嬉しかった

嬉しかった

夏油様術師

「…て!お……!起きて!」

俺は体が揺すられいていることに気づくとすぐさま体を起こし状況を確認する

俺は何してた?怪物と戦った

「あ、起きた」

何があった?愛子が襲われてた

「もしかして無視してる?」

何をした?よくわからん力を使って腕を治して分身?を作って愛子を治した

「おーい」

となると今は?

「ねぇ?」

周囲を見渡す、誰かの部屋のようだ

しかし見覚えがある

ああ、ここ愛子の部屋だ

「ねぇってば!!」

「うおっ!?」

俺は愛子に飛び込まれ仰け反った

「あー、もしかして気絶してた?俺」

そんなことを愛子に聞くと愛子は頬を膨らませプンスカしながら言った

「そうなんだよ!あんな所で寝てー、私が気づかなかったらどうなってたことやら…」

「えっと、ありがと?」

「何で!疑問系なのさ!!」

「けどまぁ…私も助けられたし、てか命の恩人だし…この無礼は許そう!」

え?もしかして覚えてる?」

「うん、覚えてるよ!それもハッキリ!」

「な!今お前心読んだのか!?さ、さてはエスパーか!」

「違うよ!?思いっきり声に出てたからね!!」

どうやら言葉に出てたようだ

気をつけよう

「あんなに凄い姿見たら忘れられないよ〜変な怪物から私を庇ったあの姿!

できることなら忘れたいけど」

「あ、忘れたいのね。てっきり幼馴染が血だらけになってる姿をカッコいいと捉えて覚えておく変態女なのかと」

「何それ!バカにしてる!?流石の私もそこまで血も涙もないわけじゃないわよ!」

少しは認めるんだ

「なんか今失礼なこと考えてた?

ま、それはともかくアンタ、アレについて何か知ってる?」

いや俺も知りてぇよ

「知ってるも何も昔から見えてんだよアレ、俺もよく知らねーけど

とにかくアレがダメな奴だってことは分かる。」

「そんなこと一目見た私にも分かるわよ。

そもそも襲われてるのにダメじゃないとか何?バカなの?バカだったわねアンタ」

バカってそこまでストレートに…

「酷くない?ねぇ酷くない?」

「事実だから反論の余地はないでしょ」

うぐっ…そう言われると言い返せない…

「ま、けどこれで察したわよ。アンタが異常なまでに鍛錬してる理由」

「アレでしょ?みんなを怪物から守るためでしょ?私ぐらいには言ってくれれば良かったのに」

「始めた理由はそうだけど今は戦う方が優先されてるな」

「…はーダメだこりゃ、やりがいがないくせに無理にでもやろうとしてるせいで変な趣味持っちゃってるよ」

…そうなのか?

「ま、アンタがバカなことは理解したわ」

「さっきからバカバカって…」

「事実。けどまぁ、よかったわね悩みを話せる相手ができて」

「はぁ?何のことだよ」

「私よ私!まずあの怪物を知ってるでしょ?次にアンタのただ1人の友達でしょ?ほら、どんな悩みも話せるわよ」

そうはならんだろ

「そうはならんだろ」

「じゃあ強制的に相談させるわ」

「何でだよ!?」

「そうでもしないとどっか行っちゃいそうな気がするのよね。アンタ」

「…どこにも行かねぇよ。まずどこに行くんだよ」

「さては疑ってるわね?私の勘はよく当たるのよ。私が居なかったら将来野生の獣でもやってそうだし」

「何でだよ!?」

「それ、口癖?さっきも聞いたわよ」

「いや、お前に対するツッコミだよ…」

「自分の言動をツッコミって言うとか…売れない芸人みたいなこと言わないでよ」

コイツ…

「ま、これからはちゃんと私に相談すること分かった?」

「…はい」

「声がちっちゃい!」

「はい!」


















2年後


「君、ちょっと話いいかな?」

そう声をかけてきたのは変なオッサンだった

「なに?今受験シーズンで忙しいんだけど」

「おっ受験生か丁度いい!君、ウチの高校に入学しない?」

そう言ったオッサンは俺に紙を渡してきた

俺は紙に書かれた学校名を読み上げる

「東京都立呪術専門高校…?」

これは俺が呪術師として次のステップに入ったきっかけ

後に俺の師匠となる特級術師『加茂 正宗』との出会いだった


「君、怪物が見えてるでしょ?

ちょっと一緒に腐った世の中変えてみない?」

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