◆天馬駆る英雄
「あァー……ったく、見せてやろうかねェ、端くれといえ、ギリシャの英雄の力を、よ……ッ!」
【真名】ベレロフォーン
【別名】天馬を駆る者
【霊基】ライダー
【出典】ギリシャ神話
【地域】古代ギリシャ
【性別】男性
【身長・体重】172cm,58kg
【属性】混沌・善・天
【ステータス】筋力:B 耐久:C+
敏捷:B 魔力:B
幸運:D 宝具:EX
【クラス別スキル】
・対魔力:B
魔術に対する抵抗力。
一定のランクまでの魔術を無効化し、それ以上のランクのものはその効果を削減する。
サーヴァント自身の意思で解除し、有益な魔術を受けることも可能。
Bランクでは魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
・騎乗:A++
乗り物を乗りこなす能力。
「乗り物」という概念に対して発揮されるスキルであるため、生物・非生物を問わない。また、英霊の生前には存在しなかった未知の乗り物も直感の元に乗りこなせる。
Aランク以上ともなれば神獣・魔獣ランクですら騎乗可能。
翼を持つ馬、ペガサスをライダーは乗りこなしたとされる。
【固有スキル】
・一騎当千:A
集団戦に長けていることを示す。
敵味方入り乱れる多人数戦闘に対する技術。
軍団を指揮する能力ではなく、軍勢の中の一騎として奮戦するための戦闘技術。集団戦における判定にボーナスを付加する他、一度に相対する相手の人数が多いほどライダーの攻撃の威力は上昇していく。
ソリュモイ人やリキュア兵、アマゾネスと戦いそのことごとくを鏖殺、武勇を示したライダーは非常に高ランクでこのスキルを有しており、多対多・一対多の戦いならばライダーは無敵と言っても過言ではない。
・魔獣殺し:B+
対魔獣、とも称されるスキル。
魔獣と相対した際に相手の全ステータスを二段階低下させ、さらに自身のステータスに強力なバフをかけることができる。
数多の獣を継ぎ合わせた魔獣、獣の王たるキマイラを討伐したライダーはこのスキルを非常に高いランクで保有している。
・戦闘続行:B+
名称通り戦闘を続行する為の能力。
決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。往生際の悪さ、あるいは生還能力と表現される。
ライダーの末路、神に挑む不遜を咎められ雷霆を落とされた逸話においてさえも、彼は死ぬことはなく、不具になるに留まった。
・海神の祝福:B
神性の亜種スキル。
ライダーはグラウコス王の息子であるが、その真実は海神ポセイドンとグラウコス王の妃の間に生まれた子なのだといい、故にライダーには彼からの恩寵が齎されている。
ライダーに与えられた祝福はポセイドンの権能の一つ『流体の制御』であり、これを自身の周辺に存在する空気の制御という形でライダーは行使することができる。
自身の周辺の大気を操ることでライダーは擬似的な不可視化や相手の攻撃を多少なりとも減衰させる、あるいは自身に追い風を吹かせて攻撃の威力を上昇するなど中々に多様、かつ器用に使いこなしている。
【宝具】
『獣屠の海嘯(トリアイナ・べレロフォンテス)』
ランク:B 種別:対人・対獣宝具
レンジ:2 最大捕捉人数:1人
ライダーが携える巨大な三叉槍。
青みがかったポセイドンの神鉄を鍛え上げた槍であり、中程から穂先にかけて機械仕掛けのパーツが取り付けられた代物。その半ば程には円筒形のカートリッジが存在している。
先端部分の二本の枝先には鋭い刃を持たず、中央部から伸びている穂先も長くないそれは一見すれば刺叉のように見え、機械仕掛けも含めて三叉槍というには余りに無骨で歪な外見。
ポセイドンの神体、その予備部品を加工して機械槍へと仕立てたものであり、機構を作動させることで先端部を対象に貫徹させ、次にカートリッジを展開して内部の『銀の毒』を流し込むことによって、対象を無力化する。
カートリッジに充填された『銀の毒』の正体はオリュンポス神の神体を流れる神の体液、クリロノミアを毒へと加工した言うなれば『攻性クリロノミア』とでもいうべき代物。
触れた生物に侵襲統合し、肉体に吸収される性質はそのままであるが、その効果は「肉体のあらゆる構成要素を神の身体すら侵す毒素へと変質させる」というものになっている。クリロノミアの持つ、対象の肉体を強化する性質はもともと肉体であった毒にも有効で、結果として身体は強化されながらも蝕まれ、最終的にはその毒によって命を落とすという。
