地下牢のマグニフィコ王 エピローグ
王様のファンです一応「ハァッ…あ、アァッま、またイク…!」
「ははははっ!そらイッちまえよ王様!」
仰向けにされ、さらに尻を高く持ち上げられながら数日前までのこの城の王ーーーマグニフィコが杭を打たれるように男に犯されていた
「アぁッ…!」
先端から放たれた白濁液が自らの顔に降りかかり凌辱されてもなお美しい顔を汚す
「う…うう、あ…気持ちイイ…」
「アハハ!もっと欲しいか?」
「はい…もっと、もっと犯して…」
どうやら彼が完全に堕ちたことに満足してニヤニヤ笑いながら、周りの男達も順番を待ちながら酒を飲んでいた
ーーーーーアーシャ、これがお前の言う“良い人”なのか?
マグニフィコ王は口では凌辱を懇願しながらも、冷静に考えを巡らせていた
幼い頃“仕事”をしていた時、口と体では客に媚びながら頭では別の事を考える事は得意だった
“良い人”?それはそうだ、私が悪意も“願い”として徴収していたのだから
“誰かのものが欲しい”
“あいつを殴りたい”
“女を犯したい”
“人を殺したい”
そういった願い、というよりはヒトが生きている限り産み出すドス黒い欲望であったが、彼は受け入れ、保管し、そして忘却という薬を与えた
しかし、せっかく保管していたその願いはそれぞれの持ち主の元に戻ってしまった
忌まわしきあの星と、扇動者アーシャ嬢によって
彼が蹂躙されているのも“誰かを傷つけたい”という願いがその持ち主に返されたからだ
でなければ、重大な犯罪も犯していない彼らがこのような凄惨な凌辱をするはずがない
特に美しいだけでなく、たった数日前まで王国に君臨し絶対的な力で国を治めていたマグニフィコの、その堕ちた姿は男達の欲望をさらに誘った
びゅくびゅくと、また彼の尻の奥に欲望が注がれる 腹の奥に染み渡る生温かい感触に、彼はまた達した
「あ…気持ちいい…」
「おい、出したなら代われよ、明日は女王様の戴冠式のお祭りなんだ、早く終わらせて寝よーぜ」
「ああ、そうだったな悪い悪い」
また男が彼の口元に性器を押し付けたその包皮に溜まった恥垢を器用に舐めとる感覚に、男はうっとりする
「なぁ、一通り遊び終わったら、こいつどうする?」
「王妃、いや女王様は死んでも生きてても構わないって言ってたからなぁ」
「顔!顔を火箸で焼こうぜこの男前にはいつもムカついてたんだよ」
「縛り上げて、ムチでどこまで耐えられるか叩こうぜ、どのくらいで気絶するかな」
「いや、この綺麗な指、少しずつ切っていこうぜ」
えずくような性器の味を我慢しながら自分を犯している男達が誰なのかマグニフィコは記憶をたどった
ああ、覚えている。他の国では生きていられずにロサスに流れてきた者だ
差別されてきた少数民族、いきなり住んでいた土地を奪われた者、他とは違う考え方を持つ者、生まれつき病を持つ者他国では容赦なく排斥されるはずほ彼らにもマグニフィコは丈夫な住まいを与え、溢れんばかりの食糧を与え、清潔な衣服を与えた
しかし弱者であった筈の彼らはいつしか際限なく欲を肥大させていく罪人となっていった
それでも、王はその欲望を調子するだけで彼らを追放することはなかった
だがもう王は力と権力を失い、マグニフィコ以外は気付いていないかもしれないが国民の欲望は制御を失いつつある
最早ロサスに未来はないだろう
王を失うタイミングを虎視眈々と狙っていた他国にとってロサスは垂涎の的となるはずだ、侵略は時間の問題である
それに、欲望を我慢できなくなった国民はどうなるのか?互いに食い合うか、はたまた他の国の民を蹂躙しに行くか
正直、マグニフィコはもう自分の命は興味は無かったーーーーーもし魔法の力が戻っても彼らを救うことはないだろう
彼はもう、全てに疲れ果てていた
もうロサスにもどこにも、居たく無い
しかし、それでも、やらなければならないことがあるこの罪人達を、どうにかしなければーーーーー
口では男根を頬張りつつ、裏筋を器用に舐めながら彼は次に目が醒めた時の、己がやるべきことを考えた
そして自分の後孔に突っ込んできた男の激しい突きに身を委ねながら、目を閉じた
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翌朝東の空が白み始めた頃、マグニフィコは目を覚ました
地下牢は相変わらず光も射さない暗闇のままだった が、あれから何時のまにか気を失ってしまったのか冷たい石の床に裸のまま彼は無造作に転がされていた
無理に押さえつけられていた手や足は軋みを上げ、のろのろと体を起こすと、腫れたがった菊座から水のようになった白濁汁が溢れ、太腿を伝う
マグニフィコはそのまま牢の隅に放られたままの簡素な服を手に取り、全身につけられた男達の歯形を隠すようにして袖を通した
今が朝なのか、まだ夜なのかはわからない
牢の外を見ると不寝の番のはずの衛兵がグウグウと寝息を立てて眠っている
