定例会議

定例会議


「ふぁあ、おはよーさん……」

「チリさん、おはようございます……随分と眠たげですね」

「んー、ちぃと昨晩テレビでやってた映画に夢中になってしもたわ。そういうアオキさんこそ、随分はやいんとちゃいます?いつもは『時間厳守はサラリーマンの基本です』ゆぅて、時間ぴったりに来てトップに渋い顔されてるのに」

「そのつもりだったのですが、トップに仕事を押し付けられまして……」

「いつも通りとはいえ、アオキさんも大変やなぁ。で?他のメンツはそろっとるん?」

「概ね。ただ……」

「あ、まちぃ。当てたるわ……コルサ、ナンジャモ、リップ、トップがおらん!どうや?」

「当たりです」

「なはは!せやろ!困ったわぁ。チリちゃんただでさえ属性過多やっちゅーに、名探偵属性までついたらいよいよもってパルデアに収まらなくなってまうわ!世界に羽ばたいてまう!じめんタイプつかいやのに!」

「相も変わらずよく回る口ですね……」

「お?そんなこといってええんですか?この愛嬌たっぷりな口をチリちゃんから取ったら、気のいい親しみやすいお姉さんから、伏し目が似合う物憂げではかな~い幸薄無口美少女になってまうで?アオキさんがうっかり惚れても責任取れ――」

「コルサさんとナンジャモさんの遅刻はいつも通り、リップさんとトップは昨夜の異常気象による交通網の麻痺で暫くは此方にこれないそうです。トップから先に初めていろとの指示が来たので進行をお願いします」

「あ、ちょ、いつの間にそんな遠くに?!ちょっとした冗談やんかおいてかんでぇー!」


「……噂をすれば影って奴かな?」

「あ!チリちゃん!アオキのおじちゃん!おはよーございますですの!」

「おや、珍しくアオキが時間前にリーグにいましたね。おはようですよ二人とも!」

「あれま、はがねにドラゴンに氷とは、こりゃまた珍しい三すくみで」

「その三すくみ、はがねだけ成り立ってないでしょ」

「まぁ細かいことはええやんか。どうせドラゴンなんてじしんが標準装備やし」

「偏見がすぎる……」

「チリはじめんお株のじしんが取り敢えず枠で配られていることに納得がいってないのですよ」

「若干毒が入ってると思ったらそんな理由……??」

「……ハッサクさんはわかりますが、どうしてグルーシャさんがポピーさんと一緒に?」

「ん?あぁ、この子が……」

「ハッサクせんせいとアオキのおじちゃんとチリちゃんの姿がみえなかったので、探しに行こうと思ったら、ついてきてくれましたの!」

「……子供が一人で何処かにふらふら行こうとしてたから、一応付き添っただけ……おい、その目やめろ。そんなアツい理由じゃないから」

「いえいえ、どんな理由であろうと、貴方がポピーを見守ってくださったことは事実ですから!小生はとても感謝してますですよ!」

「せやせや。チリちゃん達は感謝してるだけやで?感謝の気持ちは素直に受け取るべきや。なぁアオキさん!」

「……くそ、居心地が悪いな……」

「わかります」


「おや、姿が見えなくなったと思ったら。捜し物は見つかったらしいね」

「ライムのおばちゃん!ただいまですの!」

「遅刻常習犯組とお休みの方以外は皆さん揃ってますよ~」

「やぁやぁ御一同、時間前とはいえお待たせして申し訳あらへんな。準備が終わったらすぐ始めるさかい、ちとまっといてやー」

「ふぅ……朝から会議とは気が滅入ります」

「これもジムリーダーの仕事の一環。仕方ないんだい。所でアオキさん、今朝競りで良い魚を仕入れたんだい!良かったら今日の昼飯はウチで食っていかないかい?」

「……それはいいですね。昼といわず、会議が終わったらすぐにでも向かいます」

「そりゃいい!腕によりをかけなきゃな!」

「その話、良かったら小生もご相伴に預からせてくださいませんか?実はうっかり寝坊をしかけて朝食を食いそびれまして……腹ぺこなのですよ」

「勿論大歓迎だい!腹が減っては戦は出来ぬ!この名にかけて、腹一杯美味いものを作るさ!」

「ハッサクさんが寝坊とは珍しいですね」

「実は、昨夜のテレビの映画が予てよりコルさんからおすすめされていた物でして……入りだけみて後は録画でと思ったのですが、ついつい……」

「あら、昨夜の映画のお話ですかぁ?良いですよねぇ。ストーリーの重苦しさを爽快なアクションがスカッと晴らしてくれて……私、お気に入りなんですよぉ」

「あんた、大人しそうなナリして存外そういうのが好きだよね」

「うふふ。グルーシャさんはお嫌いですかぁ?」

「嫌いじゃないけど……ぼくはもう少し静かな話が好きだな。雪山は静かだから、騒がしいのは肌に馴染まない……まぁ、晴れた日に遠くから聞こえてくるライブの音は嫌いじゃないけど」

「そう言って貰えて光栄だよ」

「むー、ポピーだけわだいについていけませんの……」

「ふ。嬢ちゃんにあの映画はまだちょっと早いかな」

「すみません。ですが、見せたらオモダカ嬢に小生達が怒られてしまいますですよ」

「仕方ないですの。大人になったら見ることにしますの」

「――――皆さん。お待たせいたしました。刻限と相成りましたので、ご着席願います」

「……相変わらずキャラのギャップが凄いな……」

「ふふ。愛嬌だけが取り柄ではありませんから……ご協力ありがとうございます。さて、本日トップの代わりを務めさせて頂くチリです。今回は緊急性のある議題があるため、早速ですが本題に入らせていただきます。本日の議題は――」


――各地で目撃されている、反社的な組織の存在について

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