喧嘩

喧嘩

匿名

バズビーは怒っています。


「あ、バズ。おかえり…っんガッ!」


バズビーは自室に戻るなり洗面所にアンギティアを見つけ、片手でアンギティアの両手首を一纏めに頭上の壁に押さえつけ、もう片手であごを上に向けて目線を合わせました。


「ちょっと、どうしたの!?」

「おめぇ今日どこ行ってた」

「え?鍛練?してたけど…」

「ナックルヴァールの部屋でか?」

「それは、理由があっt「おめぇ誰にでも股開くのかよ」

「ち、違う!!そういうことは何もないから!!」

「あぁん?俺はおめぇのことしか好きじゃねぇのに、おめぇは違えのかよ」

「だから違うって!!ねぇ話聞いて」

「浮気の言い訳か?」

「なによ…人の話最後まで聞かないで!決めつけないで!」バンッ


アンギティアは話を最後まで聞かないバズビーを押し返し、部屋を出ていき自分の部屋に入りました。


バズビーと同棲状態とはいえ、自分の部屋は与えられています。

めったに戻らなくなった自室に久しぶりに入り、先程の口論を思い出して涙が溢れてきました。


「なによ…私の話最後まで聞かないで浮気って…私浮気なんてそんなひどいことバズにしないもん…ばかぁ…」グスッ

一通り泣いた後は怒りがこみあげます。

「なんなのよバズ!なんで私が怒られなきゃいけないの!?」


一方のバズビーは、この日は頭に血が上って冷静ではなく、部屋でもひどく荒れていました。


「くそっアンギティアに限って…よりによってナックルヴァールの野郎とかよ…なんなんだよ…!」


謝られるまでバズビーの部屋に戻らないと決めたアンギティアはしばらく自室を中心に生活することを決めました。

銀架城内でもバズビーを避けますが、避けているからか全く顔を合わせずに三日間過ごしました。


そんな中、現世の小さい村を制圧する特務部隊が今朝出発したとバズビーは耳にしました。

それはまだ聖兵であるアンギティアも治療班として同行することとなっていたもので、簡単な任務のため聖兵のみで構成されていました。

そこに抜擢されたことにアンギティアはとても喜んでいたのを思い出します。

影の領域圏外での活動になるため、任務自体は数時間もかからないものでした。

朝出発してからお昼になる前にもう帰ってきたようで、廊下が騒がしくなったのがバズビーの自室にも聞こえてきました。


「大変だ!」

「そっちは大丈夫か!?」

「今アンギティアが…」

「アンギティアは平気なのかよ!?」


モブ聖兵の騒がしい声が、歓喜や任務完了の安堵ではなく不安や心配の声であり、さらにはっきりとアンギティアという単語が聞こえてきました。

その瞬間バズビーは廊下に飛び出します。

「おい、アンギティアがどうしたんだよ!?」

「バズビーさん!?アンギティアが…治療が必要になってしまって…今治療室で…」

ちゃんと文章になっていない慌てようの聖兵の言葉から推測するに、アンギティアは今治療室で治療を受けているようでした。


(あいつヘマしやがったな!?)

走って治療室に向かいます。


治療室のドアが開いていたので中をのぞくと、忙しなく他の聖兵の治療に当たっているらしいアンギティアの姿が見えました。


通りかかった治療専門の滅却師に話しかけます。

「おい、これ何があったんだ?」

「はい、どうやら影の領域圏外での行動に慣れていなかった聖兵が複数倒れたとのことで、今治療に当たっています。でも皆さん意識もしっかりし始めていて、すぐに元気になると思いますよ」

「そうか…」


(なんだ、アンギティアが怪我したんじゃなかったのか。よかった…)


