媚薬部屋その後
デザイア神殿の廊下でばったり会った彼、浮世英寿が見るからにふらふらだったので、何でもないと言ってるのを無理やりおぶって仮眠室に連れてきた。途中、背中から小さく「う」とか「あ」とかうめき声が聞こえてたけど、走らなきゃよかったかな~…。
俺と偶然一緒だった道長くんはなんだかんだ言いながら付いてきてくれたけど、途中からずっと考え込んでて、ついさっき「そいつの面倒はお前が見てろ」と言ってどこかに行ってしまった。
当の英寿くんはずっと苦しそうで、ベッドの上でずっと小さく縮こまったままだ。時々体が震えている。せめて少しでも楽になってくれればと背中をさすってるけど、効果はいまひとつのようだ。一体どうしちゃったんだろう。何を聞いても「だいじょうぶだから」しか返ってこないし…。
あ、そういえばこういう時は『大丈夫ですか』って言っちゃ駄目だって聞いたことある!なんて言えばいいんだっけ…、ああそうだ!
「英寿くん、何かして欲しいことある?水とか飲む?」
「っ…、して…ほしい、こと…?」
こっちを見る目が潤んでいる。おでこも熱かったし、やっぱり熱出てるんだろうな、辛そうだ、なんて思いながら出来る限り明るい声を出す。
「うん、何でもするよ!って、俺が出来る範囲なんてたかが知れてるんだけどね…あはは」
「……じゃあ、ドアの鍵、締めてきて…」
「え?鍵?なんで?まあいいけど…」
立ち上がり、ドアの鍵をかける。ガチャリと意外に重い音がした。
「はい、締めたよ」
「…こっち、きて」
「え、うん」
「……」
「英寿くん?」
「……タイクーン…」
「うん、どうしたの?」
「…なん、でも」
「ん?」
「なんでもするって、いったよな…?」
「あ、うん、俺が出来る事なら…って、英寿くん、なんで服脱いで」
「もう、ずっとつらくて……、終わったら、ぜんぶわすれていいから」
「え」
「今だけ、俺を」