学校にて カワキさん+璃鷹さん+マツィヤ

学校にて カワキさん+璃鷹さん+マツィヤ

稲生紅衣メメ虎屋ダルヴァの主

──空座第一高等学校にて

「おはよう一護 カワキさんもおはよう!」

皆がパラパラとまばらに登校する中 一護とカワキに璃鷹が声を掛けた

「おお...いつも通り朝から随分元気だな 璃鷹」

死神代行としての疲れからか少しだけ眠そうに挨拶を返す一護と

「おはよう」

必要最低限のエネルギーしか消費しないつもりなのか軽く返すカワキ

別に今日が特別ということも無い日常的な風景である

遅れてチャド 井上 石田と続々と見慣れた顔ぶれが揃ってくる


更に遅れて一つ小さなシルエットの生徒が入ってくる

「おはようだな一護」

その生徒は軽く手を構えて挨拶をし その手をそのまま一護のポケットに突っ込もうとして...チャドの鉄拳制裁が飛んできた 割と力を込めた奴が

「冗談は笑える範囲の物で頼むぞ マツィヤ」

「無粋だろチャド 知らねえのか?若人から青春を取り上げるなんて許されていないらしいんだよ 何人たりともね」

キメ顔で何処かの漫画の受け売りを話す少女 簡単に説明すればダルヴァという滅却師が作成した被造死神である

作成された何カ月も経っていないが知識や戦闘能力は問題ないものの 本匠千鶴の性欲をそのまま男に向けたようなセクハラを行っていることも多い

「オマエのは青春じゃねえ 単に不純なアレだ」

「『不純異性交遊』俺の三番目に好きな言葉だな...今度の習字の課題はこれに決まりだな」

「...一護 二発目いるか?」

チャドがそう言って拳を掲げたところで予鈴が鳴った 璃鷹と石田が皆を早く教室へ向かう様に急かしてその場は解散となった


カワキのとってダルヴァは破面の一件以降現世に時折現れたり マツィヤを学校に通わせ出したりとアクティブに動いていても全く邪魔にならない存在だった

例えるなら上下にはエスカレーターとエレベーターを完備し 水平方向には歩く補導が敷き詰められているような徹底ぶりである...なんかコイツいると楽だな程度にカワキは感じていた

マツィヤに関してはなんか変なところはあるが実質製造から数カ月なので初期不良程度に流していた(そもそもあまり行動の意味を理解していないかもしれないが)


──昼休み

井上が『おべんと』をホクホク顔で広げて平らげている中 マツィヤがカワキと璃鷹に話しかけて来た

「なんか知らねえがダルヴァが二人にお菓子を作ったから渡してくれって頼まれてるんだよ 俺の分は別にあるし小さい物だから食べてくれねえか?」

そうマツィヤが差し出したのは小さなキャラ物の柄が印刷された容器だ

「きな粉の匂いがするね」

「わー!ありがとう!何が入っているのかな?」

匂いは別段おかしな物でもない 自身の昼ご飯を既に食べていた二人はほぼ同時に蓋を開けた

カワキはそこまで驚かなかった きな粉の香りもしていたので何となくわらび餅辺りを想像していたためか『葛餅』に対して(美味しそうだな)と感想を抱き

少しして葛餅の中に何やら一つの餅の中に2~4つの数字が書かれているのが見えた それに葛餅の数と同じだけある爪楊枝が半端に食紅で塗られているのも少し奇妙だ

ふとあまりリアクションの無い璃鷹にカワキは眼を向ける 『無表情』いや鏡で無表情な顔をずっと見てきたカワキにはほんの少し焦燥や焦りも感じたが

「爪楊枝が多いのは『もし皆で分けるようなら使うんじゃぞ』って言ってた...赤いのはなんか『駄菓子の当たりっぽくて嬉しいじゃろ?』とか抜かしてたぜ」

「__ああ!確かに!分け合う時にあった方が助かるよね!」

璃鷹は先程の無表情が嘘のようにいつもの朗らかな笑顔に戻ってパクパクと葛餅を食べ始めた

言葉とは裏腹に他の皆には分けるまいと言わんばかりに口へ運んでいる そんなに美味しいのだろうか?

そうしていると井上が竜貴と一緒にきな粉の匂いにつられてやって来そうになっている


パクパクと食べる璃鷹を見てこれはダルヴァに良い知らせが報告が出来ると嬉しそうなマツィヤはそういえばと話しかけてくる

「二人にダルヴァからの伝言なんだけどよ

カワキには『現世と瀞霊廷共々 "影"に立ち入るのは烏滸がましいので日向から行く末を見守っておるぞ』で

璃鷹には『趣味に関してはとやかく言わんし応援しておるぞ まあ限度は考えるべきじゃが』ってとこらしいぜ...なんかオリジナル料理作るととんでもないもん出来るらしいしな ダルヴァは野草とかそこら辺ならかなり詳しいし参考が欲しかったらいつどでも歓迎らしいって事らしいぜ」

マツィヤが言いきると井上と竜貴が到着し葛餅を分けて欲しいと言い出したためそれ以上その話を広げることは出来なかった


※なんで無表情なの?

葛餅に数字と爪楊枝が(4/25)(8/5)(12/15)の様に入っており 全ての葛餅が璃鷹自身もしくは手下の誰かがが殺人を行った日付を示していることに気づいたため

カワキらには全くピンと来てはいなかったが念の為素早く胃袋にねじ込んで隠蔽しようとした

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