宝石と乗馬&羊毛刈り

宝石と乗馬&羊毛刈り


この牧場の売りは乳搾り、羊毛刈りそして乗馬。

以前アイと仕事で来た時は乗馬以外はさせていただいた。今回は乗馬も出来るように家族全員分予約してある。抜かりはない。

そして現在僕は運転の疲れを癒すべくベンチに座りながら羊毛刈り体験を楽しむ我が子達とそれを見守る妻の姿を写真に撮る。

良い笑顔だ。

「羊毛って柔らかいイメージしていたけど、思っていたよりしっかりしてるな…」

「アクア、優しくね?ルビーは…おお!上手上手!!」

「よーしよーし…そ、そうかな?なんとなくだけどこの子達が喜びそうな反応見てやってあげてたら上手く行った感じ」

少々苦戦気味のアクア、コツを掴んだのか滑らかに毛を刈るルビー。

アイはその様子を見て子ども達を応援している。

連れて来て正解だったな。

「ヒカルー!君もやりなよー!!一緒にやろー?」

「はいはい、今行くよ」

アイがブンブン手を振りながら僕を呼んでいる。

「僕も初めてだし、上手くやれるかなー?」

結論から言うとアイとルビーが大笑いして、アクアに肩を叩かれて頷かれた。

…確かに上手く刈れなくて芸術的な羊になったけど息切れするような笑い方しなくても良くないかな?

「父さん、サザエさんカットは狙わないと無理だと思う」

「いや、真面目にやったんだよ?これでも」

次に乗馬。僕はアイが2人と一緒に乗っているのを写真撮影中。仕事で来た時にやってみたい、やらしてあげたいと話をしていたから出来て良かった。

「ヒカルー!」

「パパー!」

アイとルビーが手を振ってくれたので手を振りかえす。アクアもこちらに向けて手を挙げてくれている。

近くに係りの人がいらしたので礼を伝えることにする。

「無茶なお願い聞いていただき、ありがとうございます。家族3人乗れるような大きい子がいたらありがたい、というような…

感謝します」

「いえいえ、前にTV撮影で私達にご丁寧に対応してくださったお返しですよ。」

「覚えていらしたんですね」

「ええ、我々にも心配りを忘れず、動物達にも思い遣ってくれた若い方を忘れようがありませんから」

少しの気配りと思いやりで施設の方が覚えてくれていたのはありがたい。

ただ単に動物達の耳や鼻が良いので接する時や近くに行く時は控えめにするべきだ、ということと大きな音や話し声は控えるように打ち合わせで進言して、個人的にお世話になったから後日お歳暮を送っただけなのだが。

「父さん!乗らないのか?」

アクアが一旦降りて来て僕を誘いに来てくれた。せっかくだし、彼と乗らしてもらおう。

「ああ、僕も行く!…すいません、僕もお願いして良いですか?息子と一緒に乗りたくて」

「構いませんよ。写真も撮りましょうか?」

「ありがとうございます、ではこのボタンをおしていただけたら…」

カメラを任せて、僕も乗せてもらう。

…高いし、揺れるし中々怖いな、うん。あまり格好悪いところ見せたくないけど、上手く誤魔化せてるかな?

「ヒカル、足が震えてるよ?怖いの?」

「パパ、笑顔だけど顔真っ青だよ?」

「だだだだ大丈夫さ。僕はこれでもバランス感覚は金田一さんに褒めらr…ヒィウ⁉︎」

「…父さん、手綱さえしっかり握っていたら大丈夫だよ。俺がいるし」

息子に元気付けられてるよ僕。父親なのに。

「ヒカルも苦手なものあったんだー?」

「その面白い物を見た顔やめなさい。苦手じゃない。苦手じゃないよ?ただ慣れてないk…ねえ?これ落ちない?落ちないよね⁈」

「はいよー偉い偉い。この子凄い素直だ」

「アクア?アクアくん?スピード早めてない?良いのそういうのありなの?」

「大丈夫だよ。係員さんに言われたことしかしてないから」

「なら良いか…ルビー達は凄いなぁ恐れが無いよ」

ルビーとアイは最初から今までずっと笑顔でパカラパカラと乗っている。

ルビーは確かに動物に好かれそうだからそれかな?アイは…分からないな。嫌われるタイプでは無いと思うけど。

「ルビーは野良猫にも好かれるから。動物に近いところあるからじゃないかな」

「聞き方によっては中々にひどいね?」

慣れて来た僕も汚名返上と多少優雅に出来る乗れるようになった。

後はルビーと一緒に乗って走ってみたり。

「ルビー、お馬さんと仲良くなった?」

「うん!みんな素直で優しいの、この子は話しかけたら応えてくれるし」

プルルと返事するかのように鼻を鳴らしてきたり、

「少しスピード上げてもらって良い?」

ヒヒン!と嘶いてスピードが上がったり、と娘の特技を見つけた気がした。

「ヒカル、慣れたじゃん。さっすがー」

「凄いだろう?」

アイと2人で乗ってアクアとルビーが乗る子と並走したり。

「パパー!ママー!」

「凄いよルビー!アクアも上手!!」

「流石だね2人とも!」

僕たちは乗馬体験を時間の限り楽しんだのだった。



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