姉からの贈り物

姉からの贈り物

モテパニ作者

拓海「はぁ…」

ここ数日拓海は悩みというほどでは無いが、少し心にモヤモヤを抱えていた。

ダークドリーム「どうかしたの?」

拓海「あー、またあの夢みてな」

ダークドリーム「例の姉がどうこうってやつ?もう何度目?」

拓海「確か5回か6回」

少し前の事、幼少期に姉がいるという夢を見た。

そしてそれは一度で終わらず何度も見てしまっている。

最初は気に留めなかったが、流石に気になってくる。

ダークドリーム「はぁ…仕方ないわね」

拓海「ん?」

ダークドリーム「ほら、お姉ちゃんって呼んでいいから」

ダークドリームは手を広げて拓海を受け入れるような体勢をとった。

拓海「……いやそういうの求めてないから。そもそもお前は姉なんて柄じゃないだろ」

ダークドリーム「はー?0歳だからって舐めないでくれるー?戸籍の上では私の方が年上なんだけどー?」

拓海「そういうとこだよ」

ダークドリームは戸籍を手に入れる際に就労資格などを考慮して拓海より一つ上の年齢にしていた。

しかし事情を知る拓海からしたらだからなんだという話だ。

拓海「それはともかくそろそろクリスマスだよな、ダークドリームはなにか欲しい物とかあるか?」

ダークドリーム「Switch」

拓海「…悪い、そういう高いのは母さんに言ってくれ」

さっきまで姉を気取りながらプレゼントのリクエストにまったく遠慮せず高い物ねだるダークドリーム。

やはりダークドリームに姉は無理そうだった。

後日ダークドリームはあんからSwitchを買ってもらった。

〜〜〜

ソラ「拓海さんありがとうございます!スリクマスの準備を手伝っていただいて!」

拓海「いいって、そっちもいろいろ大変みたいだし」

その後のある日拓海はソラシド市へソラ達のパーティ準備を手伝っていた。

あげは「うんうん。やっぱり買い出しには男の子がいると助かるよね。少年一人に任せるわけにはいかないし」

ましろ(常識人)「人手はあるんだけどね…でもさすがにわたしたちが揃ってゾロゾロ歩くわけにはいかないから…」

パーティに必要な物を買うためにひろがるスカイチームと拓海たち、和やかに会話しながら歩いているとふと違和感を感じる。

先程まで賑わっていた町並みから人気が消えた。

この光景には既視感がある。

ツバサ「まさか!?」

それにある可能性が頭に過ぎるとその答え合わせはすぐにやってくる。

ソラ「スキアヘッド!」

そう、その光景はスキアヘッドが初めてソラ達を襲った時に似ていたのだ。

スキアヘッド「アンダーグエナジー、召喚」

スキアヘッドが呼び出したアンダーグエナジーは店頭に飾ってあったスノードームを飲み込み異形の姿になる。

キョウボーグ『キョウボーグ!』

ソラ「みんな、いきましょう!」

『うん(ええ)(える)!』

『スカイミラージュ!トーンコネクト!』

ソラ「ひろがるチェンジ、スカイ!」

スカイ「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」

プリズム「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」

ウイング「天高くひろがる勇気!キュアウイング!」

バタフライ「アゲてひろがるワンダホー!キュアバタフライ!」

マジェスティ「降り立つ気高き神秘!キュアマジェスティ!」

『レディ、ゴー!ひろがるスカイプリキュア!』

拓海「俺も行く!」

拓海はデリシャストーンを光らせて。

ブラックペッパー「秘密に奏でるかぐわしきアクセントブラックペッパー!美味しい笑顔は私が守る!」

ブラックペッパーへと変身した。

キョウボーグ『キョウボーグ!』

スノードームタイプのキョウボーグは猛烈な吹雪を放つ。

その吹雪は接近戦タイプのスカイの進撃を阻み、ウイングの飛行をも妨害する。

プリズム「やぁぁぁ!」

バタフライ「はぁっ!」

しかしプリズムの光弾とバタフライの盾が戦線を維持する。

それでも防戦がやっとだ。

"プリキュアだけならば"

