女子会らしいもの
ちょっと書きたかった。そしたら何だかゴリゴリに長くなってしまったものです。2000字くらい
💮さんと🪞さんと🔔ちゃんが話してるだけです。急に始まって急に終わる
🔔ちゃん自由奔放概念
❁ ❁ ❁
サクサクとクッキーの崩れる音が小さく響いて、けれどそれをかき消すようにテリオスベルが口を開いた。
「今日何のために集まったんだっけ」
クッキーをひたすらに口へ運んでは噛み砕いて咀嚼する。余程美味しいようで、その手は止まることを知らないようだ。
「日頃溜まってるウシュバへの言いたいことを言い合おうって日取りから何から決めたの君でしょ」
無くなる前に自分も食べなくては、とギルデッドミラーもそのチョコチップクッキーに手を伸ばした。ショウナンナデシコもそれに続く。
「そういやそうだっけ。いや〜クッキー美味しくてつい。誰が持ってきたんだっけ?」
「これは……確かヴェラアズールくんが作ってくれたのよ。女子会やるなら必要ですか?って」
「気が利く〜……女子力で負けてない?」
「お菓子くらい作れるわよ私は」
「まぁレシピさえ守ればね」
テリオスベルを除いた二人が頷くが、当の本人ははえ〜すっごいなどというぼんやりした感想を持ちながらもしゃもしゃとクッキーを食べているだけである。彼女はレシピ破壊の達人なので、お菓子など到底作れないのである。
「ウシュバに言いたいことあるひと〜」
「「は〜い」」
「あは、ノリいい。そゆとこ好き〜」
ふふふ、と笑い声が室内に響く。女子特有のノリというものは確かに存在するものであり、雰囲気を柔らかくさせていた。
「んじゃあナデシコちゃんからいこう。何がある?」
「お風呂上がりに上裸でうろつくの、何とかならないかしら……」
あ―……と理解の及んだ2人の声が重なった。
「ああ。よくやってるわね……」
「あ〜……直るかな?」
「いや、無理だと思うけど!思うけど気になるのよ」
「筋肉が?」
「そうね、特に腹筋、じゃないわよ何言わせてるの」
飲み干したティーカップを手持ち無沙汰に弄りながら、ウシュバテソーロの割とよく見る裸の姿を思い出しつつ言いかけ──────いやほぼ言ったようなものではあるが──────ハッとして言葉を止めた。
「いひゃいいひゃい、ひっふぁあらいれ」
「そこまでの誘導尋問でも無かったわよ?」
ギルデッドミラーからの追撃に言い返せず、むっとしながらテリオスベルの頬を引っぱる。思いのほかよく伸びたので、むにむにとそのまましばらく遊んだ。
「おーけー、ナデシコちゃんは筋肉が好き……と。今度触らせてもらえば?」
「………いいわよ別に。特に触りたくもないし」
触りたいんだな。
アイコンタクトで2人はそれを共有した。
「じゃ〜次、ミラーちゃん」
「そうね……」
言うべきことをまとめるついで、最後のクッキーをパクリと食べた。分かりやすくテリオスベルがショックを受け、慰めがてらショウナンナデシコが切れた紅茶を注ぎ直してやる。
「……レモンに触られるのは癪だわ……」
「自分に触られるのは良いんだ……」
「それは良いのよ。レモンにどうしてあげればいいか教えてくれるし」
「わあ」
スンッとした目になって言った。これ一番かわいそ〜なのレモンくんだな?などと思いながら、入れてもらった紅茶に角砂糖を放り込む。
「それは私からアドバイス出来る事は何も無いし……ベル、何かないの?」
「え〜、わたし?」
うーんうーんと考え込んで、ピン!と来たような顔で人差し指を立てた。
「いっそウシュバくんを拘束しよう」
「なにそれ楽しそうね」
「ケインズもやりたがるかしら」
「オルフェーヴルさんも呼ぼ〜よ。この前お風呂入ってた時文句言ってたし〜、多分協力してくれるって」
「……一緒に入ったの?」
「いや〜なんかね、ウシュバくんにまとめて連れ込まれて」
自分たちの父親が同期と一緒に風呂に入ったという衝撃の事実を聞き、宇宙を背負ったが、父親も自分達と同じ相手に抱かれている時点でもう既に宇宙は背負いきっているようなものである。すぐ気を取り直した。
「楽しそうね。みんなでウシュバをからかってやりましょう。仕返しよ仕返し」
「色々と作戦がいるわね……芝の子達にも協力してもらいましょうか」
「そ〜だね、ふふ〜」
女三人寄ればなんとやら、非常に楽しそうに話は進んでいく。まあどうせ最後には向こうが勝つんだろうけどな〜と、テリオスベルは薄々思っていたが、今この楽しい時間を壊すのは嫌だったのでそれは言わなかった。
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「……そういえば、ベルはなにか無いの?言いたいこと」
「そうね。気になるわ」
「あ〜、それね。エスくんとかトゥルくんとかいる時に限ってわたしの家来るの何でだろ〜って」
「………それは知らないわよ」