禁書で自分の魔力を暴走させてしまってから魔力が使えない状態が続いていたが、 目を閉じ、意識を集中するとマグニフィコの手が淡く青く発光した
ーーーーーいける、
そのまま牢の鍵に手をかざすと何の苦もなく解錠された首輪にも手を伸ばすと何も苦もなく鉄の輪は外れた
ギィ、と牢の扉が錆びた音を立ててもまだ衛兵は目を醒まさない
呆れたものだ、とマグニフィコは他人の事ながら思った
無理もない、他国からの脅威も蛮族の侵入も王が全て払ってきた国の兵士にとって訓練というものは、あっても形ばかりであった
衛兵の足元には既に火が消えてしまったランプがあったがマグニフィコはそれを手にとり、一瞬躊躇した後、何の迷いもなく衛兵の頭に振り下ろした
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「ねぇ、アーシャ、そこの砂糖を取ってくれない?そう、その右から二番目の壺よ」
「はい、ダリア」
城の厨房、焼き釜の前でアーシャとダリアは慌ただしく働いていた
そして作業している彼女達の頭上をスターが興味深そうにクルクルと回っている
「間に合うといいんだけど」
「まだ朝も早いじゃない、大丈夫」
彼女達は戴冠式の祭りで配られるクッキーを焼いていた
ダリアが小麦粉と砂糖、そしてバターを混ぜ、アーシャが星形の形に生地をくりぬく
「ねえ」アーシャが徐に口を開いた
「何?もう釜ならそろそろ焼き初めても良いくらいの温度だけど」
「そうじゃなくて、王様のことなんだけどさ、これからどうするのかしら」
「別にどうでも良いじゃない、とりあえず地下牢に入れておくって王妃さ…女王様が言ってたけど」
ダリアがそっけなく答えた
「うん…でも、サイモンとかに聞いても“見に行かない方がいい”って言うだけだし…気になって」
「じゃあ大人しくしている訳じゃないんでしょ?危ないから行っちゃだめよ?」
「うん…だけど…」
アーシャがまた言葉を繋ごうとしたその時、けたたましい足音を立てて衛兵の一人が飛び込んできた
「アーシャさん大変です!」
「どうしたの?こんな朝に」
「マグニフィコが地下牢から逃げ出しました!」
少女達は青ざめた
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一段、また一段と震える足を引き摺るのようにしてマグニフィコは城の外階段を登っていた 少しでも滑らせたらそのまま彼は地面に叩きつけられるだろうしかし どんなに呑気でも交代の衛兵が気づくのは時間の問題だ、そうなる前にあの場所に辿り着かなくては
すると、遠くから朝の風に乗って誰のか笑い声が聞こえてきた
城の前の広場からだ
魔力を僅かに耳に作動させて声を拾う、どうやら昨晩男達が言っていた通り皆戴冠式の祭りの準備に朝から精を出しているようであった
「やれやれようやくあの役立たずが玉座から降りてくれた」
「ハンサムなだけでろくな王じゃなかったね!」
「願いを叶えるとか嘘っぱちだったじゃない」
「これからはアーシャが好きなだけ願いを叶えてくれる、楽しみだ!」
ーーー嗚呼
やっぱり、あの日からずっと私は一人ぼっちだったんだな
彼は薄く微笑むと、また上へ上へと登る
己の、王としての最後の責任を果たすために
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「そっちは!?」
「いえ、いません!」
突然の報せに城は騒然となっていた
「クソッ戴冠式の前の忙しい時に!」
「スター、わかる?」
アーシャはスターに尋ねるが、不思議そうな顔をして首を傾げるだけである
「…!そうだ!天文台かも!」
そこはかつてマグニフィコが国民の願いを保管していた場所であった
もし彼が何か向かうとすればそちらだろう彼女の言葉に衛兵達は頷き、走っていった
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重く、鈍く痛む体を引き摺りながらマグニフィコは漸く天文台に辿り着いた
壁にかけられたタペストリーまであと少し、あそこに行かなければ、 「アレ」を作動させなくては
「いたぞ!」
背後から男達の声が聞こえた
ガチャガチャと鎧や槍の音が聞こえる
思わず舌打ちをしたがタペストリーまであと少し、ようやくマグニフィコがタペストリーに手を掛けようとしたその時
「ガッ…!」
風を切る音と共に矢が放たれ、彼の背に突き刺さった
手に引っ掛けられたタペストリーが壁から剥がれ落ちる
「お、おい何勝手に打って」
「うるせえな!どうせ王妃様が王になればこいつは首をはねられるんだ!ここで始末しとかないと面倒だ!」
「待って…!」
アーシャが興奮した衛兵達を抑える
「ハァ…ハァ…」
矢は肺を傷つけ、胸の血管を切り裂いた息をする度に激痛が走る、口から零れた血がみるみるタペストリーに滲んでいく
「王様…大丈夫?」
