デート事情
(会話文のみ)「あらレーベン、今日はやけに上機嫌じゃない」
「ええー、えへへ、わかるー?」
「今のあなた、すっごいわかりやすく顔緩んでるわよ」
「うん~……ふふ、へへへ……」
「何があったのよ」
「あのねー、これからシャフくんとデートなの! イルミネーション見に行こうって、シャフくんから誘ってくれたんだ~」
「そう。楽しんできなさいよ」
「もちろん!またねソダシちゃん!」
「アカリちゃーん!」
「レーベンちゃん。どうかしたの?」
「こないだ水族館に行ったから、お土産のクッキーを渡そうと思って。タイトルホルダーくんと分けてね」
「お、お気遣いありがとう……。水族館にはシャフリヤールさんと?」
「うん!はぐれたらいけないからってね、手も繋いじゃったんだ……えへ……」
「……ごちそうさま」
「?うん、おいしく食べてね!」
「お兄ちゃん、お願いがあるんだけど……」
「なんだ?」
「髪の毛かわいくしてほしいなーって」
「そんなことか。やってやるからここに座れ」
「やったー!ありがとう!」
「誰かと出かけるのか?崩れにくい髪型のほうがいいよな」
「うん!シャフくんと映画みてくるの」
「……その『シャフくん』てのは」
「シャフリヤールくん」
「友達か?」
「彼氏!」
「ッスー……」
「お兄ちゃん?」
「いや、なんでもない。……うんと可愛くしてやるからな、今度お兄ちゃんにも紹介してくれよなそいつのこと……」
「いいよー!って、え、お兄ちゃん泣いてるの?なんで?」
「目にゴミが入っただけだ」
「あ、シャフリヤール。この前はありがとう」
「何の話だ?」
「アカリさんから、お前らが水族館行ったときのお土産だっていうクッキーもらったんだよ」
「俺からも礼を言おう。ソダシからお前たちが遊園地に行った時のお土産だというフィナンシェをもらったんだ」
「それはレーベンの方に言ってくんねえかな……」
「でもお前から誘っているんだろう」
「今度はプラネタリウムだっけ?」
「ピクニックの計画を立てているという話も聞いたな」
「ああうん、……うん」
「あー、元気出せよ。お前らのデートの詳細が同期全員にほぼ知れ渡ってるくらいでそんな」
「そうだ、毎回デートプランが飽きないように工夫されているのは素直にすごいと思う」
「いや、いいんだ。一切悪気がないのはわかってるし、寧ろいつも満足してくれてるんだなってわかっていいし、幸せそうに話すあいつも可愛いからいいんだ。女子たちに『いつもご苦労様』って言われたのもいい。お兄さんに意味ありげな視線を向けられるのもまあいい。いいんだけどな、いたたまれないっつうか……な……」
「一度話し合ってみるべきだと思うけど」
「……そうだな、今度話してみることにする。ありがとな」
「レーベンちゃん、最近シャフリヤールさんのお話が少なくなったような」
「確かに。上手くいってるの?何かあったんじゃないわよね?」
「ええ?あー、そのことなんだけどね……えっと」
「言いにくいことだったりはしない?」
「その、『恋人同士のことはふたりだけの秘密にしよう』って言われたから……だから、みんなにはあんまり話さないようにしてて……」
「そういうこと。心配して損したわ」
「聞いてるこっちが恥ずかしくなりそうね」
「だから、上手くはいってるの。心配とかは全然ないよ!」
「あーうん。お幸せにね」
「えへへ……うん!」