固有スキルで無双中
獅子くん俺はヒバリを護るように前に立つ。
すると、男は手に持っていた怪しい液体の入った瓶を上に向かって放り投げた。
投げ出された液はまるで噴水のように瓶から飛び出して、重力が逆転したかのような勢いで空へ飛び出した。
気持ち悪いほどカラフルで毒々しいそれは空中で飛散し、一瞬静止したかと思うと今度はこちらに向かって落ちてきた。
謎の液体が、俺とヒバリに降りかかろうとしている。
こいつ、俺の幼馴染に………!!
「危ない!」
俺は気付けばヒバリを突き飛ばし、自分だけが謎の液体を頭から被っていた。
慌てて自分の腕を確認したが、皮膚や髪の毛に異常はない。
俺『自身』は、なんとか無事だった。
ただ………。
謎の液体を浴びた俺の制服やマフラーや靴やかばんが、ジュワジュワと音を立てて溶けていく。
「これ……布類を溶かすやつなのか?」
民衆の前で丸裸にされてたまるかと必死に抵抗するも、着ていた服が液状になって足元に落ちていくのを止められない。
制服だったものは、色以外の原型を無くして俺から剥がれ落ちていく。
革のベルトはどうやら溶かさないようだが、そこだけ残されても困る。
自分が素っ裸にされるのももちろん恥ずかしいが、それ以上にヒバリがこうなっていたかもしれない可能性が怖い。
覆うものがなくなった自分の股と尻は腕で隠すしかないが、これではあの男にパンチを食らわせることができない。
想い人の前ですっぽんぽんにされるだけで屈辱なのに、よりにもよってこの季節のサッポロでやられるなんて。