婚礼の後
ここだけゾロがルナーリア族Part2の145※閲覧注意
※【ここだけゾロがルナーリア族】のスレより
※ゾローリアの更にIFネタ
※ファンタジスタした幼少ゾロがキングに拾われ百獣海賊団所属√
※幼少ゾロはくいなと約束する前
※くいな生存&麦わらの一味√
※CPはゾロ×日和
※IFネタの派生⇒百獣√
※キャラエミュが微妙
※文才なしの駄文
※捏造設定あり
※それでも良い方のみ、お読み下さい
“百夜通い”でワイルド様に求婚され、お受けしてから数日経った。
実は“百夜通い”が終わる前から、傳ジローやアシュラ童子と河松を筆頭にワノ国の侍達や民衆、それと…百獣海賊団で婚礼の準備をしていた様で。
国を挙げての盛大で豪華な婚礼の儀式になっていた。
それにはワイルド様と顔を見合わせて、思わず笑ってしまって。
婚礼の前に傳ジロー達と相談して、婚礼の儀式の途中でワイルド様に父の形見でもある名刀『閻魔』を渡した。
ワイルド様やカイドウに他の大看板は驚いていたけれど…ワイルド様は直ぐにご自身が腰に差していた『雪走』を私に渡してくれて。
位列が釣り合わないが…なんて言っていたけれど、『雪走』は軽くて私でも振るう事が出来そうだった。
婚礼の儀式が終われば、お祭りが好きなワノ国の民と…海賊が揃っていた事もあって、そのまま宴になって。
徹夜で宴が続きそうな勢いだったから、ワイルド様と共に宴を抜けて…2人の部屋へと戻った。
ちょっと、まだ気恥ずかしい感じがして…でも、彼と共にいれるのは嬉しくて。
父母と同じ様に、彼と仲睦まじい家族になれれば良いなと思った。
「日和姫」
ワイルド様は私の事を“姫”なんて、呼んで…。
もう、私は姫じゃないのに。
「姫、ではありません」
少し頬を膨らませながら言えば、ワイルド様は優しく目元を緩ませて。
「…日和」
そう、名前を呼んでくれた。
彼は私の頬に触れようとして、躊躇する様に手をおろして。
不思議に思う前に彼が口を開いた。
「……話が、ある」
僅かに緊張を含む、初めて聞く様な声音で。
「…何ですか?」
首を傾げる私に何も言わないで、彼はいつも外した事の無いフェイスベールとマントを脱いだ。
彼の背には、とても綺麗な夜空の様な翼があって…一瞬だけ温かな炎が灯った。
キングと…彼の養父殿と同じ黒翼なのだと、気が付いて。
「…婚礼が終わってから…逃げ道を塞いでから、話すのは…どうかと、思ってはいたんだが…」
そうして彼は、彼が先祖返りをした種族の事を話してくれて。
隠さなければ世界政府に狙われてしまうから、普通には生きてはいけない事も教えてくれて…。
私に話すだけでも、とても恐ろしいと思っても仕方無いでしょう。
…それでも、婚礼が終った後だったとしても、話してくれて嬉しいと思ってしまった。
「だから…」
口籠る彼の頭を引き寄せ腕の中に抱きしめる。
「いいの!私は、あなたの妻です…どんな事があっても、あなたと共に」
そう、あなたが贈ってくれた“桔梗の簪”と“櫛”を受け取った…その時から、私は同じ気持ちだもの。
「…そうか」
ほんの少し強張っていた彼の身体から力が抜ける。
声音も優しいものに戻っていて。
「そうなの!」
それが嬉しくて、頬が緩む。
ゆるりと私の事を見つめてくれる彼の目は、父が母を見る目と良く似ていて…。
「…おれの名は、“ゾロ”だ。日和」
静かに、穏やかに…私に名前を教えてくれた。
私は、あなたとなら死んでもいいもの。
「…日和」
穏やかな寝顔をしている日和の名を呼ぶ。
小さく呼んだから起きなかったが、僅かに日和の口元が綻んだ気がして。
「“家族”になってくれて、ありがとうな」
起きていたら伝えられないだろうから、寝入っている日和の髪を撫でつつ言う。
おれの“一番”にはしてやれないけど…。
それでも、おれの“唯一”だから。
おれの…おれだけの、綺麗な月。