失敗作共の手直し

失敗作共の手直し


シーカー・ダルヴァ

少し前までの印象はとんでもない役立たず...だった

なぜ浦原喜助はこの男を現地での協力者に選んだのかと道中常々疑問に思っていた

だが今はその印象は打ち捨てられた

「存外簡単であったな あまり動くんじゃないぞ...お主の生きるために必要な部分まで斬りかねんのじゃらかな」

「お...俺たちが爆弾って 涅隊長がそんな!」

隻腕である彼は片腕に持ったメスで殺すことなく頭部を切開し何かを斬った

彼らの斬られた断面を見れば父に比べて大した医療の知識を持たない僕でも分かる『異常な構造』死神と人との差異を考えてもおかしい事は分かる


「人の実験動物にあまり触れないでほしいものだネ」

「なるほどじゃのう ふむふむ...死神であるが大した働きの出来ん木偶に爆発する改造を施した上で偽の任務を与えて起爆する 複雑で大変な改造じゃのう

苦労の割に武器に必要な『攻撃時に自身を傷つけない』という最低限すら守れん改造じゃ

じゃが儂に改良案があるぞ こうしてちょちょいとメスを入れて一つ薬品を入れてしまえば良いのじゃ...」

ダルヴァは先ほどまで涅という死神に恐怖したのかダルヴァに縋りついていた一人の死神の頭を弄り回した

「意識などなくただ目標に突き進む 頭部などそれくらいのスペックがあれば良いと思うぞ...ああ済まぬ 改良案を敵に教えるなどの利敵行為をしてしまうなどまた役に立たぬと思われてしまうかもしれぬ」

複数人いた死神は既に全員ダルヴァによって改造され喋ることも出来ずただ項垂れていた


行け

ダルヴァが冷たくいい放った 僕は未だに状況が呑み込めず僕の横を通り過ぎる死神をただ見ていた

「どうやら起爆方法は変えたようだネ」

起爆ボタンを一度押したが反応しなかったのだろう 死神は即座に刀を抜いたが

「この爆弾共は仮にも死神 死に際に今生最速の瞬歩を歩ませて終いにしてやるのも一興じゃろう」

想定外に速かった爆弾達に囲まれてしまった

「起爆方法は単純じゃ 『攻撃を受けること』で起爆する」

爆弾の一人にメスが刺さり...爆発し連鎖していく

爆発が止んだ後件の死神はまだ息絶えてなどいない 多少怪我はしているがあの程度ではどうにもならないのだろう

そこまで見てようやく僕は井上さんが泣いているのに気づいた そして死神とは言え命が失われてしまった事にも

「ああそうじゃ そもそもあんな改造をされた者はマトモな生活など送れんのじゃよ 

『助けられる』『生き延びさせることが出来る』などと勘違いさせてしまったのなら相済まぬ」

少なくとも今は彼は味方だ "今は"...

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