女子会
「タロ、ちょっといい?」
「はい、何でしょうか?ゼイユさん」
「話があるんだけど……人に聞かせられない話だから、あたしの部屋に来てもらっていい?」
「はい、いいですよ」
話ってなんだろう…スグリくん絡みの話かな?
そんな事を考えながら移動する。
部屋に入って扉が閉まった後、ゼイユさんが口を開いた。
「それで、話の内容なんだけど……昨日、スグがさ」
「スグリくんがどうかしたんですか?」
「いや、その、なんというか……昨日の夕方に廊下を歩いてたら、タロがハルトのほっぺにチューをしているのを見たって言っててさ」
「そ、そ、そ、それは!?み、見てたんですか!?ゼイユさん!?」
「見たのはあたしじゃなくてスグよ。それよりその反応…本当だったのね」
「は、はい…」
あぁ本当に恥ずかしい…穴があったら入りたい…
「廊下なんて誰が見てるか分からないんだから、せめてあまり人が来ない所でしなさい。スグには誰にも言わないように口止めしておいたからいいけど、カキツバタあたりに見られたら確実にめんどくさい事になってたわよ」
「そうします…」
「ところで、いつから付き合ってるの?」
「え?」
「いや、え?じゃなくて。ほっぺにチューなんてしてるんだから付き合ってるんでしょ?いつからなの?」
「いや、その、実は…」
「実は?」
「まだ…付き合っていないんです」
「はぁ〜〜〜〜〜!?ほっぺにチューまでしといて付き合ってないの!?スグも二人はカップルに見えたって言ってたわよ!?」
「かっ、カップルだなんて、そんな」
「何照れてんのよ!?はぁ〜 告白はしないの?両思いだと思うけど」
「…振られたらって思うと、勇気が出なくて…」
「そう、なら方法は一つよ!ハルトに告らせれば良いのよ!」
「でも一体どうすれば…」
「ハルトの好みの女子のタイプを聞き出して、それに近づければ告ってくるはずよ!ちょうどいいし、スグをパシりましょ。同性のほうが聞き出しやすいでしょうしね」
「ありがとうございます、ゼイユさん」
「良いのよ、乗りかかった船だし。それじゃあ、あたし達二人とスグの三人で「ハルトに告らせ隊」結成ね!」
「はい!」
〜一方そのころ〜
スグリは勉強の遅れを取り戻すために勉強していたが、昨日の光景を度々思い出し、集中できないでいた。
「どうしたのスグリ?さっきからずっと僕の方を見てない?」
「な、何でもねえべ!気にしないでくれ!」
「そう?」
「…なぁハルト」
他の人に聞こえないよう、近づいて小声で話しかける。
「?」
「キスって、どんな感じなんだ?」ボソッ
その後ハルトが取り乱し、落ち着かせるのにかなりの時間を要したのはまた別の話だ。