善人が呪われる瞬間

善人が呪われる瞬間



とある晴れた日

1人の女性が死に、1人の男が壊れた。


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「清巳ー!今日はどこ行く?」

「そーねー、、、遊園地にでも行きます?」

60代の会話とは思えないが、これがこの夫婦の日常である。

「その前に"僕"は美術館に行きたいなぁ」

「いいよ。ふふ」

「なんで笑うんだよー」

「相変わらず美術館に行くのが好きなんだなって思ったのよ」

にっこりと優しい笑みを浮かべながら笑う彼女は綺麗だった。





その日の昼、清巳は死んだ。





「は、え?は?き、清巳?」


術師の取り逃がした呪霊が清巳を襲って殺した。

「嘘だよな?死んでないよな?」

何を問いかけても清巳は答えない。


「死んでない死んでない死んでない死んでない死んでない死んでない死んでない死んでない...」


もうすっかり冷たくなった清巳に縋りながら壊れてしまった男は言い続けた。






壊れた心の隙間に呪物の遺した呪いが浸透する。


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