國雪(國神時点)

國雪(國神時点)


お題が出されてすぐ、彼はモデルと言う立場上そうゆう事には慣れていると教えてくれた。だから安心してと笑っていたが出来るはずもない。本当はこんな事教えたくなかっただろう。自分のせいで嫌な事を思い出させてしまった。だからせめて、少しでも苦痛を減らさなくては。早く終わらせたいと言う気持ちも分かるがここは譲れない。少し口論になってしまったがなんとか納得させる事ができた。

ムカつくほどに設備が整った部屋で準備をする。しっかり手を洗ってローションを指に垂らす。そして様子を伺いながら周りをほぐしていく。あまり見られたくないだろうけど苦しい思いをさせてはいけない。痛がってはいないだろうかと彼の顔を見る。少し眉間に皺を寄せているが落ち着いている。やっぱり慣れているのか。

なるべく早く終わらせようと思い指を挿れる。でも焦らずに、ゆっくり、ちょっとづつ。雪宮の体がビクッと揺れる。申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも何とか人差し指を沈めきる。指を小さく動かしながら中を広げていく。それを続け何とか指を三本挿れる事ができた。流石に苦しいのか雪宮からくぐもった声が漏れる。思わず痛いのか聞くと何でもないように平気だと言われてしまった。

そろそろ大丈夫、いやでも、何回かしたとはいえまだよく分からない。不安になり、経験のある彼に聞いてしまう。すると雪宮はこちらを少し見つめたあと黙りこくってしまった。何か嫌がる事をしてしまったのか。傷つけた?

俺まで固まってしまうと、雪宮は自分は慣れているからと安心させるように笑った。いや、笑っているつもりなのだろう。確かに口角は上がっているのだが顔色が悪く目の奥には不安と恐怖が宿っていた。明らかに無理をしている。俺を安心させる為に。

そう気付いた瞬間自分がやらなくてはと言う気持ちが湧き上がってきた。きっと経験があると言うのは嘘だろう。俺のために無理をしてくれていたんだ。

雪宮とは同じドイツチームではあるがあまり関わりは無かった。でも、今分かった。雪宮はとても優しい奴だって。





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