「アンギティアさんは治療班として完璧な応急処置を施してくださいました。おかげでスムーズに治療に取り掛かれました」

アンギティアがバズビーの彼女だと知っている滅却師はアンギティアの話題を話します。

「アンギティアさんは出発前にナックルヴァール様に毒や薬のことを聞いて勉強されていたみたいなので、私共も安心して帰りを待つことができました。

…では、失礼します」


モブ滅却師はバズビーに会釈をし、治療室に入りアンギティアの治療に合流していきました。


ナックルヴァールと一緒にいたのってこういうことかよ…

やっぱり最後まであいつの話聞くべきだったな

あのときの俺は冷静じゃなかった

あいつになんて謝ろうか…


「…バズ?どうしてここにいるの?」



先程の滅却師がアンギティアにバズビーが来ていると伝え、二人が喧嘩中だとは知らずに話す時間を作ってくれたようです。


「お、おう、特務部隊が怪我して帰ってきたって聞いて、何をやらかしたのか見に来てやったんだよ」

「なによそれ…フフッ冷やかし?」


言葉は冷たく言い放つものではなくいつもの冗談を言うような優しい口調でしたが、疲れていてうまく笑うことができていません。


怒っているわけではないと分かり安堵するバズビーですが、満身創痍のアンギティアの体を見て苦しくなります。

口角はうまく上がらず、目はうつろ、そして腕捲りした腕には引っ掻き傷や強い力で掴まれた指の痕が痛々しく浮き出ていました。


「…っそれ、どうしたんだよ?その腕…」

「あ、これは…治療するときに安全な場所に皆を運んだりしたときについた傷。痛くないよ」

「そうか……

アンギティア、この前はその…悪かったな、感情的になって」

「……バズ」

「さっき、お前がなんでナックルヴァールと一緒にいたのか聞いたぜ」

「…そっか…今回の任務ね、同行治療班が私だけだったの。だから、選抜隊に入れたのはすごく嬉しかったんだけど不安で…治療は専門ではなかったから、アスキンに教えてもらってたの」

「あぁ…」

「バズ…誤解されるようなことしちゃって、ちゃんと説明もできなくて怒っちゃって、ごめんね?」

だんだんアンギティアの目に涙が浮かんできます。

「バズと会わない間、すごく寂しかったし、不安もあったのにバズに相談できなかったし…私死んじゃうかと思った」グスッ

「…泣くなよ」

バズビーはアンギティアを抱き締めます。

ここは治療室前の廊下ですよ!



「バズぅ…仲直りしてくれる?」グスグスッ

「あぁ、俺も悪かった…アンギティア、俺の部屋に戻ってきてくれ…」

「…うん!」

「その前にお前も治療してもらえよ」

「え?これは大丈夫だよ。大したことないから」

「俺が嫌なんだよ、他の野郎の痕がお前についてんのは…」

「…そっか、そうだよね…ごめんね、バズ、気づかなくて…」

「俺はお前の全部がほしい。好きだぜ、アンギティア…」

「ん、私も、バズ…愛してる…」

チュックチュッ

「…っはぁ…」


治療室の前ですが深いキスをします。

誰も見ていないようですが…


「はぁ、ちょっと…無理かも…」

「おい!アンギティア!どうしたんだよ!」

アンギティアは疲労と安堵とキスによ酸素不足で目眩を起こしてしまいました。


  「おい!」


遠くでバズビーが叫んでいる声が聞こえますが、アンギティアの意識はそこで途切れました。



ふと気がつくと見慣れた天井がありました。

あ、ここはいつものとこ、バズの部屋だ。眠いなぁ

そんなことを考えながら寝返りを打ちます。

バズビーは同じ部屋にいたので、アンギティアが動いたのに気づきベッドに近づきます。

アンギティアと同じ目線までしゃがみ、話しかけます。

「アンギティア、気がついたか?」

「バズ…?私寝てた?」

「ちょっとだけな。気分はどうだ。辛ぇところはねぇか?」

「大丈夫…でも眠い。あとなんか疲れてて力入んない」

「そうか。お前ぶっ倒れたんだよ。俺のキスで」

「んええええ!?キ、キッスで!?」

「あぁ、あとはなんだ?栄養不足、睡眠不足もっつってたな。お前ちゃんと食って寝てたか?」

「えっと…えへへ、あんまり元気なかった、かも」

「俺のせいだよな…」

「そうだよ!元はと言えばぜーんぶバズのせいなんだから!」

「悪かった…お詫びだ」

そう言うと横になっているアンギティアのあごを少し上に向かせて、目に手を当てて目を瞑らせます。

顔を近づけてキスをし、舌を絡めます。

「…んんっ…ぁっ…んあぁっ…」

「っ…はぁ、愛してるぜ…」


角度を変えて長時間キスをしていました。

バズビーがアンギティアの唇を舐めたのをきっかけに口を離します。

アンギティアの顔を見ると目がとろんとしていて、頬が紅潮し、事後を思わせました。

「うっ…(かわいい…ヤりてぇ…)」

それもそのはず。

アンギティアは布団をかけられていますが、苦しくないようにジャケットを脱がせて中に着ているシャツの胸元を大きく開けています。

横向きになったことで谷間が強調され、少し捲ったら乳首がこぼれ落ちそうな位置にあります。


「…バズ?…もう終わり?

もっと…しよ?」


体調万全じゃねぇやつを抱くのは気が引けるが、それよりも理性が働かねぇ…!!

こいつも望んでることだしよぉ!俺はヤるぜ!


布団を捲ってアンギティアをベッドの上に組み敷きます。

ガバッとシャツの胸元を開けたらボロンと双丘がお目見えしました。

苦しくないように下着は外していたようです。


「いただくぜ」

「んやぁあ…!」


いつもより優しく抱けました💮


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