天与の暴君VS険悪コンビ その②
呪力強化による二人の体術と夏油の呪霊操術で五分いや、それどころか一撃でも貰えばあちらに状況が傾く事は間違い無い。考えたくないが隣の男との連携が必要だ。
そう考えながら、甚爾からの拳撃を夏油が呪霊で逸らしそのまま懐に潜り込みお返しと言わんばかりに頭に蹴りを入れようとするが見切ったかのように避けられる。
「あんま言いたか無いが……すぐに近付くのはのはどうなんだ?」
「……」
「仲悪いのか?お前ら?」
「まぁなっ!」
そのまま拳、腕とで相手の攻撃和らげつつそのまま殴りかかるしかしそれも回避される、じり貧だ呪力強化と二人のコンビネーション(余り考えたくないが)で維持してるこの状況は領域展開を2回も使用した俺の呪力が切れれば間違いなくひっくり返り不利に傾く。しかし相手側もダメージや疲労が無いわけでは無いコチラは反転術式で全快なのは大きなアドバンテージだと言える。
続いて、また拳を打ち込むも頭を軽く動かして避けられ、後に来た夏油の攻撃も軽くいなして平然としている反撃をさせないように動いているので良いが攻めに転じようとしているのにスカが続いているのは頂けないというか不味い状況だ……此処は
「次の一撃に賭けるか」
相手には聞こえない様に呟いた、夏油に聞こえているかは分からないだがやると言ったからにはやる術式の開示という訳では無いが味方への宣誓で気合を入れる。
全力の呪力強化、ここで全てを使い切ると言わんばかりに全身に呪力を込める。
そして、夏油の攻撃に合わせるようにしながら前に出て蹴りを腹に叩き込む。確かな手応え。そのままガス欠だが相手の意識を落とさんと顔に狙い定めて拳を入れる。だが眼の前の暴君はしっかりとこの流れを逃さんと更に攻撃を重ねようとする夏油を見据えていた。自分の直感が警鐘を鳴らしている、だがチャンスを逃さないとする夏油をサポートするにも眼前の男を止めるには遅すぎた。
瞬間、薙ぎ払うかのように振るわれた右腕が見えたかと思うと夏油傑は吹き飛んでいた……相手も満身創痍の筈だ。しかしそれ以上のダメージを反撃として呪力も余り、術式も焼き切れていない方を狙い実行した。
残ったのは殆どの呪力を使い切った自分だけだ状況としては最悪に近い。
「ただまぁ……後一撃って所か」
「お互いにだろ?」
「そうだな……だがコッチは一人じゃ無いんでな」
(式神術か?いや増援?だが足音や気配はない……)
「ハッタリか」
即座に看破されるだが……相手に焦りが生まれた現在の自身の状況このままトンズラこくか、仕事を完遂するために死体を回収するか、自分を倒すか。迷いと言うには小さなモノだが確かに……
そのまま迫る、時間を稼げば間違いなく増援は来るそれは相手も察しているだからこそわざとつかず離れずの距離を維持する。悟られない様に祈りながら……そのまま集中力と気合で相手に齧りつきながら。
相手を出口の方に行かせ無い用に動き、わざと攻撃を一度だけ緩慢にした。
(……逃げるか)
あぁそれだ
最早何も残って無い様に感じるが気合いだけは入れて相手に向かって突っ込む、明らかな異常な冷静さの欠ける行動。
最早対処は容易いと言わざる得ない
が留めを繰り出す為に踏み込んだ足場が少しほんの少しだが。グニャリと沈んだ。
確かに領域展開の解除後は術式が焼き切れて術式の行使が困難になる。
しかし、不可能では無い。
漸く残りカスそれ以下の呪力で作り出した隙を絶対に逃すまいと拳を握り。
ただの何の変哲も無い拳をぶつける。
(コレで駄目なら……俺は死ぬ)
その頭に過ぎった考えは叶う事は無かった
天与の暴君VS険悪コンビ 〜終〜