安万侶×レムキャ♀

安万侶×レムキャ♀



「この度、古事記の編纂に関わります、稗田阿礼と申します」


 小さな白い手が行儀良く重なって、丸い頭が丁重に下げられる。噂に聞いていた姫舎人の恭しい態度は、そこらの舎人よりも己の立場を弁えており、物憂げな目線とあいまって、安万侶の胸中にえもいわれぬ心地を生む。

 万人に警戒心を抱かせない柔和な笑顔で、太安万侶は阿礼の細い手首を引っ掴み己の方へと力強く寄せた。目を白黒させる阿礼を余所に発せられた無邪気さは、おおよそ初対面には相応しくなかった。


 「子供はいくつ作りましょうか!」

 「はい?」

 「私としては4人……あなたさえよければ5人! あるいはそれ以上! たくさんの子供に囲まれたいと思いますがどうでしょうか?」

 「……あの、ぼ……いや、わたくしは、かねてより仕事を命ぜられて……」

 「えぇ、えぇもちろん! 古事記の編纂という大役、大王の期待を裏切らぬように共に邁進致しましょう! 直ぐにとは言いません、子の世話に追われて編纂儘ならぬ、などあってはならぬ冒涜です。ですので雛形が出来るまでは1人としましょう」


 無遠慮に掴まれた手首の痛みすら抗議出来ず、阿礼は二の句も継げずにただたじろいだ。玉のように輝く目の異様さに恐れをなしたと言ってもいい。なぜ己は初対面で、こんな辱めを受けているのだろうと意識は半ば目の前の惨状から逸脱しかけている。


 悪い評判なんて一つも聞きませんよ、大王に大層気に入られているお方ですから安心して仕事なさい、と朗らかな微笑みを浮かべていた仲介者の顔が音を立てて崩れていく。口許を引き攣らせながら、阿礼はやっとの思いで口を開く。得体の知れない恐怖がやがて怒りと混同し、平生の冷静さを欠いて暴れ出す。


 「子供なんて誰が産むものか! 僕は編纂をしに来たんだ! 正しい記録を残すためだ! 今度こそ完成すると思ったのに、こんな、慰み者のような扱いで……っ!」


 必死の抵抗は、しかし加減をした安万侶の腕すら振り解けずに終わる。後ろ盾も地位もない、才能だけで見出された女がこの後どうなるかなど、火を見るより明らかだった──はずだった。


 「はあ、なるほど。この安万侶、些か不躾で無礼でした。……あなたの真摯な、生涯を懸けるにまで至る記録への情熱は敬意に値する。何より美しい。これは一時の、上辺の思いではありません。神話を紡ぐその唇で、閨では私の名を呼んでほしい」


 阿礼を押さえつけていた腕が、いつの間にか腰を引き寄せる形に変わっている。心底嫌な男だと思った。一方で、この男の阿礼への評はわずかな嘘も揶揄いもない。その一点だけは、なにか、生涯を報われるような面映さがあった。だからその一点に、阿礼は人生を賭けてしまおうと、常ならばあり得ないような大胆さでもって嫌味ったらしく笑ってみせた。


 「途中で期待外れだった、なんて仕事を投げ出してみろ、お前の悪評を方々にばら撒いてやる。女の怨みは恐ろしいぞ?」

 「勿論、臨むところです。……さあ阿礼、まずは国生みから教えてください。一言一句違うことなく、あなたの言う通りに残してみせましょう」




なおこのあと初夜パートで性豪が止まらなくて翌朝立てなくなったりお腹大きいまま編纂したり子供n人産んでもノンストップな性豪に「これ以上は無理だ、っ♡ 産めない、っ♡♡ とま゛れっ♡ 離婚だっ♡ お前とはぜったい、ッ♡別れ゛るっ♡♡」とかいうパートがあったみたいですが焼失しました

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