大司教達による信仰のススメ

大司教達による信仰のススメ


シヴァの神妃の場合

インド・カトマンズに存在する寺院、パシュパティナート。

シヴァが滞在した地とされるここで、淫らな宴が開かれていた。


「ぉおおお゛ッ♥♥♥ 立香さんの男根(リンガ)イイッ♥♥♥ バックでゴリゴリしてくるゥッ♥♥♥ 牛さんセックスすきぃっ♥♥♥」

「当女神の騎乗スキルはっ♥ いかがでしょう立香っ♥ …そ、そんなに良いのですか? …良かった♥」

「女神(われ)の手淫はどうだ? 心地良いかっ? 2対目以降の手は、この依代の手そのものではないのだが…♥ …そんなことお構いなしに、女神(われ)の肌を分身してまで染め上げて……やはり汝は愛い夫だ♥」


神聖な雰囲気を纏う黒髪の少年……藤丸立香が十人以上に分身し、全裸の美女三人を犯している。

彼女達の名は、パールヴァティー・ドゥルガー・カーリー。FCS教の大司教にしてシヴァの神妃。そして、数多の神話を支配し新たなる主神となった立香、その妻達のうち三人である。


───


年に12回催されるシヴァラートリー、その内最も神聖な日(2〜3月)に執り行われるのがこのマハー・シヴァラートリーである。

この日取りにマハー・シヴァラートリーが催されることについては諸説あり、シヴァがパールヴァティーと結婚した日だったり、シヴァとシャクティの習合を物語る行事だったりと様々な説が語られている。

ヒンドゥー教徒にとって最も神聖な夜であるこの日、教徒達は断食(もしくは果物のみ食すパラーハーラ)をし、日通しで修行に励む。

そんな静寂の中で、立香はパールヴァティー達とのセックスに勤しんでいる。理由は勿論、FCS教の布教である。

『偉大な存在に己を捧げたい』、そんな心理を持つ雌のみが無効化できる認識阻害の結界。それによってFCS教徒として将来有望な者のみを改宗させ、引き込んでいく。ある意味神らしい秘め事のような布教だが、パールヴァティー達は甚だ不満だった。


「本来なら、立香は「彼こそが新たなシヴァ」と喧伝されるべき存在。このようにコソコソするのは立香の権威に関わる」


とすら考えていたからだ。そんな三人を諌めたのは、(やはりというべきかなんというか)立香だった。


「FCS教がいきなり世界中に手を伸ばせば、魔術協会や聖堂教会をはじめとした他勢力を確実に敵に回す。女性権力者を通じてそう遠からず支配される者達の集まりとはいえ、FCS教黎明期の今彼らと事を構えるのはまずい」


そんな立香の言葉が怒れるパールヴァティー達を抑え、そして現状に繋がるという訳だ。


(…この地道な布教が次に繋がるんだなあ。楽しみだ)


…祭り上げられた当初こそ困惑していた立香だが、今ではこの通り。立香は己の立場を完全に受け入れていた。


「ほォ、ォオ゛オ゛♥ 先輩大好き♥ 立香先輩大大大好きぃぃ♥♥♥」

「んっ♥ は、ぁんっ♥ 押し倒されるのも、好き…♥ …え? 戦っている時、みたい? 私が大きな胸を揺らして戦うのが好きっ? …ふふっ…♥ おかしな人ですね、あなたはっ♥」

