失踪カキツバタ&ブチギレスグリ概念スグカキ

失踪カキツバタ&ブチギレスグリ概念スグカキ

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横で眠るスグリを見る。ずっと目を逸らし続けていた感情が抑え切れなくなっていた。自分はスグリが好きだ。後戻りできないほどに。そして自惚れでないのなら、最近体を重ねる時自分を見るスグリの目にも、同じ熱が灯っていることに気づいていた。多分、きっと、スグリは自分のことが好きなのだろう。そしてその視線にどうしようもなく喜びを覚えてしまう自分が、吐き気がするほど嫌だった。そう思いながらもここまでズルズルと関係を続けていたのは、このぬるま湯のような時間があまりにも心地よかったから。でも、自分ではスグリを幸せにできないから、この気持ちが漏れ出す前にもう終わりにしないといけないのだ。だからと言って嘘でも振り文句をスグリに向かって言いたくなかったし、言い切るまでいつもの調子で自分が耐えられる自信がなかった。そこまでスグリに毒されている己に自嘲する。そして自分はどうしようもないやつなので、スグリと直接話すのを恐れ、抑え切れなくなった気持ちが怖くて、また楽な方に逃げようとしている。自分が消えたことに気付いたら彼はどんな反応をするのだろうか。分からないけれど、でも、そのまま忘れて幸せになってくれたらいいと思う。

「何でも手を抜いちまうオイラが本気になれた唯一が、あんただったなぁ………」

寝ている彼の髪をとく。昔の気弱な頃から寝顔だけが変わらずあどけない。その顔を目に焼き付け、横に手紙を置くと俺はそっと部屋を後にした。



朝起きたら、恋人が手紙1枚を残して消えていた。その手紙にはもう会うことは無いだの幸せになって欲しいだの、くだらない自己満足の言葉がつらつらと並べられていた。

「は…?」思わず低い声が漏れる。行為の時、彼がこちらを見上げる度、潤んだ金色の瞳に自分と同じ熱が灯るのを知っていた。言葉にせずとも両想いを確信していた。だから、彼とこれからも一緒にいて欲しいと、共に歩んで欲しいのだと改めて伝えるためカジッチュを送ろうと姉やハルト、アオイに相談して計画を進めていたのにこれはどういうことなのだろう。

何が幸せになって欲しいだ。自分のことは忘れてくれだ。普段のおちゃらけているアイツと同じだ。外面の良い言葉を適当に並べて取り繕いやがって。

アイツは、本気で想いをぶつけようとしている俺や、本気になってしまった自分の気持ちと向き合うことが怖くて逃げているだけだ。ある意味変なところで自己肯定感が低いあいつらしい。そして、悪癖だった逃げ癖はどうやらまだ治っていなかったようだ。

「はは………よくも、こんなくだらないことさ、書けたよな………?」

ここまで俺を堕としておいて今更置いていくなど許さない。逃がさない。もう独りは嫌だから、死んでもその手を離すつもりもない。

俺がお前に向ける感情の重さを、お前はちっとも理解していない。こんな紙切れ1枚で俺が諦めるとでも思ったのだろうか。笑わせてくれる。

「俺が向ける気持ちさ、改めて体に教えこまにゃ、いけねぇな…?」

俺だけが堕ちたままの気などさらさらない。アイツを見つけたらもうこんな馬鹿げたことを考えることがないように、俺がいないと生きていけない浅ましい体にじっくりと堕としてやる。

手元の紙をグシャリと握りしめて、俺は部屋を後にした。



終わりです。勢いのままに書いたからおかしいとこだらけの文だけど許してください何でもしますから!!ともっこたちが!!!!

尚分からせを決意したこの激重スグリくんはこの後アオハルwithゼイユに何恋人逃がしとんねんアホー!!と情けなくドツかれてギャグ時空に変貌するものとします。


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