ブラックペッパー「せりゃぁぁぁ!」

スキアヘッド「守れ」

プリキュアたちがキョウボーグを引き付けている隙にブラペがスキアヘッドへ攻撃を仕掛けた。

キョウボーグ『キョボッ』

マジェスティ「今!」

キョウボーグ『キョボ!』

スキアヘッドがブラペの攻撃を防いだ一瞬キョウボーグの動きが鈍り、その隙をマジェスティが突く。

キョウボーグは確かに強力な力を持っている。

しかし本体は自我の薄い兵士にすぎない。

召喚者によって制御されていなければプリキュアほどの力があれば木偶の坊に過ぎないのだ。

ブラックペッパー「私がいたのは誤算だったな!」

スキアヘッド「いいや、全ては計画通り」

キョウボーグ『キョウボーグ!』

キョウボーグが射出口から大きな氷弾を全方位に放つ。

プリキュア達とブラペは掻き乱される。

スカイ「拓海さん!」

ブラペはキョウボーグの攻撃を避けるのに気を取られ、スキアヘッドに接近されていたのに気づかなかった。

隙を突かれなにかを叩き込まれる。

ブラックペッパー「うっ!」

なにか攻撃を受けた様子は無いが、ブラペはうずくまる。

ウイング「拓海さんになにをした!?」

スキアヘッド「アンダーグエナジーを取り込ませた」

バタフライ「な!?」

スキアヘッド「浄化の力を持つお前達プリキュアならばいざ知らず、そうではないこやつならばアンダーグエナジーに染める事は可能だ」

スカイ「スキアヘッドォ!!!」

スキアヘッドの非情な策にハマってしまうブラックペッパー、想い人のそんな姿を見せられたスカイは激昂する。

キョウボーグ『キョウボーグ!』

スカイ「どけぇ!」

スカイの行手をキョウボーグが阻む、スカイは怒りに任せてキョウボーグを突破しようとする。

しかし怒りは彼女を強くはしない、力任せな戦い方は使役されていないキョウボーグと変わらない。

スキアヘッド「やれ、キョウボーグ」

キョウボーグ『キョウボーグ!』

スカイ「ぐわぁっ!」

ブラペが動けなくなったことで再び劣勢に陥るプリキュア達、その様子に疑問を持つ者が。

マジェスティ「(キョウボーグを仕向けてきた?てっきりパパを味方に引き入れて私たちを確実に倒すのが目的だと思ったのに。時間を稼ぐような様子でも無いし、パパにアンダーグエナジーを取り込ませる事そのものが目的?)」

ウイング「あぶないマジェスティ!」

思考をめぐらせていたぶん反応が遅れたのをウイングがなんとかカバーした。

マジェスティ「ありがとうウイング」

ウイング「いえ、油断しないでください」

プリキュア達が苦戦している間もなんとかアンダーグエナジーに抵抗するブラペ。

ブラックペッパー「ぐぅぅぅ〜!!!」

スキアヘッド「抗うな。アンダーグエナジーに身を委ねるがいい。そして染まれ、アンダーグ帝国にな」

冷徹にかけられるスキアヘッドの言葉。

だがブラックペッパーは諦めない!