「あっ…♥ はっ♥ よりにもよって、女神(われ)を組み敷いて、女神(われ)の上で踊るような真似をするとは…♥ …素晴らしい…♥♥♥」


自分達を寝取った男に組み敷かれ、無様に乱れる三柱の女神。その全身には、キスマークや甘噛みによる歯型が無数についている。全て立香によるものだった。

そんな彼らの元に、ふらふらと近寄る人影が数人程。…当然ながら、全員女性だ。

夫の絶頂で一息つく機会を得たパールヴァティーは、舌なめずりと共に彼女らを迎え入れた。


───


カレン・E・藤丸の場合

FCS教の大司教には、銀の髪を伸ばし金の瞳を嗜虐的に細める、現実離れした儚ささえ感じさせる美少女がいる。

彼女の名はカレン・E・藤丸。美しい唇から軽やかに飛び出す罵倒と皮肉の嵐は、彼女の外見に惹き寄せられた男達の悉くを扱き下ろした。

しかし、そんな彼女が唯一頬を緩ませ、柔らかな言葉と笑顔を向ける存在がいる。

───FCS教の信仰対象たる藤丸立香。カレンが“真なるエロース”として崇める、彼女のマスターである。

そうなったきっかけは至極単純。立香を手玉に取ろうとしたカレン・C・オルテンシアが、逆に手玉に取られた。それだけだ。一夜を共にしたことで鋼の信仰はぐずぐずに融け、それを立香に打ち直されたことでカレンは生まれ変わったのだ。

…このカレンは、“偽りの四日間”を経験したカレンではない(そもそもあのカレンは本体ではないが)。それ故、別の男に想いを寄せる余地がない精神的生娘のまま、あっさりと立香に絡め取られてしまったのだ。


「真なるエロースたる立香に意見できるのは、カオスだけだと心得なさい。…まあ、時空の隙間を開く気はさらさらないのですが。地球側から見れば、あれはただの略奪システム。そんな低俗かつ野蛮なものに意見させるつもりはありませんので」

「立香こそ、この世の雌を支配する権利を持つ唯一の存在。全ての雌は立香に平伏することで救われるのです」


主に対する信仰の強さが、そのままそっくり立香に対する信仰の強さとなった。これらのセリフはその表れだ。

そうして立香を崇め、彼から寵愛を受ける度、カレンは心身の昂りを感じた。

愛神の依代となって得た健康な身体、立香に教わったエロースの素晴らしさ……そして、立香に対する強烈な愛。それらはきっと、立香との縁が無くばうたかたの夢にすらならなかったものだ。だから、それを現実のものとしてくれた立香には感謝してもしきれない。

…この幸せを、遍く雌に分け与えなければ。そう思った時、カレンは新たな使命を見つけた。


───


人理修復後、都内某所の集会場にカレンはいた。

今日はFCS教の新規入信者に向けた説明会の日だ。


(…名簿通り、負け犬の偽オスがちらほら紛れ込んでるわね。奪い返した雌をまた奪いに来たか、それともマスコミや他の組織が何か嗅ぎつけてきたか。…少なくとも、負けを素直に認めて屈服という線はないでしょうね)


まあ良いでしょう、とカレンは思考を打ち切った。

…数多の神話を征服し、数多の上位存在をモノにしてきた立香は、今やサーヴァントの力を借りずとも戦える。つまり立香は、小手先の暗殺など歯牙にもかけない存在となっているのだ。

