國雪(國神が雪宮の嘘に気付かなかったルート)
(※規約違反にならないようにボカした表現ですが性的な描写が含まれます)
(※このSSのユッキーは演技が上手いです。なにせ気付かれなかったルートなので)
(※またいきなり始まっていきなり終わります)
少し甘やかすような笑いを口の端に浮かべて。清楚とも言える造りの美貌をうっすら桃色に染めながら、どこか淫らで優しげな眼差しをこちらに注ぐ美青年。
雪宮剣優の艶姿を、國神は騎乗位の下側の立場から見上げていた。
雪宮がゆったりとした動きで腰を動かすたび、接合部からはぬぷぬぷと、穴を解すのに使ったローションと國神の雄から分泌された体液とが絡み合い掻き混ぜられる音がする。
それを聞いていると自分が雪宮を陵辱するスライムにでもなったみたいで居た堪れず、何度か息を止めてしまったが。その都度雪宮が「國神くん」と労るように声をかけてくれるから、彼に名前を呼ばれるのに合わせて呼吸をしていた。
「大丈夫。大丈夫だよ。國神くんは悪くないからね。ダメなことしてるんじゃないんだから、息も吸っていいんだよ。声も出していいからね」
「っ……悪い、雪宮……悪い……!」
「ううん。悪くないよ。大丈夫だからね。何も悪いことしてないよ、國神くん。君は大丈夫。大丈夫……」
大丈夫。悪くない。
この二つの言葉は、雪宮から國神に向けてもう何十回も与えられている。
頭の奥からチームメイトを穢している現実への苦しみが迫り来るごとに、投薬みたいにこれらのワードは耳朶へと流し込まれた。
汗で額に張り付いた國神の前髪を雪宮の指先がさらりと払いのけ、そのままぐずる子供をあやす手つきで頬を撫でられる。
快感と罪悪感による涙で滲んだ視界、電灯を背にした薄明りの中に、ユニフォームのボトムスだけを脱いだ雪宮の白い肢体が浮かび上がっていて。
なんだか神聖な物に見えてしまった姿に、どうか赦してくれと縋りつきたい衝動を全身全霊で押さえ込んだ。
許しを乞えば良い。雪宮剣優は簡単に欲しい言葉をくれるだろう。そもそも経験者だと、慣れていると言っていたじゃないか。苦しそうな顔だってしていない。
黙れ。いくら事務所に枕営業を強いられた経験があったって、こんな衆人環視の状況でチームメイトに跨って腰を振って平気なものか。恥知らずなことを考えるな。
頭の中で悪魔と天使が言い争いを始める。
己の胸中に湧き上がる声を受け、悪魔のほうを痛みで追い出そうと國神は唇を激しく噛み締めた。
また自罰的な行動に出たと解釈されたのか、雪宮の手が國神の口元に移動してふにふにと下唇を揉む。
「そんなに強く噛んじゃ血が出るよ。……ほら、あーんして」
「あっ…………!」
発言と同時に雪宮のナカの自身を柔らかく締め付けられ、耐えようとする暇も無く小さな嬌声を上げてしまった。
拍子に口内へ差し込まれたのは雪宮の指先だ。おしゃぶりみたいに人差し指を咥えさせられて、もう唇は噛めない。
咄嗟に橙色の双眸と目を合わせると、人から見られることに────見初められることに慣れた麗しい生き物は、モデルの肩書きに相応しい嫣然とした表情で小首を傾げた。
「キスのほうが良かった?」
視線は無意識に唇に釘付けになり、我知らず喉が鳴った。
腹の底が蠢く。煽られたからといって、誘われたからといって、こんな場面ではっきりとした劣情を感じてしまった自分の雄としての本能が今は心底憎い。