最後に会ってからマグニフィコは変わり果てていた綺麗に整えられていた髪は乱れ、顔にと襤褸を纏った体にはあちこち痣があった
かつての立派な姿は見る影もない
何が、誰が彼をこうしたのかは彼女には分からなかったがとにかく危険な状態なのは明らかだった
「スター、治せるかしら」
スターが頷いてマグニフィコの元に寄ろうとしたが彼は首を横に降って拒絶した
「…!王様…?」
彼女の父は哲学者であった、彼が生きていた時には良い国とは何なのか激論を交わしたものだった
残念ながら彼は魔法でも治せぬ病で早世してしまったが、だからこそ彼の娘であるアーシャにこの国を託したかった
もっと彼女の事を理解りたかった、そして自分のことも理解って欲しがった
でもそれは最初から無理だったのだ
彼女は何も知らない
家族と故郷を突然奪われる悲しみも、残飯や虫を口にしなければいけない餓えも、生きるために体を売る屈辱と苦痛もーーーーー何も知らない
全く違う境遇の彼らが同じ志を持つことなど、所詮無理だったのだ
今、それをやっと理解した
「(すまない、貴方の娘を守ることはできなかった)」
アーシャにはわからないだろう、マグニフィコが深い傷を負っているにも関わらず微笑んでいる理由と、声も立てずに流す涙の意味も
そしてこの状況にも関わらず彼女の相棒の流れ星が何も動かない訳も
「スター…、お前の目的は…私なのだろう…?」
「スター?」
アーシャはスターに問いかけるが、無表情のまま何も反応せずアーシャの頭上に浮かんでいるだけだった
「…この国は…私の魔法の力で成り立っている…だからこそ外の国には無い程の富も、技術も、ある…そう…本来であればあってはいけない程に…」
「な、何を言ってるの王様…それより、傷の手当て、を」
「そう…1つの国の人の願いを…たった一人の掌に持っておくことなど…おこがましいことだよな…アーシャ…」
「そ、そうよ、わかってくれたのね、王様」
アーシャはその言葉に少し安心したが、同時に何か底冷えするような不安を感じた
「でも…私は…神の真似事をしてでも…禁忌に手を出そうとも…みんなに…みんなに幸せになって欲しかった…それだけは…本当だ…」
そこまで言うと、彼はタペストリーに倒れ付した
その裏には、魔方陣が仕込まれている
ーーーーー万が一、国が他国に侵略された時の最終手段、ロサスの魔法も、技術も、外に渡さないよう、外の国で更に多くの人々の命を脅かさないようにするための最終手段、今となっては欲望を肥大させたロサスの民を逃がさないためのものになってしまったがーーーーーまさか自分が生きている間に使うとは夢にも思わなかったーーーーーいや、違う、この国は全て彼の見ていた夢だったのだ、そしてその夢ももうすぐ終わる
「さようなら」
そのままマグニフィコがタペストリーに手を当てると、青く魔力光が溢れだし、魔方陣が浮かんだ
「スター!」思わず叫ぶがもう遅い
「父さん、母さん…今…行く…」
マグニフィコは目を閉じた
次の瞬間、アーシャと衛兵達ごと天文台は、いや城は一瞬にして青い焔に飲み込まれた
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ロサス王国がたった1日にして壊滅したという知らせは周辺各国を駆け巡った
特にマグニフィコが失脚した後女王に就任するはずだったはずのアマヤ王妃の出身である隣国は直ちに先遣隊を送ったが、遠くからでもロサスの城も含めて人の居住区は全て青い焔が燃え広がっており、生存者の存在は絶望的であった
やがて一週間ほどかけて焔は鎮火していったが、城も家も畑も焼きつくされ、かつて人が生活していた痕跡は認めなったが、何故か人の手が及んでいない森だけは残っていた
ーーーーードラゴンの襲撃か、それとも神話のように神の怒りの火の豪雨かーーーーー
国が一晩にして謎の滅亡を遂げたという噂は、暫く人々を騒がせたがそれも忘れ去られ、やがて長い長い年月の後、ロサスのあった土地には新たに人が住み、その土地の古い伝説になっていった
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ここはロサス、貴方の願いが叶う国
どこまでも優しい少年が夢見た、おとぎ話のような魔法の国
少年の夢の終わりとともに消え失せた、今はもうない楽園の国
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ここまでありがとうございました
何で爆発オチにしたんだよ!→研究者にとって自分の技術が悪意のある連中に流用される程恐ろしいものはないのでリスクマネジメント完璧のマグニフィコが準備してないわけないなーって…
FGO六章の妖精國の最後が一番悲しくも美しいと感じたので正直ロサスは自分の中ではこう終わるべきだと感じました
許されよ、許されよ、ロサスの民の罪を…許さねーよ!