【噂の化け物】

【噂の化け物】

Part07 - 66

~W社・休憩室~


俺が休憩室で休憩していると、同僚が話しかけてきた。

「なぁ○○○、最近新人たちの間で流行ってる噂、知ってるか?」

「噂って……Warp列車の中に入ると化け物が出るって話か? 毎年のことじゃねぇか」

俺がそういうとこいつは肩をすくめやれやれとでも言いたげにため息をついた

「いやいや、そういういつものじゃないんだよ、これが。……どうもクレーマーが出るって噂らしいぜ。しかも普通席で」

「はぁ? VIP席の奴等ならともかく普通席で?」

あのいつも血と肉片が飛び散って、化け物がうろつく普通席で?

「バカバカしい……どうせ新人が錯乱して見間違えたんだろ……。俺はそろそろ当番だから行ってくる」

「おう、頑張れよ」


~Warp列車・駅~


他の当番の奴等と合流し、だらだらと喋りながら列車を待つこと数分。

空間に穴が開き、そこから列車が飛び出してくる。

俺達は気を引き締めて列車の中に入ると、信じられない光景が広がっていた。


いつものように血肉は飛び散っているが、化け物どもはうろついておらず。

その辺に死体となって転がっている。まともな状態で生きている奴は誰一人としていない。

──ひどく退屈そうな表情で席に座っている女を除けば

「……今回も長かったな」

俺たちが呆然としていると女は捲し立てるように話す。

「何度も言っているがクッソ暇、列車内に物積めるスペース結構あるし娯楽の本位詰んで欲しい。

いや娯楽あるじゃんって言われても、流石に滅茶苦茶な様子を娯楽にはできないよ俺。これ今回の経過纏めた書類。これ見て反省しろよマジで。最後にもう一回言う、この列車クッソ暇。じゃ、俺は座っているからいつものように復旧作業よろしく」

……どうやら、普通席でクレーマーが出るという噂は本当らしい……

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