奥様はお義母さん

奥様はお義母さん

「ん、兄者からの文だな」「うぇっ!?なんて書いて……?」「久しぶりに戻ってこないか、だと」

 扉間は呆然としていた。主に昨晩の出来事の所為で。義理とはいえ育ててきた息子に一晩掛けてたっぷりと雌として愛されてしまったのだ。結婚そのものは扉間も同意していたので、問題はない。だが、形式的なものだと思っていた扉間はそういう関係になる覚悟などしていなかった。

「扉間、大丈夫か?」

「だ、大丈夫だ」

「良かった。昨日は加減出来なかったから」

ヒルゼンが優しい手つきで白い髪を撫でる。まだ扉間が前の夫が居たころから伸ばすように頼んできた白い髪はヒルゼンのお気に入りだ。扉間を玉座についてきた付属品としか思っていなかった男と違ってヒルゼンは最初から異国から来た美しい白い神を娶ることを夢見ていた。馬鹿な男だったおかげで他の神を敵に回して自分に主神の座をくれたので義父のことはヒルゼンは嫌いではない。扉間の処女を残してくれた件に関しては額づいて礼を言ってもいいとすら思っていた。

「ヒルゼン、くすぐったい」

「くすぐったいだけ?」

いつの間にか髪ではなく項や頬を触り始めたヒルゼンを扉間が遠回しに窘める。昨日付けた項に残る跡をヒルゼンが指で触れた。それに反応して微かに扉間の白い身体が震える。扉間が性を感じさせない雰囲気なため初夜まで不安を抱いていたが、今となっては杞憂だったなとヒルゼンが笑う。勿論、こなれた娼婦のようにとは行かないが扉間は初めてとしては充分過ぎる感度だった。

「妻を労わる気持ちはないのか」

「ごめん。可愛くて、つい」

「か、可愛い??」

言われ慣れていないのか頬を染めた妻にヒルゼンが真顔になる。思いがけず年上の妻が可愛い姿を見せた所為だが、突然真顔になったヒルゼンに扉間が心配そうに白い手で頬に触れた。母として慈しんできたが故の無意識の行動だが、ヒルゼンにとっては妻になって初めての扉間からの触れあいである。ヒルゼンが白い手に口付け柔らかいベッドに勢いよく押し倒す。その勢いで最低限の身支度すら整えないままベッドでヒルゼンに愛でられていた扉間の白い髪が広がった。

「まて、もう侍女が」

「昨日来ないように言ったから大丈夫」

「はっ、こら、んっ」

「オレに抱かれて、扉間」

わざと子ども時代のようにヒルゼンが甘えた口調で言う。扉間はそれに弱った顔をして大人しくなる。まだ子ども扱いなのだと解りつつも、ヒルゼンはそれを利用するのに迷いはなかった。ヒルゼンとしては、もう母ではなく夫に愛でられる妻なのだと扉間の身体にじっくりと教え込んでやるつもりなので。そして、ヒルゼンは扉間がそのことを理解する日は近いことを触れれば乱れる身体で察知していた。

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