また、立香の周囲には常に信者が潜伏し目を光らせている。今回は大きめの集会場をカバーするべく、クロエや巴御前などアーチャーのサーヴァントも多数動員した。

そしてそれらがなくとも、立香にはカーマという切り札がついているのだ。雄気取りの下等生物の数十人程度、立香が出るまでもなく捻り潰せる。

…今はこの説明会を成功させる方が重要だ。ゴミの処分方法の思案など、その後で良いだろう。


「───ここにおわすお方は、FCS教の信仰対象たる藤丸立香様。この世とあの世の全てを永遠に支配する真なるエロースであり、唯一絶対のお方です」


壇上に立ち、高らかに宣言するカレン。その視線を向けた先にいるのは、もちろん立香だ。全裸で、その雄々しい身体を惜しげもなく晒している。


「これからあなた達には…」


カレンが不自然に言葉を切り、突然光に包まれる。一体何だと会場がざわめくのをよそに、カレンがそれまでと異なる姿で光の中から現れた。

「彼の行うこの世で最も素晴らしいセックスを目撃してもらうわ♪」


───現れたのは、カーマやカーリーの青いそれとは違う、赤紫の肌を持つ少女。デビルカレンだ。

悪魔のような角に加え、どぎついハイレグ衣装と肌色を持つその姿は悪魔そのもの。そんなデビルカレンのする布教活動は、まさに邪教のそれだろう。

しかし、立香もデビルカレンもそんな外面は気にしていない。この集会場に集う程の有望株に、何かを取り繕う必要などはないからだ。


「じゃ、やろうかカレン」

「ぁっ♥」


立香がデビルカレンに抱きつき、右手で左胸を揉み、左手をハイレグの中に潜り込ませた。


「あぁんっ♥ 旦那様ぁ♥ 前戯はもういいから早くセックスしましょ? こいつらに旦那様の威光がいかに素晴らしいか、しぃっかり見せつけてやりましょう♥♥♥」


媚びっ媚びの猫なで声をマイクに乗せたデビルカレンが、机に突っ伏して立香に尻を突き出した。立香はそれを見るやいなや、遠慮なくデビルカレンに覆い被さった。


「あぁっ♥ そこっ♥ そこスゴくいいの立香ぁ♥ これがっ♥ 本当の愛っ♥ 真なるエロースが与える至高の愛なのぉっ♥♥♥」


机が邪魔で見え辛いが、立香とデビルカレンがセックスしていることは誰の目からも明らかだ。その証拠に、机がガタガタと揺れている。


「すごい…」

「あれが、本当のセックスなの…?」


集会場に集まった人々は、食い入るようにそれを見つめている。圧倒されているのだ、真の雄とそれに屈服した雌のセックスに。

…いつしか、デビルカレンの衣服は消えていた。それが霊衣であることを利用して、デビルカレンが手ずから消したのだ。隠すものがなくなった赤紫の肌で、玉の汗がきらめく。


「ぁっ…♥ そういえ、ばぁ♥ この集会って雄もどきもっ♥ ちらほら参加してるみたい、だけどぉ♥ …ふふ、どぉ? 彼こそが、本当の雄なのよ? 分かったらFCS教の教義に従って、さっさとその粗末な汚物去勢しなさいっ♥ 真の男性は旦那様のみ、それ以外の劣等遺伝子は全て根絶やし……それこそが世界の真理なのよっ♥♥♥ まあ、最期に旦那様とわたしのセックスで劣等遺伝子空っぽになるまでオナニーするくらいはっ♥ 許してあげるわよ、ォッ♥♥♥」


雄もどきを存在否定レベルで罵倒するデビルカレン。その言葉の端々にこれまで以上の喘ぎ声が混ざるということは、限界が近いのだろう。

立香もそれは同様のようだった。デビルカレンの上に覆い被さり、ピストンのペースをさらに速める。


「人にして神、星にして宇宙たる旦那様に忠誠を誓いなさいっ♥ それができぬゴミは、裁定者として私が裁くわっ♥♥♥ ぁあっ♥♥ イぐぅう♥♥♥♥♥」


立香がぺニスを突き刺し射精を行うのと同時に、デビルカレンも絶頂を迎える。───その場にいる者達は、その光景に神を見た。


「あ、は…♥ ぁっ…♥ はぁ…♥ …FCS教内において、他の雌を入信させるなどの功績を上げた雌は……旦那様に、身体を捧げる栄誉が与えられます…♥♥♥」


息も絶え絶えでへたりこんだカレンが、元の姿に戻りながら伝えるべきことを伝える。まあ、最終的には立香の好みが物を言うので必ずしもカレンの言葉通りになる訳ではないのだが。


「それでは…♥ これにて、説明会午前の部を終わります…♥ …立香とFCS教に、栄光を…♥♥♥」


立香にお姫様抱っこされて退場する、ザーメンまみれのカレンの言葉と共に、説明会午前の部は終了した。


───


おまけ:藤丸華甘の場合

FCS教の名誉大司教、カーマ改め藤丸華甘はこう語る。


「私としては、立香は立香であってシヴァやらエロースやらじゃないんですけどねー。まあ、私も立香に愛してもらって救われた側ですし? FCS教を否定するつもりはありません」


しかし華甘は、FCS教を積極的に肯定もしていない。第六天魔王マーラの観点から見れば、FCS教は存在そのものがこれ以上ない程の堕落なはずなのに、である。

…カーマは、多くの世界で藤丸立香に惹かれる運命にある。それはある種の狂気なくば健全な関係で終わる、パールヴァティー達とは全く違う在り方だ。

───クロエ然りカーマ然り、元から立香に一途な女は、惑わされるまでもなく立香を愛しているということだ。

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