夜更けまで拘束されていた兄ちゃの単発ss

夜更けまで拘束されていた兄ちゃの単発ss

四スレ目 147氏より 


 図鑑で見た蝶の標本に自分を重ね合わせる。

 現在進行形でそんなことをしている子供が全国に何人いるだろう。

 少なくともここには1人いた。


 「……やっと寝たか」


 散々に鳴かされて掠れた喉で呟き、冴は両腕をベッドの柵に縛り付けられた体勢のまま疲労の滲む溜息を吐いた。

 横目に見れば、傍らには出すものを人の中に出しきってスッキリとした顔で眠る名前を呼ぶのも忌々しい男。

 ほんの数分前まで、この身は何時間もかけて隣の男に蹂躙されていたばかりだ。

 今の冴の服装は巨大な1匹の蝶々を磔にしたようなデザインの正絹の振袖。これを纏わされて手を広げる形で拘束された挙句、綺麗な蝶々だの僕のピンで串刺しにしてあげるだのと気色の悪い妄言を浴びせられながら凌辱された。

 後始末もせず寝落ちされたせいで手首に結ばれた縄はそのままだし、何度も何度も体を揺さぶられたせいで擦過傷になりそこからは血が流れている。

 もちろん例によって腰も痛いし尻も痛いし、というか全身に痛くない所のほうが少ないくらいな最悪の有様だ。つまりいつも通りだ。


 「早く抜け出して戻らないと、また凛が夜中にトイレに行きたがってるかもしれねぇ……」


 時刻は夜中とも早朝ともとれる4時。まだ小学校低学年の弟が起きている確率は低いが、稀に尿意で目覚めては冴を起こしてトイレについて来て欲しがる時もある。

 前はたまたまそんな日に男の部屋から帰るのが遅くなってしまって、汚いことなんて何も知らない凛に真実を察せられぬよう誤魔化すのに苦労した。

 上手く行ったからといって何度も同じ言い訳が効くとも限らないのだし、そもそも兄がこっそりベッドから毎晩のように抜け出していることなど悟られぬようにせねば。

 ましてや保護者の男に股を開いているなんて絶対に弟には教えたくない。凛だけはこのまま綺麗に育って、両親が目覚めるその日まで笑って過ごすんだ。

 そのためなら、生まれて初めて知った嫌なことの何もかもを我慢できる。男の私室以外では彼のことを真っ当な保護者と慕うフリをする茶番劇にも慣れてみせよう。


 「血で、滑らせれば、なんとか……ッ」


 傷口がズキズキと熱を訴えるのも無視して、さらに出血を促すべく手首の負傷した部分を荒縄に擦り付ける。

 季節は夏だが、また日焼けを気にする令嬢ぶって長袖のインナーを着込むはめになりそうだ。

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