ブラックペッパー「(これなら、どうだ!)」

ブラペはなんとか自身に打ち込まれたアンダーグエナジーの位置を特定する。

そこにデリシャストーンの力を纏わせた。

なんとかアンダーグエナジーを暴発させないようにに力を調整して少しずつ外へと出していく、スペシャルデリシャストーンすら制御できる彼の技術の高さが成せる技だ。

ブラックペッパー「……だぁっ!」

スキアヘッド「なに……!」

それにはさすがのスキアヘッドも動揺する。

ブラックペッパー「ほら、返すぞ!」

取り出したエナジーをスキアヘッドに向けて投擲する。

スキアヘッド「くっ!」

キョウボーグ『キョボッ!?』

スキアヘッドはなんとかかわすも後ろにいたキョウボーグにクリーンヒットしてしまった。

ブラックペッパー「今だ!」

キョウボーグに大ダメージが入りチャンス到来だ。

『マジェスティクルニクルン!』

『プリキュア・マジェスティックハレーション!』

キョウボーグ『スミキッター』

キョウボーグは浄化され元のスノードームに戻り破壊された場所もキラキラエナジーで元に戻るのだった。

スキアヘッド「…」

キョウボーグがやられた事でスキアヘッドもすぐさま姿を消す。

スカイ「待て!」

ブラックペッパー「落ち着けスカイ!深追いするな!」

スカイ「でも!」

ブラックペッパー「俺なら大丈夫だ。もうアンダーグエナジーは体に残ってない」

ウイング「でも念のためヨヨさんに見せた方がいいですよ。以前王様たちのアンダーグエナジーに侵されたのを治してくれましたし」

ブラックペッパー「そうだな…うん?」

ブラペは懐に違和感を覚える、そこには小包のような物があった。

バタフライ「なにそれ?拓海くんそんなの持ってた?」

ブラックペッパー「いえ、覚えは無いです」

マジェスティ「…ひょっとしたらスキアヘッドから渡されたのかも」

スカイ「罠ですか!?」

プリズム「それはちょっとおかしいかな?二段構えの作戦があるならあんなにあっさり帰るとは思えないし」

ブラックペッパー「…とにかく確かめてみるか」

ブラペは包みを開いて中を確認する、その中にあったのは…

ブラックペッパー「石細工?」

中にあったのは人型の小さな石細工であった。

スカイ「うーん?この人形少し拓海さんに似ているような?」

ましろ(まし拓)「拓に似てる石のお人形!?欲しい!」

プリズム「急に出てこないで!?」

ウイング「というか何故スキアヘッドがそんなものを…?」

バタフライ「あれ?なんか背中に書いて、いや彫ってあるよ」

バタフライの言う通り背中にはなにか文字が彫ってあった。

しかし残念ながら誰も読めない。

ウイング「これはひょっとしてアンダーグ帝国の文字でしょうか?」

マジェスティ「きっとそうね。でも読める人がいないわ」

ましろ(???)「わたしにいい考えがあるよ!」

バタフライ「わっ、また新しいましろんだ」

プリズム「また増えたんだ…」

ブラックペッパー「虹ヶ丘、いい考えって?」

ましろ(???)「ふっふっふ、それはね…」

〜〜〜

バッタモンダー「それで俺のところまで来たわけ?」

ましろ(モンしろ)「うん♪お願いバッタモンダー♪」

新たなましろ、ましろ(モンしろ)の提案はアンダーグ帝国出身のバッタモンダーに読んでもらおうというものだった。

バッタモンダー「なんで俺がそんなこと」

ツバサ「いいだろそれくらい文字読むだけなんだし」

バッタモンダー「(まあ別にいいが、素直に読んでやるのも癪だしなぁ…)」

ましろ(モンしろ)「だったら今度お礼にご飯食べに行こ。ご馳走するから」

バッタモンダー「…しょーがねーなー」

ましろ(モンしろ)「(やったー!デートだー!)」

あげは「ましろんに奢ってもらうとかプライド無いの?」

バッタモンダー「るせー!生活厳しいんだよ!」

拓海「じゃあ頼めるか?バッタモンダー」

バッタモンダー「ふんっ、どれどれ?」

バッタモンダーが石人形の背中を見る。

バッタモンダー「弟へ?なんだこりゃ?」

拓海「!」

ソラ「弟?スキアヘッドは拓海さんを弟扱いしてるのですか?」

ましろ(モンしろ)「すっごいシュール…」

ツバサ「他には?」

バッタモンダー「これだけ、これ以上なんもねーよ」

あげは「うーん、よくわかんなかったね」

拓海「…とりあえず、これは俺が預かってもいいよな?」

周りは理解しがたい文字であったが、これを向けられた拓海は理解した。

拓海はその石人形を大事そうに持った。

〜〜〜

スキアヘッド「申し訳ありませんカイゼリン様、ブラックペッパーをこちらの手に落とす事は叶いませんでした。ですが例の物を渡す事は遂行いたしました」

カイゼリン「そうか…無理を言ったなスキアヘッド」

スキアヘッド「いえ、カイゼリン様の命令を完璧な形で遂行しきれず不甲斐ない限りです」

アンダーグ帝国では今回の件の報告がされていた。

今回の件はカイゼリンが主導だったとのこと。

カイゼリンもまた例の夢を幾度も見ていた、そしてその弟とブラックペッパーを名乗る戦士が類似していると気づいたために悩むくらいならとスキアヘッドを動かし今回に至った。

しかし彼女はスキアヘッド以外を信用していない、そのため傀儡とする事を選んだ。

それが叶わなければせめてと自分が手掛けた物を渡したのだった。

カイゼリンはブラックペッパーへと渡された石人形と似た己を模した石人形を手で転がすのだった。

〜〜〜

〜おまけ〜

ましろ(モンしろ)「今日はありがとうございます紋田さん♪」

紋田「いやぁ、こっちこそ」

後日ましろ(モンしろ)の計画通りバッタモンダーとお昼ご飯に出かけていた。

ましろ(モンしろ)「じゃあわたしお会計してきます」

紋田「よろしく」

一通り会話も終わって店を出るため会計に向かうましろ(モンしろ)バッタモンダーがそれを見送っていると周りからヒソヒソ声が。

紋田「(ん?)」

客「あの人大学生…?あんな中学生くらいの子に払わせて…」

客「あの子大丈夫?ちょっと声かけた方がいいんじゃ…?」

紋田「(やっべ!)」

バッタモンダーからすればプリキュア達からどう思われようが知った事では無い。

しかし猫を被る紋田としては風聞が悪くなるのは避けたかった。

わざとらしくなにかを探すような仕草をして財布を取り出すバッタモンダー。

そしてましろを急いで追いかける。

紋田「やっぱり僕が払うよ」

ましろ(モンしろ)「え、でも」

紋田「いいから」

ここで彼のイメージを損なわない方法、それは財布を無くしたため仕方なく相手に払ってもらおうとしたがやっぱり見つかったので払うという事に見せることだった。

出費を抑えるはずが思わぬ出費を重ねてしまったバッタモンダー。

紋田「(チクショー!)」

ましろ(モンしろ)「(バッタモンダー…わたしを気遣って…やっぱり優しい人!)」

そして彼の意図しない形でましろの好感度を上げるのも彼らしかった。


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