ただし、強力な効果を有する代わりに回収は不可能であり、カートリッジの予備もない。
一撃必殺を旨とする、当に切り札中の切り札。
『雷霆となりて神に挑め、流星の嘶き(ベレロフォン・トラゴーイディア)』
ランク:EX 種別:対城宝具
レンジ:2〜99 最大捕捉人数:1000人
黄金色の金属質な輝きを備えた手綱と鞭。
かつて魔性へと堕した女神が保有しているという手綱と鞭からなる宝具、それの改良型。
元は女神アテナの持ち物とされ、ペガサスを 操るための馬具こそがその真価だとされる。
取り付けた生物を自由に操作できる馬具類。
ライダーは魔術によって呼び出したペガサスへとこの宝具を装着し、跨って自在に駆る。
騎乗している間、ライダーの有する海神の祝福スキル込みの気流操作により、全面に圧縮した空気は古代の城壁クラスの魔力障壁と化す。
真名を開放していない間であっても時速四百から六百キロまで加速することが出来るため、移動手段としても、勿論その速度を活かした突撃攻撃としても、十分な脅威となりうる。
さらに騎乗しているペガサスの方も原典たる怪物の血より生まれたものをベースにアテナ女神の徹底した調整が施されているために、そもそもの出力自体が大きく向上している。
だがその真価は真名を開放した上で放たれる凄まじい速度での猛突進。真名開放とともに手綱は無数の細糸にばらけペガサスの身体へ侵襲。装甲と加速装置を兼ねた黄金のパーツが全身に合体し、両翼の部分から大量の魔力を噴出しそのスピードを最大限に強化する。
その最大速度は時速実に千二百キロに達し、大英霊クラスの霊基も粉々に粉砕してなおも 余りある威力を有する最高峰の宝具である。
しかし、この宝具はそれだけに留まらない。
加速装甲と同時にペガサスの尾部上側に形成するパーツの正体は終端誘導を行うビーコンであり、宝具の起動から数秒後、ゼウス神の怒りを象徴する雷霆が空間に放射、ライダーを目掛けて一気に殺到していく。勿論のことライダーの突進を受けた相手はその巻き添えを受けてのさらなるダメージを負うが、最終目標となっているライダーも重大なダメージを受ける、ある種の「自爆宝具」でもある。
ライダーが神々と肩を並べんと天馬を駆ってオリュンポスへ侵攻、ゼウス神の怒りを買い雷霆を以て撃ち落とされた逸話に由来する、ライダー自身の末期の再演となる大宝具。
ランクがEX(規格外)となっているのは主神の全力の攻撃を、自身に向けとはいえ擬似的に召喚する、という大無法によるものであろう。
【解説】
青みがかって暗い色合いをした金属製の槍を携え、黄金の馬具を付けた翼ある馬が傍らに佇んでいる壮年の男。容姿そのものは端麗ながら、痩せて頬骨の出た顔つき、目の下の隈、伸び放題の顎髭にあちこち絡まった長い髪などどこかくたびれた印象がある。
真名を「ベレロフォーン」。
ギリシャ神話の数ある英雄のうちの一人。
実の弟、ベレロスを誤って殺した咎で祖国を追われ(名前は「ベレロス殺し」を意味する)、辿り着いた地の王妃に言い寄られたが固辞。彼女の嘘により王、プロイトスの怒りを買う。その為に怪物キマイラの討伐を命ぜられるが天馬を駆ってこれを討伐。その後にも数多の目覚ましい武勲を立ててリュキア王となったが、晩年驕りに取り憑かれてオリュンポスへ侵攻。ゼウスの雷霆を受け、落馬して地上に落ち、盲目・不具となって放浪したとされる。
人物としては外見の通り、くたびれて覇気の乏しい男。世の中にはどう足掻いたところで敵わない存在がある、ということにすっかりやさぐれており、命じられてもまず動かない。
生前では過ぎるほどに直情的で熱血漢、故に数多く痛い目を見てきた反動によるものだが、とはいえ根っこの所の、お人好しで弱者の為ならばいくらでも体を張る性格は変わっていない。戦場慣れしているのもあって実の所シビアな性格ではあるが、頼れるサーヴァントになるポテンシャルという意味では大きい。
主な戦闘スタイルはペガサスに騎乗して行う、飛行と槍の長リーチを組み合わせた高速戦闘であり、通常の突撃ですら、サーヴァントを優に屠りうるポテンシャルを持つ。
相性のいいマスターとしては典型的な魔術師はまず駄目で、むしろ巻き込まれた一般人の方が相性が良いと思われる……のだが、戦闘のスタイル上魔力消費が大きく一般人ではまず戦闘中に魔力切れを起こすことがネックか。
扱い自体は本人がその気になりさえすれば、むしろ頼れるサーヴァント。だが、この辺りの不器用さ故にややハズレ気味ではある。
【聖杯にかける願い】
弟ベレロスが死ななかった世界。