巻いており、直義を辟易させていた

「女はただ闇雲に肌を晒せば良いというものではない」

「わかる、わかるぞ、兄者」

元来付き合いが良い性格なのと自身も酔っ払っているのとで師泰が本日八度目の師直の言葉にもうんうんと同意し、酒瓶に直接口を付けて豪快に酒を煽った

それを横目で見遣りながら、直義は尊氏の盃に酒を注いで尋ねた

「今日の師直は随分と機嫌が悪いですね」

「んーどうも狙っていた女が思っていたのと違っていたのだそうだ。逢瀬まで手間を掛けた分、落胆が怒りに変わっている」

「はあ、そんなものですか…」

聞けば相手は三十路をとうに過ぎた臈長けた未亡人だと言うではないか

そのような女性に生娘のような反応を求めることの方が無体なのではないかと首を傾げざるを得ない

ましてや艶聞に事欠かない師直のような男を閨に迎えたとあっては

「直義様、聞き捨てなりませんな。そんなものとはなんです、そんなものとは」

ずずずいと身を寄せて来た師直の酒臭い生温かな息が頬に当たり、眉を顰める

「師直、お前飲み過ぎだ」

「ふうむ……」

じろじろと見詰められ、居心地が悪い

「一体何なんだ」

「あなたの場合は鎖骨ですかね。いつもはぴっちり隠されておりますが、稀にこう前屈みになった時などにちらりと垣間見える様がなんとも艶かしく…」

「なっ…」

咄嗟に襟を掴み掻き合わせる

「そうですっ!それですっ!!流石ですな、直義様!!男心のツボを完璧に押さえておられる…!!あなたのような恥じらいがあの女には皆無だった……っ!!」

師直は熱く語って拳を握り締めている

顔は紅潮しているが、無表情のままなのが不気味だ

こんな褒められ方をしても全然嬉しくない

それよりも見るべきところが他にあるだろう

三ヶ月間朝夕と素振りを絶やさず続けた結果、腕が太くなった…ような気がするのだ

直義は自分の盃を口に運び、自然を装って肘の上辺りまで腕が見えるようにし、チラチラと師直を見遣った

目敏いこの男なら気付くはず…

「誘っておられるのですか?」

「「は?」」

尊氏と直義の口から底冷えする低音が同時に発せられた

師直が蒼褪め大人しくなる

こんなことで怯える玉ではないだろうに、何故そんな反応を?

まあよくわからないが酔いが冷めたようで何よりだ

「お、直義様。もしかして体鍛えたんじゃねぇですかい?」

「師泰」

「前より腕に筋肉が付いてるように見えますぜ」

「そ、そうか?」

直義はニヤけそうになる顔を引き締めた

やはり師泰だ

良い奴だ

スケベなことばかり頭に詰まっている師直などより余程気が合う

ああ、駄目だ、口元が緩んでしまう

師泰相手だしまあ良いか

それよりも彼に感謝を伝えねばならない

「師泰、酒を注いでやろう」

「あー…嬉しいんですがね、俺ぁほら、これでやってますから」

師泰はそう言って酒瓶を掲げて注ぎ口をちゅぽんと吸う

「それならば私の盃をやろう」

酒を満たした盃を両手で差し出す

盃と直義の顔を交互に見て、師泰はぽりぽりと頬を掻く

何だろうかと首を傾げていると、唐突に師泰に抱き寄せられた

厚く硬い唇が直義の唇に食い付く

「んっ!?んんっんーーーっっ!!」

なっ、何が起こって…???

師泰の舌は唇同様厚みがあって弾力があった

その力強い舌が直義の口内を蹂躙する

「ふ、うっ…んん、っう……」

上顎を擦られると、じんっと体が痺れて、唾液が湧き上がってしまう

いやらしい水音が口の中から溢れる

余すことなく啜られてから、ようやく唇が離れた

「は、ぁ……あ……」

「いけませんぜ、直義様。男に盃を捧げるなんてぇのは」

はしたないことです、と耳元で囁かれ、肌が粟立ち、背中に甘い震えが走った

そう言えば、盃とは女隠のことを指すことがあるといつぞやかの猥談で聞いたことがあったのを思い出す

だが、自分とそんなものが結び付くとは考えもしなかった

「そ、んなつもりじゃ……」

カッと頬が熱くなる

「いけない子だな、直義」

「兄上」

腕を引かれ、温かな尊氏の胸に倒れ込む

見上げると、尊氏は不思議な笑みを浮かべていた

頭を、次いで頬を撫でられる

気持ちが良くて目を閉じれば唇を唇で塞がれた

甘い酒の味がする

直義は尊氏の柔らかな唇を舌で上下に割って、硬質な歯をぺろりと舐めた

目を開いてもう一度尊氏を見上げる

「兄上、もっと……」

口角を上げて頷いた尊氏はたくさん口付けをしてくれて、口移しでたくさんお酒を飲ませてくれた

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