夢中
「…はぁ、はっ、はっ…」
どれくらい時間が経っただろう。
全身が靄に包まれたようで、思考がまともに働かない。
ぐしゃぐしゃになったシーツも、汗でべったり肌に張り付いた髪も、
全部どうでも良いぐらい頭が熱に侵されて、
どこか遠くの世界のことのように自分がいる。
響く水音を恥ずかしく感じる余裕はとっくに無くなっていて、
ただ夢中で相手を求めていた。
離れて、近づいて。離れて、近づいて。
「ん、んっ…」
体が跳ねる度に、知らない甘い声が喉から漏れる。
絡め合っている指に周期的に力が籠められ、荒い息遣いがシンクロする。
身体を貪られる悦びに、相手の身体を支配しているかのような愛の密度に、
心から身体までどっぷりと陶酔していた。
触られている場所が、まるで焼き付けられているように熱を発し、
逞しい腕で抑えられた身体は逃れることもままならない。
けれど、それが嫌ではない。
むしろ…
私は、おかしくなってしまったのだろうか?
おかしくなっても、いいや。
ぐちゃぐちゃ。
「ふ、ふーっ」
ぐちゃぐちゃ。
「はぁ、はぁっ、」
ぐちゃぐちゃ。
「あっ、あっ…」
もっと、もっと…
衝撃でチカチカする視線が、時折ルフィの野性的なそれと交錯する。
「…っ、…、」
どろどろの混濁の中でも、ルフィも必死なのが見て取れた。
それに満足感を感じていられたのは一瞬のことで、
次から次へと押し寄せる熱の波に押し流されてそれどころじゃっ…
「ふっ、くっ、んん…っ」
背中をなぞられると甘い電流が脊髄から脳へ流れ込み、
気持ち良さと愛しさで胸がいっぱいになる。
何をされても、狂った肌の感覚がそれを快楽に変換してしまい、
手のひらが勝手にシーツを強く掴む。
「はぁ、ひゅっ、ん、」
溢れた自らの嬌声が絶え間なく耳に入り込み、
全身が狂ったように熱情を浴び続けているのが分かってしまう。
唇と唇を押し付けると、自然に互いの舌が絡む。
咥内が火傷するほど熱い。
「…っ、ん…」
初めの方に交わしたものよりもずっと長い咬合の中で、
混ざり合った唾液がふやけた口元から垂れた。
今、どんな顔をしてしまっているのだろうか。
ヒートアップする欲が意識を責め立てる中、ぼんやりそんなことを考える。
「あっ、あっ、んにゃっ、は…」
ほしい。ほしい。ほしい。ほしい。ほしい。ほしい。ほしい。ほしい。ほしい。
思考が一色に染め上げられる。バカになったみたいだ。
でもそんな感情にルフィは応えてくれて。
腕で、脚で、心で捕えて離さない。
激しい鼓動も、どっちがどっちのか分からなくなるくらい密着して。
この情愛のやり取りに沈んで、溺れて、どこまでもどこまでも…
ぐちゃぐちゃ。
「ルフィっ、ルフィ、ルフィ…!」
ぐちゃぐちゃ。
「ウタ、ウタ、ウタ…!」
ぐちゃぐちゃ。
「んっ…あっ」
どくどく、どくどく。
「はっ、はっ、は…」
お腹が熱い。