姉妹の絆

姉妹の絆

万歳三唱

エクソシスター・エリスは息せき切るように走っていた、彼女の姉妹であるステラと悪魔退治にきたはいいが、彼女が目を離した一瞬でステラが悪魔に連れ去られてしまったのだ

「(……わたしのせいです…わたしが注意を怠ってしまったばかりに、ステラは…どうか、無事でいてください!)」ダダダダ

ここは館の主とその家族全てが非業の死を遂げたとされる巨大な洋館、エリスは廊下を走りながら見つけた部屋を片っ端から調べてまわっている

「(どこにいるのですか!ステラ!……おや?この扉は…?)」

エリスの見つけた扉からは異様な気配が漂っていた…エリスは確信した、ここにステラと…彼女を連れ去った悪魔がいるはずだと

「ステラ!大丈夫ですか!?」バタン!!

『…………ほう?そうか、お前がこの小娘の"姉"か?……フフフ、お前のことを何度も呼んで暴れていたからな…少し手荒い真似をさせてもらったぞ』

そこには血生臭い臭気を放つ悪魔と…衣類を無惨に破かれ、目に涙を浮かべ倒れ伏しているステラがいた…抵抗していたためだろうか、体にいくつか生傷ができていた

「ステラ……っ!」

『言葉も出ないか?…当然だな、お前が間に合わなかったせいで、だからな…ふ、フフフ…』

「…その汚らしい口を今すぐ閉じてください……今すぐ閉じろ」ギロッ

『…いい顔だなぁ?怒りを抑えることができません、と顔に書いてあるようだ…………ぬ…?あがっ!?』

血飛沫が舞う、何かの落ちた音がする、遅れてより大きな音がした…全てエリスによるものだった、しかし今の彼女にはどうでもいいことでしかなかった

「ステラ…ステラ…」スタスタ

「………ごめんなさい、ステラ…あのときわたしが、あなたから目を離していなければ…こんなことには…」

「…エリス…お、ねえ…さま」

「っ!!ステラ…ごめんなさい…あなたをっ…守れませんでした…!!」

「だい、じょうぶ…ですよ…お姉様…」

悲しかった、悔しかった…何よりも自分を殺したくて仕方がなかった…エリスの胸中は、穏やかではなかった

「お、お姉様…お姉様の手で…また、わたしのことを…清めてください」ギュッ…

「ステラ……わかりました…これを…」

「これは…?」

「ポーションです…せめて、あなたの傷は治させてください…構いませんか?」

「お姉様……いや…お姉様をください…」



「………わかってるんですよ、はやく出てきなさい!」ガッ!

「お、おねえさ……ガアアアアッ!!?…あ…アアアッ!?……なぜだ!?完璧な演技のハズだったのに…!!は…離せ!!やめろぉっ!!』ジュウウウウ…

「…やはり、あなたがステラを操っていましたか……酷い臭いが隠せていませんでしたね……さようなら」

「………ステラっ…っ!…」ギュッ…!

…エクソシスターの任務は安全など保証されない…当然だ、普通の人間では太刀打ちできない悪魔を狩らねばならないのだから… 

……しかし、ステラは…わたしの最愛の妹は、まだ息はあるものの…悪魔によって大切なものを奪われてしまった…!!…わたしがもっと…気をつけていれば…っ!!

「…ごめん、なさい…おねえさま……わたし、失敗…しちゃいました…っ」

「もういいんです…!……はやく、帰りましょう…ステラ…」

失くなったものは返らない…ですが、ステラは死にませんでした…どうしようもなくわたしのことを許せませんが、それだけは…本当に、本当に…よかった…


〜END〜

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