夫婦の年末
夜 モンキー・D・ホームのリビング
「お疲れさまルフィ。はい、ホットミルク」
「お、ありがとな」
「ふふ、どういたしまして。ララとムジカちゃんと寝た? ライトは素直に眠るのに、あの子たち、寝たふりして起きてることあるから……」
「大丈夫だ。儀式の話しても、楽器の話しても反応しなかったからな。寝たふりだったら絶対に反応するだろ?」
「あはは、確かに。やるじゃんルフィ」
「おれも父ちゃんだからな! 子供たち寝かしつけるくらいはできねェと」
「いえいえ、いつもいろいろと助かっております」
「いえいえこちらこそ」
「……ふふふ」
「ははは」
「セカイは、今日はミライと寝てるんだっけ?」
「そうだな。昨日マストと寝たときにずーっと抱き着かれてて、それですげえ暑くて寝苦しかったみてェでよ、「もうにいにとねない!」っつって、ミライにくっついてた」
「あははは、寝るとき抱き着いてくるのルフィそっくりだね」
「む、ウタだって寝るときはくっついてくるじゃねェか」
「何言ってんの。あんたフーシャ村にいたとき何回か一緒に寝てたけど、その時も毎回抱き着いて寝てたじゃない」
「……そうだっけか? いやー、ぜんぜんもう、おぼえてねーな、うん」ヒューフヒュー♪
「嘘下手かっ! ……まったくもう」
「そういや今年の年末はライブねェんだよな?」
「うん。この年末は家でみんな一緒に過ごせるよ。まあライブの時もルフィたちみんな会場まで来てくれるから、一緒に過ごせるのはいつも通りなんだけど」
「ししし、ウタのライブなら見逃せねェからな! でもまあ、家でゆっくり過ごすのもおれは好きだ。今年はこたつもあるし、のんびり過ごそう」
「そうだね。私はこたつの魔力に負けないように頑張らないとだけど……!」
「出たくねェ時はおれが代わりに用事すませるから、ゆっくりしてていいぞ」
「もう、そうやってすぐ私のこと甘やかすんだから。どうするの? 怠けすぎて私がすっごく太っちゃったら」
「太っても痩せてもばあちゃんになっても子供になっても、何がどうなってもウタが好きなのは変わらねェからな。特に問題ねェだろ?」
「っ、……ばか」
「にっしっしっし、どうしたウタ、顔真っ赤だぞ?」
「あ、赤くないし!」
「やーい、負け惜しみ~♪」
「ぐぬぬう、憶えときなさいよ……!」
「それにしても、今年は寒いねー。ベルカントでこんなに寒くなったの随分久しぶりじゃない?」
「そういやそうかもな。雪まで積もるのなんて、滅多に見ねェし」
「ホント寒いよね~。あー寒い寒い」
「暖房の温度上げるか? ベガパンクが付けてくれたやつだから、すぐ暖まるぞ?」
「暖房はそのままでいいけど、寒いのは困っちゃうかな~。なんか暖まる方法ないかな~」
「? ……ああ、そういうことか。よっ、と」
「えへへへへ、ありがとね。こうしてくっついてると、すっごく暖かい」
「おれも暖けェ。……なあ、ウタ」
「なあに?」
「好きだぞ」
「ふふ、私も! 大好きだよ!」